劇作家5人が脚本競作…筒井康隆原作、ドラマ「家族八景」
TBS系
人の心が読める超能力を持つ少女・七瀬(木南晴夏)が、家政婦として住み込んだ家で、住人たちの隠された意識を目の当たりにするTBS系のドラマ「家族八景」(火曜深夜0・55など)が放送されている。制作は毎日放送(大阪)。筒井康隆の小説を原作に、小劇場演劇で活躍する気鋭の劇作家5人が脚本を競作し、奇妙な味わいの物語を紡いでいる。(浅川貴道)
原作は、1972年に単行本が刊行された8編の連作。七瀬は、新しい家庭に派遣されるたびに、ゆがんだ家族の形を目撃する。筒井ならではの皮肉の効いた表現が人気のロングセラーだ。映画「20世紀少年」などの堤幸彦らが監督し、実際の民家で撮影し、1話30分で10話放送する。堤の発案で、七瀬が心を読む際には、住人の体が裸に見えたり、頭に花が咲いたりするような効果を加え、世界観を統一している。
脚本の5人は、劇団「ちからわざ」の佐藤二朗、「猫のホテル」の池田鉄洋、「毛皮族」の江本純子、「五反田団」の前田司郎、「ヨーロッパ企画」の上田誠。いずれも個性的な作風の劇団で人気の劇作家で、上田以外は俳優としても活躍する。第7話のみ、前田のオリジナル脚本だ。
彼らを起用した理由について、プロデューサーの平部隆明は「一つ屋根の下で全てのドラマが展開するのが、舞台演劇に近かった」と説明する。また、強烈な自意識を持つ住人たちを描くのに、これまでのドラマ脚本とは異なる表現方法を求めたともいう。
第1、2、5、6話を担当した佐藤は「本棚の7割が筒井作品」と言うほどの筒井ファンでもある。独特の言語感覚で芝居を作ってきた佐藤は、ここでは原作にないシーンを大胆に加えた。食事中の子どもに「歯を磨きたい」と連呼させるなど、一見意味不明だが奇妙なおかしさを持つ脚本に仕上げている。
佐藤は「理由は分からないけれど、なんだか面白いというのが、僕の脚本のカラー。説明の難しい微妙な書き方を、テレビの世界でさせてもらえたのは良かった」と手応えを語る。
一方、「なるべく自分の色を出さないようにした」と語るのが、最終話となる9、10話の連作を担当した上田。二つの家族で夫と妻が互いに不倫し合っているというストーリーを、双方の家族を対比させながら描き出した。
劇団では、ポップな言葉遣いの群像劇で知られる上田だが、「確固とした世界観がある原作なので、あくまで作品の構造がすんなり映像化できるよう、『翻訳』する作業に徹した。筒井ファンのイメージを壊さないように気をつけた」と話す。
見終えた後でクレジットを確認し、それぞれの脚本家の個性を比較する楽しみ方もできそうなドラマだ。
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