青山倫子さん(逃亡者おりん)
心の変容を表現したい
のりちゃんのスポットライト――。家族がそう呼ぶ場所は、千葉の実家近くにある。夕暮れの路地。街灯の下が4歳の少女の舞台だった。橙(だいだい)色の輪に吸い込まれるように歩み寄り、いつも決まってアンデルセン童話の主人公になりきった。「マッチはいかがですか」。頭上から降り注ぐ柔らかな光に、めまいにも似た陶酔を覚えた。
デビューから13年。幼いころの夢だったドラマ主演のチャンスが巡ってきた。おりんは、幼時に父を惨殺され、幕臣たちの陰謀に翻弄(ほんろう)される宿命の女。殺陣が見せ場だ。
自宅に全身が映る鏡を買った。毎晩、短刀を握りしめ、決め技を一つずつチェックする。「修羅雪姫」に「木枯し紋次郎」。古い映画のビデオをコマ送りで見て、身のこなしをたたき込んだ。
「毎回、少しずつ優しい心を取り戻していくおりんの変容を表現したい。役と一緒に、女優としての自分も日々成長できたら」
晩秋の京都。夕闇に包まれた太秦(うずまさ)撮影所。まぶしいほどのスポットライトを浴びて今、悲しみをたたえたヒロインを演じている。
文・坂成美保
写真・野本裕人
Q 今回のドラマ出演を機に芸名を変えたのはなぜですか?(神奈川県、笹竜胆さん)
A これまでは「井上訓子(のりこ)」だったのですが、モデルから女優に脱皮する気持ちの切り替えを、芸名にも表現したくて、大人の女性らしいイメージの漢字を選びました。おりんの「倫(りん)」を選んだ訳ではなくて、偶然です。
Q ドラマの収録が始まる前と今では、何が変わりましたか。(福島県、hironoharaさん)
A 精神的に強くなりました。京都での撮影中は、短期賃貸マンションでひとりぼっち。でも、寂しさを感じなくなりました。夜道では、おりんの習性で、周囲を警戒しながら、にらみつけているらしく、散歩中の犬まで逃げます。
Q 次に演じたい役は?
A やはり時代劇。今度は、弱くて男性に守られるタイプの女性かな。
逃亡者おりん(テレビ東京系金曜後8・00)
江戸時代に暗躍する忍びの者「手鎖人(てぐさりにん)」の一員・おりん(青山倫子)は、組織の頭・道悦(榎木孝明)に裏切られ、お尋ね者となって江戸を追われる。娘が住む紀州へ逃れる途中、道悦の差し向けた刺客に襲われる。
| プロフィール |
あおやま・のりこ
1978年12月29日、千葉県生まれ。13歳でオーディションに合格し、14歳の時、モデルとしてデビュー。100本を超えるCMに出演。今回のドラマで、女優としても本格的なデビューを果たした。 |
(2006年12月8日 読売新聞)