文字サイズ

    「ロフテッド軌道」対処難しく…迎撃態勢強化へ

    • 首相官邸に入る稲田防衛相(中央)(4日午後)=菅野靖撮影
      首相官邸に入る稲田防衛相(中央)(4日午後)=菅野靖撮影

     日本政府は、4日の北朝鮮による弾道ミサイル発射に対し、「さらに脅威が増したことを明確に示すもの」(安倍首相)と危機感を強めている。

     7~8日にドイツで開かれる主要20か国・地域(G20)首脳会議で、米国などと連携して国際社会に圧力強化を呼びかける方針だ。高度2500キロ超に達する弾道ミサイルは現状のミサイル防衛態勢では迎撃困難とされ、態勢強化も急務となる。

     安倍首相はG20に合わせ、日米韓、日韓、日露の各首脳会談を予定し、日中首脳会談も調整している。首相は4日、首相官邸で記者団に「日米韓の強い結束の下に国際社会の圧力を強化していく」と強調した。

     日本政府は独自制裁強化も検討している。米国は北朝鮮と関係の深い中国の金融機関への金融制裁を発動しており、日本も同様の制裁を実施する方向だ。

     また、日本政府は今回の弾道ミサイルが米国の軍事行動開始の基準となる「レッドライン」を越えるものかどうかを注視している。米政府は明示していないが、「大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射はレッドライン」(日米関係筋)とこれまで指摘されてきた。米朝が軍事衝突すれば、日本は報復対象となりかねないため、日本政府は米側に慎重な対応を求めており、軍事行動の際には事前協議を要請している。

     今回の弾道ミサイルが通常高度で発射された場合、米アラスカ(約6000キロ・メートル)を射程に収める可能性はあるが、米本土には到達しないとみられている。外務省幹部は「米本土に到達しない限り、トランプ政権の『虎の尾を踏んだ』とは言えない」との見方を示す。

     ミサイル防衛態勢の強化も喫緊の課題だ。現在はイージス艦搭載の迎撃ミサイル「SM3」と地対空誘導弾「PAC3」の二段構えだが、いずれも通常軌道の弾道ミサイルの迎撃を想定している。通常より高い高度に打ち上げる「ロフテッド軌道」で発射されたミサイルは落下速度が速まり、迎撃はより困難になる。

     日米両政府は今年度中に、最高高度1000キロ超での迎撃が可能な新型迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」の開発を完了する予定だ。導入後にはロフテッド軌道の弾道ミサイルへの対処能力は高まる。新型迎撃ミサイルを搭載する陸上型イージスシステム(イージスアショア)の導入についても最終調整している。

     ◆ロフテッド軌道=通常より高い軌道に打ち上げるミサイルの発射方法。飛距離は通常軌道で撃つよりも短くなる。落下速度が速くなることなどから、迎撃が通常軌道と比べて難しくなる。北朝鮮が5月14日に発射した弾道ミサイルは高度2000キロ超とされ、日本政府などはロフテッド軌道による発射と分析している。

    2017年07月05日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    PR
    今週のPICK UP
    PR
    今週のPICK UP
    2018年を彩るカレンダーをプレゼント!