文字サイズ

    帰還の足かせイノシシ、避難指示区域被害相次ぐ

    • 人里に出没したイノシシの群れ(富岡町で)(県提供)
      人里に出没したイノシシの群れ(富岡町で)(県提供)

     東京電力福島第一原発事故の避難指示区域で住宅のイノシシ被害が相次ぎ、住民帰還の足かせとなっている。

     長期避難で住民が激減した街を昼夜走り回り住宅や田畑を荒らす姿には、不安を覚える住民もいる。春には浪江町など4町村の避難指示が解除され、人的被害の発生も懸念されることから、地元自治体は国や県とともに対策に乗り出した。

     24日に三春町で初めて開かれた県主催の対策会議。参加した原発周辺の12市町村の担当者を前に、県の溝口俊夫・野生動物調査専門官が、全地球測位システム(GPS)発信器をイノシシに付けて実施した調査結果を発表した。

     福島市内のイノシシは夜間を中心に活動していたが、全町避難の続く富岡町では日中から動き回り、行動範囲も倍以上の広さに及んだ。住民のいない家屋内や住宅の裏山をすみかとしている現状や、イノシシが生活しやすくなったことで今後は人的被害のリスクが高まったといった分析も紹介された。

     目撃情報も報告された。浪江町では住宅周辺などでの出没情報が1日3~4件あり、廃車となるほどの衝突事故も発生した。双葉町では一時帰宅した際、住宅内にイノシシがいるとの連絡が連日あり、大熊町では10~15頭の群れが目撃された。

     自治体も独自に対策を講じてきた。富岡町は2014年1月から猟友会のメンバーで捕獲隊を結成。駆除に乗り出し、これまで約790頭を捕獲した。それでも、通報は減らず、2月からは市販の忌避剤や、撃退用ライトを配布するなど効き目を試す予定だ。町の担当者は「除染がほぼ終わり、作業員が減り、イノシシがさらに増えた。効果的な方法が必要だ」と話す。

     県は昨年末、イノシシの生態に詳しい大学講師や、対策に取り組んでいる長崎県の職員ら4人で専門家チームを発足させた。実例を共有し、人的被害を防ぐためのマニュアルが1月に完成した。浪江町では2月から実証実験として防護柵やわなを設置して効果を検討する。音や光を発する小型無人機「ドローン」を使って追い払う技術も活用する。

     溝口専門官は「行動分析を続けながら河川敷のススキを刈り取り、ため池を柵で囲うなど対策を組み合わせて、イノシシをすみづらくする環境を整備することが重要だ」と話している。

    2017年01月28日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    PR
    今週のPICK UP
    PR
    今週のPICK UP

    目力アップ♪

    疲れをほぐして、イキイキと!