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    原発避難、東電に賠償命令…国の責任は認めず

     東京電力福島第一原発事故で、福島県から千葉県に避難した18世帯45人が、国と東電に慰謝料など総額約28億円の損害賠償を求めた訴訟で、千葉地裁(阪本勝裁判長)は22日、東電に対し、原告のうち42人に計約3億7600万円を支払うよう命じた。

     一方、国の賠償責任は認めず、双方に賠償を命じた3月の前橋地裁判決(原告、被告ともに控訴中)と判断が分かれた。

     全国で28件が係争中の原発避難者による集団訴訟のうち、2例目の判決。前橋訴訟と同様、津波の予見可能性と賠償基準の妥当性が主な争点となった。

     判決では、国の地震調査研究推進本部が2002年7月に公表した地震活動への長期評価を踏まえ、国が遅くとも06年の時点で巨大津波が起きうると予見できたと判断。しかし、ただちに規制権限を行使して東電に事故防止策を指示しなかったことが著しく不合理とは言えず、違法性はなかったとして、国への訴えを退けた。仮に対策を講じていても、巨大津波による事故は「回避できなかった可能性もある」とも指摘した。

     東電については、原子力損害賠償法に基づく賠償責任はあるが、「津波対策を完全に放置したとまで評価できない」と指摘した。

     前橋地裁判決は、国も東電も津波を予見でき、事故を防げたはずなのに、対策を講じていなかったとの判断を示していた。

     賠償額の妥当性を巡っては、国の指針に基づく慰謝料は「最低限の基準」であり、指針を超えることは当然あるとし、東電が支払った賠償金を超えた分の支払いを命じた。

     その上で、原告が求めていた〈1〉避難に伴う精神的苦痛への慰謝料(1人月額50万円)〈2〉生活の本拠やコミュニティーから離れざるを得なくなった「ふるさと喪失」に対する慰謝料(一律2000万円)〈3〉土地や家屋などの財物賠償――を原告ごとに検討。「ふるさと喪失」については、36人に1人あたり最大1000万円の支払いを東電に命じた。

     また、避難指示区域外などからの自主避難についても、事故直後の情報不足の中、放射線被曝ひばくへの恐怖や不安を抱くことは一般感覚に照らしても無理はないと指摘。「避難に合理性があれば賠償の対象になり得る」として、1世帯4人に30万円ずつの慰謝料を認めた。

     判決を受け、原告側弁護団の滝沢信事務局長は「国の違法性はないとした不当判決」と述べ、控訴する方針を示した。東電は「判決を精査し、対応を検討する」とコメントし、原子力規制庁は「国の主張が認められたと聞いている」とした。

    2017年09月22日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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