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    原発避難者318人に10億円、東電に賠償命令

    • 判決後に記者会見する原告側代理人の弘中惇一郎弁護士(右)と原告の亀井規父さん(7日夕、東京都千代田区で)
      判決後に記者会見する原告側代理人の弘中惇一郎弁護士(右)と原告の亀井規父さん(7日夕、東京都千代田区で)

     東京電力福島第一原発事故による避難生活で精神的苦痛を被ったなどとして、福島県南相馬市小高おだか区の元住民ら321人が東電に109億円余りの損害賠償を求めた訴訟の判決が7日、東京地裁であった。

     水野有子裁判長は、原告318人に計約10億9500万円を支払うよう東電に命じた。

     判決は、「原告は原発事故によって生活基盤に関する共通の利益を損なった」と指摘。地域全体に共通する損害とみなして一律の賠償額を定めた。

     政府は原発事故後の2011年3月、同区を含む原発から半径20キロ圏内に避難指示を出し、同区などは16年7月に解除された。東電は国が11年8月に賠償の範囲や対象を定めた「中間指針」に基づき、慰謝料として同区の住民1人当たり計850万円を支払っている。

     原告側は訴訟で、〈1〉故郷を失った〈2〉避難生活を強いられた――ことによる二つの精神的損害を主張。事故を防げたかどうかという東電の過失責任は問わず、慰謝料の額が争点となった。

     判決は、「原告は事故で居住・移転の自由が侵害され、長期の避難生活で過去に類をみない被害が生じた」と指摘。二つの損害については「区別しがたい」として総額を算定し、交通事故の長期入院慰謝料のケースなどを基に、東電が設定した1人当たり850万円にそれぞれ300万円を上乗せするよう命じた。

     東電側は「中間指針に基づく慰謝料の水準は合理的」と訴えたが、判決は退けた。

     判決後、都内で記者会見した原告の亀井規父のりおさん(67)は、「町は高齢者ばかり。元の生活に戻れない中で納得できない判決だ」と述べ、原告側代理人の弘中惇一郎弁護士は「賠償額は被害の実態に即していない」と批判した。一方、東電は「判決を精査し、対応を検討する」としている。

    2018年02月07日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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