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    雅子さまお誕生日に際してのご感想全文

     この一年を振り返りますと、様々な出来事がありましたが、今年も、残念なことに自然災害の多い年でした。7月の九州北部における豪雨で多くの方が犠牲になられたことは、とても心の痛むことでした。国外でも、地震や洪水、森林火災などが各地で発生しました。こうした災害により、不幸にして亡くなられた方々のご遺族のお悲しみを思い、心からのお悔やみを申し上げます。また、被災された方々のご苦労もいかばかりかとお見舞いを申し上げます。そして、被災地域の今後の順調な復興を心からお祈り致します。

     東日本大震災の関係では、11月に皇太子殿下とご一緒して宮城県を訪れ、復興状況を見せていただきました。津波被害の大変大きかった名取市の閖上地区では、災害公営住宅の整備が進み、被災された方々の入居も始まるなど、安心して暮らせる環境が整いつつあることを目の当たりにするとともに、入居者の方々の生活が少しずつ整いつつあるというお話を伺い、安堵あんど致しました。その後訪れた亘理町では、いちご団地の整備により、特産のいちごの栽培が軌道に乗りつつある様子を目にすることができ、うれしく思いました。復興に向けた多くの方々のたゆみない努力が、こうして実を結びつつあることを頼もしく思うとともに、深い敬意を抱きます。一方で、被災地では、依然として応急仮設住宅等にお住まいの方々もおられるなど、いまだ多くの方が不自由な生活を余儀なくされていることや、復興までにはまだ長い道のりが残されていること、そして、その中で子供たちを含め、被災された方々の心のケアが引き続き大切な問題として残っていることなども案じております。被災された方々が、一日も早く安心して暮らせるよう心から願うとともに、殿下とご一緒に、引き続き被災地の復興に永く心を寄せていきたいと思います。

     近年、社会情勢の変化もあり、社会的に弱い立場にある人々が直面している困難な状況について耳にすることが多く、案じております。そのような中にあって、先日、「障害者週間」関係表彰式に出席する機会を得ました。障害による様々な困難を、並々ならぬ努力によって乗り越えてこられた方々、また、そのような方を支えてこられた方々など、すばらしい方々にお会いすることができ、感銘を受けるとともに、このような支援の輪の広がりをとても嬉しく思いました。そして、社会の中で、弱い立場にある人々への温かい理解と協力が広がり、だれもが互いに人格と個性を尊重しながら支え合い、将来に夢と希望を持って歩んでいけるような社会が実現されていくことを心から願っております。

     広く世界に目を向けても、困難な状況に苦しんでいる人々が数多くいることに心が痛みます。人々が、広い心を持ってお互いの違いを乗り越え、様々な問題の解決に向け、共に手を携えて取り組んでいくことが、今の世の中で大切になっていると感じます。また、持続可能な社会の実現も大切な課題だと思います。最近、その実現に向けての取り組みが数多く見られるようになってきていることを心強く思っております。

     「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」が6月に成立し、このほどその施行日が決定されました。これまで、長い年月にわたり、常に国民の幸せを願われ、ご公務の一つ一つを大切に、お心をこめてお務めになっていらっしゃいました両陛下の歩みに思いを致し、深い感慨を覚えます。両陛下のこれまでの歩みに、心からの敬意と感謝の気持ちを申し上げたいと思います。そして、平成5年に、皇太子殿下との結婚により、私を皇室の一員としてお迎えいただきましてから、これまで二十数年の間、両陛下のおそばでお姿を拝見し、両陛下のなさりようを学ばせていただく機会を得られました幸せを身にみて感じますとともに、両陛下に温かくお見守りいただいてきましたことに深く感謝申し上げます。これから先のことを考えますと、身の引きしまる思いが致しますが、両陛下のお導きをいただきながら、皇太子殿下をお支えしつつ務めを果たしていくことができますよう、努力を重ねて参りたいと思っております。両陛下には、くれぐれもお体を大切になさり、これからも永くお健やかにお過ごしになりますよう、心よりお祈り申し上げます。

     9月には、秋篠宮家の眞子内親王殿下のご婚約が内定し、喜ばしく思っております。私が皇室に入りました時には、東宮仮御所の隣にお住まいの、まだ1歳半余りの活発なかわいらしい女の子でいらっしゃった眞子様が、すっかり立派に成長された姿を感慨深く思います。日頃から、愛子にも優しく、また、楽しく接していただき、私たちにとっても、いつも楽しい時間をご一緒してきた眞子様には、心からのお幸せをお祈りしております。

     愛子は、3月に学習院女子中等科を卒業し、4月より女子高等科生として新たな一歩を踏み出しました。高校生として、学校の勉強も更に難しくなったように思われますが、今では高校生活にも慣れた様子で、色々なことに励みながら、大勢のお友達と一緒に、楽しく充実した毎日を過ごしているように見受けられます。また、東宮御所に外国からのお客様がお見えになった折には、お話に加わり、少しずつ世界を広げていっているようにも思います。先日、16才の誕生日を迎えたところですが、今後とも、感謝と思いやりの気持ちを大切にしながら、様々な経験を積み重ね、更に成長していってほしいと願っております。両陛下には、日頃より愛子の成長を温かくお見守りいただいておりますことに、重ねまして心より御礼を申し上げます。

     私自身につきましては、この一年も皇太子殿下のお力添えをいただきながら、様々な公務についてできる限りの務めを果たせればと思い、努力して参りました。都内での行事への出席のほか、7月に秋田県、9月に奈良県、10月に京都府と高知県、11月に宮城県と香川県を訪問することがかない、その訪れた先々で、多くの方に笑顔で温かく迎えていただいたことは、私にとりまして大きな励みになりました。そして、周りの方々にも助けていただきながら、できることが少しずつ増えてきましたことをがたく、また、嬉しく思い、今後とも、快復かいふくに向けての努力を続けていきたいと思っております。

     国民の皆様から日頃よりお寄せいただいている温かいお気持ちに、改めましてこの機会に厚く御礼を申し上げます。

    2017年12月09日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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