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    仮設で営業の呑ん兵衛横丁、再び存続ピンチ

    • プレハブ仮設の1階で12店が営業している「呑ん兵衛横丁」(釜石市鈴子町で)
      プレハブ仮設の1階で12店が営業している「呑ん兵衛横丁」(釜石市鈴子町で)

     東日本大震災の津波で全店が流され、仮設で営業している岩手県釜石市の飲み屋街「兵衛べえ横丁」が、再び存続の危機に陥っている。

     市は別の場所で継続させたい考えだが、出店にかかる費用や高齢などを理由に、多くの店主が踏み切れずにいる。「鉄のまち」の名物横丁が、震災から5年を前に岐路に立たされている。

     横丁は昭和30年代前半、戦争で夫を失った女性たちが、生活のため市中心部の水路の上に軒を連ねたのが始まり。高度成長期には30店以上が並び、製鉄所の従業員らでにぎわったが、津波で全26店が流された。

     2011年12月にJR釜石駅近くのプレハブ店舗で再開し、今は12店が営業する。酒と季節のお袋の味に体も心も温められ、代金は千円札2~3枚――。そんな魅力は以前のままだ。

     仮設は18年3月に撤去されるため、市は中心部の市有地を大手リース会社に貸し、約20店を集めた共同店舗3棟を建て、一部を細長い店が連なる横丁にする計画。24日に市と協定を結んでいるリース会社は、横丁の店主に対し、出店には3か月分の敷金などのほか、180万円の設備工事費が必要と説明。「高過ぎる」との声を受け、仮設の設備を再利用して98万円にする案も示した。

     だが、12店のうち10店は68~77歳の女性店主で、自宅を流された人もいる。出店には内装費などもかかり、生活再建や年齢の不安も抱える。申し込みは今月末に締め切られるが、店主への取材では、出店を決めたのは1店のみ。6店は店をたたむ考えで、5店は態度を決めていない。

     30年続けた居酒屋「とんぼ」の高橋津江子さん(74)は出店を諦めた。「続けたい思いは強いが、年齢を考えるとあと何年できるか。震災で人も減ったし、借金しても返せない」と明かす。横丁の組合長を務め、開店から53年目の最古参となる居酒屋「おけい」の菊池悠子さん(77)は「みんなで築いてきた横丁の看板だから、移転、再建もみんなでやりたい……」と揺れる心境を語る。

     共同店舗は6月に着工され、11月にオープンする予定。市は出店時の支援策を検討している。(藤吉恭子)

    2016年02月28日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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