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    津波で流失、えびす像再建へ…復興のシンボルに

    • 気仙沼湾を望み、大漁と航海安全を祈るかつてのえびす像(気仙沼商工会議所提供)
      気仙沼湾を望み、大漁と航海安全を祈るかつてのえびす像(気仙沼商工会議所提供)

     東日本大震災の津波で流失した「えびすさま」の銅像を再建しようと、宮城県気仙沼市の水産関係者らが委員会を設立した。

     えびす像は昭和初期に同市の漁港近くに建てられ、海の安全を見守ってきたが、太平洋戦争の金属供出と、震災の津波で2度も姿を消した。復活を望む漁業者の声も多く、関係者は「復興が進む気仙沼のシンボルとして『おえびすさん』をよみがえらせたい」と力を込める。

     えびす像は1932年、魚問屋や港があった同市内湾地区の神明崎に建てられた。気仙沼湾に突き出した岬から湾内をぐるっと望み、大漁と航海安全を祈願。岩の台座の上に立つ高さ約1・5メートルの銅像の右手には釣りざお、左手にはタイを握り、穏やかな表情だった。遠洋から入港する漁師は船上から感謝し、出港する際には手を合わせたという。

     しかし、太平洋戦争の激化に伴って43年、弾丸用に供出された。その後はほこらが残っていたが、復活を望む声を受けて89年、2代目がほぼ同じ姿で復元された。お参りする漁師の姿が街に戻った。

     2011年、震災の津波で市の沿岸部は甚大な被害が出た。内湾地区も多くの家や商店が被災し、えびす像は流失。潜水士が何度も海に潜って捜したが、見つからなかった。

     震災から6年が過ぎ、港周辺は災害公営住宅が建って商店が再開するなど、活気も少しずつ戻ってきたことから、再建案が持ち上がった。復興支援を続けてきたサッポロビールの人気銘柄「エビス」の縁もあって、同社から協力を得られることも決まった。

     えびす像の制作者は今のところ未定で、完成は1年以上先になる見込みだが、同会の臼井賢志委員長(75)は、「これから本格化する気仙沼の街づくりの中で、昔ながらの魅力を復活させ、大漁の船を迎え入れたいね」と意気込んでいる。

    2017年10月03日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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