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    潮流の揺れで熟成、カキ漁師ら海中酒に取り組み

     岩手県陸前高田市のカキ漁師らが広田湾に浮かぶ養殖いかだを使い、地元の日本酒やワインを海中で熟成させるプロジェクトを始めた。

     12日は約30人の市民らが漁船に乗り込み、酒瓶を海に沈めた。漁師らは熟成体験の観光ツアーも計画しており、交流人口増や地域活性化の起爆剤になればと期待する。

     プロジェクトを企画したのは、カキ漁師らでつくる「広田湾遊漁船組合」と観光客誘致などを進める合同会社「ぶらり気仙」。東日本大震災で受けた壊滅的な被害を乗り越えようと漁業体験やカキの加工食品開発に取り組んでいる。

     「海中熟成酒」もその一つ。ぶらり気仙によると、潮流の細かな揺れが酒の熟成を促進させ、まろやかな味に仕上げるという。既に北海道や沖縄、静岡県で行われ、熟成後の価格は3~5倍に跳ね上がっている。

     組合などは今年度、地元の酒造会社「酔仙酒造」と「神田葡萄ぶどう園」の協力を得て、最大750本の日本酒、ワインを半年から1年間、広田湾内で熟成させる。

     12日は、市民らが半年後の自分に向けたメッセージカードを酒瓶に取り付け、48本を深さ約10メートルの海中に沈めた。酔仙酒造の村上雄樹さん(41)は「商品の個性や特長が求められる中、付加価値が付くのでありがたい。おいしい酒になってほしい」と願いを込めた。

     今回海中熟成された酒は9月に引き上げられ、10、11月に盛岡、仙台、東京でお披露目される。陸前高田市内でも10月から飲食店やホテルで提供され、来年以降はぶらり気仙のホームページや小売店で販売する予定。価格は、熟成前後の2本1セットで8000円~1万円となる見通しだ。

     組合などは、酒瓶を海に沈めたり、引き上げたりする作業見学に、漁業体験や酒造蔵・ブドウ畑の見学を組み合わせた観光ツアーを組む。カキ漁師の佐々木学さん(34)は「地域全体を巻き込み、地域の魅力を発信していきたい」と意気込んでいる。(徳山喜翔)

    2018年05月13日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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