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    「出て行け」と言われ…本当のイスラム教知って

    • 富山市の富山ムスリムセンターで、メッカの方角を向いて礼拝をする留学生ら(13日)
      富山市の富山ムスリムセンターで、メッカの方角を向いて礼拝をする留学生ら(13日)

     「イスラム教を正しく知ってほしい」と、日本のイスラム教徒たちがさまざまな取り組みを始めている。

     イスラム過激派組織「イスラム国」の残虐なイメージに影響されて広がった誤解や偏見、イスラム教への関心の高まりが背景にある。

     ■「出て行け」

     「日本から出て行け」「家族の身の安全に気をつけろ」。名古屋市や岐阜市でモスク(イスラム教礼拝所)を運営する宗教法人「名古屋モスク」(名古屋市中村区)には今月、そんな嫌がらせや脅迫の電話が約20件あった。「イスラム国」が今月1日に人質の後藤健二さんを殺害したとする映像をネット上に公開した後だった。

     パキスタン人のクレシ・アブドルワハブ代表(57)は「イスラムという言葉を聞くだけで不快なイメージを抱く人が増えている」と懸念する。イスラム教への関心も高まっており、名古屋のモスクでは3月中旬まで見学の予約が埋まっている。

     「罪のない人を無差別に殺すことは、全人類を殺すことと同じだ」。宗教法人「日本イスラーム文化センター」(東京都豊島区)事務局長を務めるパキスタン人のクレイシ・ハールーンさん(48)は今月20日、国会で開かれた宗教団体主催の集会で訴えた。クレイシさんは本紙に「『イスラム国』はイスラム教に反している。彼らはイスラム教徒ではない」と力説した。

     同センターは1月、日本人人質事件発覚後に「テロ行為は教えに反する」との声明をホームページ上で公表し、「イスラム国」を非難。クレイシさんは今後、反「イスラム国」のデモを行うことも計画している。

     ■住民に説明会

     地域住民と良好な関係を築いているモスクもある。

     「アッサラーム・アライクム(あなた方の上に平安がありますように)」。富山市にあるモスク「富山ムスリムセンター」で13日昼、32人が礼拝に参加していた。昨年7月、留学生中心の地元の社団法人「TMC」が3階建ての民家を購入して開設した。男性用の礼拝所は3階、女性用は2階にあり、毎日、地元のイスラム教徒が礼拝に訪れる。

     近所では2012年、別のモスク開設計画が住民の反対運動でつぶれた。「知らない宗教の人が集まって不安」などを理由に、住民集会で開設反対の署名が集められた。当時署名した男性(61)は「イスラム教徒と接したことがなく、何となく怖かった」と話した。

     このため富山ムスリムセンターは開設前に住民向けの内覧会を開き、地域社会との共存やモスクでの礼拝の重要性などを丁寧に説明した。住民からは、ごみ出しや駐車マナーの指導を受けた。「真剣さが伝わってきた。親しみやすさを感じた」と、町内会長の藤井幸男さん(67)は振り返る。

     センターでは、無料のアラビア語や英語の講座、文化や食べ物を紹介するイベント、ボランティアでの清掃を行っている。TMC代表でシリア出身のサリム・マゼンさん(40)は「平和を愛する本当のイスラム教を伝えていきたい」と話す。(広瀬誠)

    2015年02月26日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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