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塩素爆弾、ヘリ標的…スンニ派新戦術で戦線拡大は必至

 【カイロ=柳沢亨之】ブッシュ米大統領の米軍2万人規模の増派を柱とする新政策を受け、米・イラク両軍が2月に入り本格化させた首都バグダッド一帯での治安回復作戦と前後し、イスラム教スンニ派武装勢力が塩素ガスを使った攻撃や米軍ヘリを狙うなど新たなテロ戦術で反撃に出ている。

 両国軍の攻勢に危機感を抱いたためとみられているが、今後、武力衝突が激化、拡大していくのは避けられない情勢だ。

 シーア、スンニ両派が混住する首都西部バヤア地区で21日、給油待ちの車が数珠つなぎとなったガソリン店前で、塩素ガス入り爆弾を仕掛けたトラック1台が爆発、10人以上が死亡し、約30人が負傷した。呼吸器障害ややけどで今も入院中の住民が多い。

 同様の塩素爆弾テロは1月28日と今月20日にも、それぞれ西部アンバル県ラマディの治安施設、首都北郊タジのシーア派系レストランで発生し、計25人が死亡、約150人が負傷した。スンニ派消息筋は「国際テロ組織アル・カーイダ系のスンニ派勢力の犯行」と見る。

 塩素系物質はイラクで主に浄水に用いられ、比較的入手が容易だ。武装勢力は一般市民により強い不安を与え、混乱を生じさせるため、化学物質の使用に踏み切ったと見られる。

 23日付アラブ圏有力紙アッシャルクルアウサトによれば、武装勢力が最近、アンバル県内で、シリアから160トンもの塩素系物質を輸送中のトラックを襲撃した。一方、駐留米軍報道官が22日、米CNNで明らかにしたところでは、アンバル県ファルージャ近郊の化学爆弾製造所とみられる施設5か所で、化学物質を発見した。

 米軍ヘリへの攻撃も目立っている。21日、中部ディヤラ県内で米攻撃ヘリが撃墜され、1月下旬以降の撃墜数は少なくとも6機、米兵らの死者も20人以上に上った。複数のスンニ派勢力が犯行声明を出した。ヘリは地上部隊の支援など、米軍作戦の中核を担うだけに、事態は深刻だ。

 イラク治安筋によれば、首都中心部のスンニ派武装勢力最大拠点「ハイファ通り」では、治安回復作戦は成功を収めつつあり、作戦前に数千人だった武装勢力は300人に減少した。米・イラク両軍は同通りのほか、首都南部ドーラ地区などスンニ派武装勢力拠点に兵力を集中させている。

 スンニ派消息筋は、武装勢力のこうした戦術拡大について、「イラク、米両軍をハイファ通りなどから(兵力が手薄な)他地域におびき寄せるための『陽動作戦』」と見る。

 実際、両軍の統合司令部は22日、初めてバヤア地区を今後の重点地区に指定した。戦線の拡大は避けられない情勢だ。

2007年2月25日1時33分  読売新聞)
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