日本女子大学の丸山千寿子教授(栄養学)の話
「996キロ・カロリーメニューでは、1〜2歳の男児が1日に必要なエネルギー量を補えるに過ぎず、必要な栄養素も全く不足している。2020キロ・カロリーの食事メニューでも、エネルギー量はある程度まかなえるものの、動物性たんぱく質や油の量が少ないため、多くの栄養が不足している。
特に少ないのは脂質で、体に欠かせないが体内では作れない『必須脂肪酸』が、十分に取れない状態になる。大人の場合は様々な生理機能の低下を引き起こし、子どもも成長障害が起きる可能性が出てくる。コレステロールも不足しているため、血管が破れやすくなり、脳卒中の危険性が高まる。また、摂取できるたんぱく質は成人の必要量のおおむね3分の2程度、カルシウムは半分程度にとどまっている。
996キロ・カロリーの食事メニューの場合は、こうした栄養に加えて、ビタミンB1が不足する。米を精米せず、玄米や精白度の低い米を食べることである程度は補えるが、不足したままでは、心不全につながることもある脚気(かっけ)を引き起こす」
「完全自給食」の主な栄養成分 (丸山教授の分析)
| |
たんぱく質(g) |
脂質(%) |
カルシウム(mg) |
鉄(mg) |
ビタミンC(mg) |
ビタミンB1(mg) |
ビタミンB2(mg) |
| 1日目 |
|
23.3 |
15 |
143 |
3.3 |
65 |
0.38 |
0.32 |
| ※1 |
30.9 |
16.5 |
211 |
4.2 |
51 |
0.48 |
0.5 |
| 4日目 |
|
38.8 |
11 |
250 |
7.3 |
273 |
1.2 |
0.6 |
| ※2 |
42 |
10 |
329 |
7.4 |
274 |
1.24 |
0.73 |
| 成人の1日あたりの推奨量 |
男性60 |
20〜25 |
650 |
7.5 |
100 |
1.4 |
1.6 |
| 女性50 |
20〜25 |
600 |
6.5/10.5※3 |
100 |
1.1 |
1.2 |
※1.初日のメニューには反映されていないが、実際には供給可能な1日あたり1・7gの牛肉などを合わせた場合の栄養分
※2.4日目のメニューには反映されていないが、実際に供給可能な1日あたり12gの肉、7gの卵、33gの牛乳を合わせた場合の栄養分
※3.月経時の推奨量
単位: 脂質は総エネルギーに占める割合
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※今回の「自給食メニュー」には、1日あたりの自給量がわずかしかない食料は反映されていません。
996キロ・カロリーの場合、厳密には牛肉が1日1.7グラム、豚肉が1.7グラム、卵が4.4グラム、牛乳・乳製品が69.7グラム自給できますが、料理のしようがないので除いています。つまり、「自給食メニュー」のカロリー量は、実際には996キロ・カロリーを多少下回っています(反映させてもあまり変わりはしませんが)。
2020キロ・カロリーの場合も同様で、実際の自給量は今回の「自給食メニュー」に加えて、例えば7日に1個の卵や、6日にコップ1杯の牛乳、2日に1杯のみそ汁などが食べられます。996キロ・カロリーの場合に比べて、想定する2020キロ・カロリーと実際のメニューのカロリー量には、開きが出ています。
今回の「自給食メニュー」はあくまで基本メニューで、仮に1週間続ければ、多少の変化がつけられることになります。ただ、肉類や油の摂取量が不足することに変わりはありません。