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「飽食のコスト」

 連載「食ショック第3部」のテーマは「飽食と大量廃棄」。「消費期限」や「賞味期限」の疑問に答えるため、記者が体当たりで賞味期限切れ食品の味見実験を敢行し、「飽食ニッポン」の実像に迫りました。
 発言小町でも、編集部発のコーナーで、「期限切れ食品 食べた経験ありますか?」のトピックを立て、ご意見や体験談を募集しました。あわせてぜひご覧ください。
※紙面掲載記事は、「ヨミダス文書館」でお読みになれます。ぜひご利用ください。

食ショック第3部メニュー
食品リサイクル   賞味期限って何?

製造後11か月! それでも「捨てる」は1人だけ

2009年2月20日更新

期限切れ食品の試食会になるとも知らず、なごやかに始まった打ち上げ会

取材打ち上げ会で LL牛乳最後の味見

 昨年10月にLL(ロングライフ)牛乳の追跡味見実験を行って、はや4か月。このほど、年間企画「食ショック」の連載終了を記念して、取材チームの打ち上げ会が東京都内で開かれた。ごちそうが並ぶ席上、企画を立案した鬼デスクから出席者にふるまわれたのは、製造後11か月を経た常温保存のLL牛乳と、さらに強力な隠し球だった……。

米国の賞味期限でもギリギリ、そのお味は?

 年間企画「食ショック」は、昨年2月に本編連載がスタート。記者が日本の自給率分の国産食品だけで4日間を過ごし、大反響を呼んだブログ「二階堂記者の完全自給食」や、全国から食卓の写真を携帯で送ってもらった「にっぽんの食卓」など、ユニークな企画が次々と展開された。


LL牛乳をコップに注ぐ幸内記者。見た目はふつうの牛乳と変わらないが…

 打ち上げ会は、春のような陽気となった2月12日夜、読売新聞東京本社に隣接する産経ビルで行われた。集まったのは、取材を担当した経済部、社会部、地方部、生活情報部の記者らと、シンポジウムを企画した広告局、ネットを担当したメディア戦略局の総勢15人。缶詰の味見でリタイア後、牛乳で見事復活した山下福太郎記者の姿がないのは残念だ。

 総責任者の五阿弥宏安・編集局次長がねぎらいの言葉をかけた後、企画を担当した経済部の鬼デスクこと斎藤孝光デスクが登壇。「おいしい食事の前に、ぜひ味見して欲しいものがあります。きっとワインに合いますよ」と怪しい笑顔で披露したのは、期限切れから9か月、製造からは11か月を経たLL牛乳と、期限切れ1年という“超熟成”の納豆だった。LL牛乳は、世界で最も長い米国の賞味期限である製造後12か月にも、迫りつつある一品。納豆に至っては、冷蔵とはいえ異例の長期保存を経た代物だ(マネはしないでください)。

「新たな乳飲料と言われれば、ありかな…」


「う〜ん、だいじょうぶかな?」と不安げな近藤編集委員

 打ち上げのなごやかな空気が一変し、会場に緊張が走る。LL牛乳の味見は予想していた者もいたが、「1年ものの納豆とは……」と不安の声が上がる。連載開始当初から、斎藤デスクは「いろんな食品で賞味期限切れの味見をしてみよう」と考え、長期計画で納豆を自宅冷蔵庫に保管していたという。

 「牛乳は事前のサンプル検査で問題ないことがわかってますが、納豆は不明です。でも先月食べた時は問題なかったし、人間は腐ったものはわかるはず。多分大丈夫ですよ」と、強引な論理を展開する斎藤デスクを前に、おじけづく面々だった。

 その中で、「あっ僕、その納豆には興味あります」と元気に手を上げたのは、自給食メニューを体験し、全ての味見実験にも参加した二階堂祥生記者だった。数々の体験取材を経て、食への好奇心がすっかり旺盛となったようだ。まずはLL牛乳を口に含み、「何も言われなければ、古いなんて気づかないかも」と余裕を見せる。

 だが、缶詰の味見実験でキャップを務めた幸内康記者は、「これ、なんか分離してるみたい」と不安げな表情。1週間後には北京特派員として、家族と共に現地に赴く身だけに、「ただでさえ、食の安全に注意しなければならないのに……」とボヤきながら、最後のお務めとばかり味見していた。


「新たな乳飲料なら、ありかな」と余裕の弁の大森記者(右端)

 一方、遅れて会場に到着した社会部の中村亜貴記者は、五阿弥局次長の「これは特別にフランスから輸入した牛乳でね」という言葉巧みな誘いに、おっかなびっくりでトライ。初めての甘味の強いLL牛乳の味わいに、苦笑いを見せていた。

 ほぼ全員が味見をしたが、前回より味覚評価点は低いものの、「捨てる」と答えたのは幸内記者1人だけという結果に。生活情報部の大森亜紀記者は、「新たな乳飲料だと言われれば、それもありかな……」と答えるほどの高い評価だった。 国内のLL牛乳の賞味期限は製造後2か月とされ、今回はそれを9か月も上回るものだったが、味はともかく、十分飲める品質を保っていることは間違いなさそうだ。米国の賞味期限の製造後1年という基準も、決して無茶なものではないようだ。元々、常温長期保存を目的に開発された商品だけに、まさかの時のために自宅で保存する際の、一つの参考になる結果ではないだろうか。


1年間冷蔵保存された納豆。ところどころにアミノ酸の白い粒が見える

鬼デスクの隠し球 1年熟成の超絶納豆

 続いて挑戦したのは、「25年ものの缶詰」に匹敵する大物、1年間冷蔵庫で寝かせた納豆だ。身構えながらも封を開けると、やや濃い色の納豆の表面に、白いカビのような粒が見える。これはチロシンというアミノ酸の結晶で、健康上は問題ないという。「あまりにおわない」「糸を引かないね」と感想がこぼれる。私も実際にかいでみると、意外とふつうの納豆の匂いで、常温保存で発生しがちなアンモニア臭は全く感じられない。


納豆を箸に取る幸内記者(左)と二階堂記者。長期保存のせいか粘りけが少ない

 元気よく納豆の味見志願をした二階堂記者だったが、口に入れると「あっ、これまずいです」と一言。どうやら口に合わないようだ。近藤和行編集委員も、「ちょっと苦いかな」と複雑な表情。逆に中村記者は「ちゃんと納豆の味がしますよ」とつぶやき、食通として知られる生活情報部の福士千恵子デスクは、「ちょっとテンペ(インドネシアの大豆発酵食品)に似てるわね」と、豊富な食体験を生かしたコメントをしてくれた。

予想に反して好評、完食者まで出る結果に

 最もおいしそうに食べていたのは、食ショック・シンポジウムを担当した広告局の鴻村亘(こうむら・わたる)広告第六部員。「全部いけました」と、あっという間に完食してしまい、五阿弥局次長は笑いながら、「最初の3粒は業務命令だけど、その後は自己責任だからな」と念を押していた。


納豆を完食した鴻村さん(左)と、笑顔で部下を見守る土屋課長

 結局納豆は、5人中2人が「捨てる」とコメントしたものの、うち1人は「完食」の鴻村さんだっただけに、実質的にはかなり好評だったといえそうだ。斎藤デスクは「これはうまいよ。10年もののビンテージの酒のような旨味で、タレをかけなくても食べられる」と、自分がほめられたように、うれしそうな笑顔を見せていた。

 期限切れ納豆の思わぬおいしさを確認するというおまけ付きで、デスク陣をも巻き込んだ最後の味見実験が無事終了し、会場からは拍手がわき起こった。長期保存したLL牛乳も底をつき、ホッとした表情を見せる幸内記者。取材チームの面々は、食のありがたみと大切さをかみしめるかのように、テーブルに並んだ“賞味期限内”のごちそうを、心ゆくまで味わっていた。(メディア戦略局IT事業部・松井正)。

試食者
幸内康記者 二階堂祥生記者 五阿弥宏安記者 近藤和行記者 大森亜紀記者
追加実験

LL牛乳

期限切れ9か月 賞味期限2008年5月24日
試食者
幸内康記者 二階堂祥生記者 五阿弥宏安記者 近藤和行記者 大森亜紀記者
評価
色4、外観4、におい3、味2、食感2、総合評価3 色3、外観3、におい1、味2、食感2、総合評価2 色3、外観3、におい3、味2、食感2、総合評価3 色3、外観2、におい2、味3、食感2、総合評価2 色3、外観3、におい2、味1、食感2、総合評価2
感想
ちょっと分離し始めている。スキムミルクのよう。もう結構です… チーズのようで、においが良くない。味は悪くはないが、牛乳とは少し違っているような… 空腹で死にそうな時には、飲んでもいい。 黙って出されれば、さほど違和感はない。 チーズのようなにおい。牛乳ではないけれど、新たな乳飲料だと言われれば、ありかな?
捨てる?捨てない?
捨てる 捨てない 捨てない 捨てない 捨てない
試食者
幸内康記者 二階堂祥生記者 近藤和行記者 土屋 創
広告第6部課長
鴻村 亘
広告第6部員
追加実験

納豆

期限切れ1年 賞味期限2008年2月24日
試食者
幸内康記者 二階堂祥生記者 近藤和行記者 土屋 創
広告第6部課長
鴻村 亘
広告第6部員
評価
色3、外観2、におい3、味3、食感2、総合評価3 色2、外観2、におい2、味2、食感2、総合評価2 色2、外観2、におい3、味1、食感3、総合評価2 色3、外観2、におい2、味3、食感3、総合評価3 色2、外観2、におい3、味4、食感3、総合評価3
感想
においが薄く、粘りもなくなっている。表面に白い粒があり、少し香ばしい。食べられるが、別の物になりつつある。 糸を引かず、味もあっさり。いわゆる納豆とは別物だが、食べられなくはない。 色が少し黒っぽくて不気味。苦い感じがするが、香りはよい。 思ったよりふつうの味でした。 外観のみで判断し、捨ててしまう。でも一度食べてみると、捨てなくなる。
捨てる?捨てない?
捨てない 捨てない 捨てる 捨てない 捨てる
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期限切れLL牛乳、5人中3人は「捨てない」

2008年10月29日更新

淡々と牛乳を味見していく二階堂記者(手前)と、苦戦する山下記者

追跡味見実験、ついにファイナル?

 期限切れ缶詰などを味見した「記者の体当たり実験」。その追加実験であるLL(ロングライフ)牛乳の味見からも3か月が過ぎ、残った牛乳はその後も常温のロッカーで保存され、静かに時を刻んできた。果たしてその味は、見た目は、どうなっているのか? 取材班は、三たび味見実験を行うことになった。

期限切れ5か月、製造からは7か月

  猛暑と異常豪雨の夏も過ぎ、すっかり秋も深まった10月24日。社内のロッカーで常温保存に耐えてきたLL牛乳が、今回読売新聞東京本社の社員食堂で、味見されることになった。対象は、5月24日が賞味期限のLL牛乳6パックだ。

 日本のLL牛乳の賞味期限は、ふつう製造後2か月とされており、今回の牛乳は期限切れから数えて5か月、製造からは7か月を経た計算となる。米国(製造後12か月)では依然賞味期限内であるものの、世界的に見ても立派な「賞味期限切れLL牛乳」だ。

 今回参加したのは前回追跡実験と同じく、経済部の二階堂祥生記者と山下福太郎記者、メディア戦略局編集部の松井正記者(筆者)の3人。さらに、前回は出張で参加できなかった味見実験キャップの経済部・幸内康記者も、久しぶりに戦線に復帰した。

検査結果は異常なし、それでは味は?


久々に味見実験に復帰した幸内記者(左)。その実験風景を興味深げに見ていたのが、映像部の荒井デスク

 前もってサンプルは、初回の味見実験の際に協力してもらったジェネティックID社(本社・横浜市)に送付して、細菌検査をお願いした。この日までに検査結果が届き、中身の腐敗は確認できず、特に問題はないことがわかった。

 午後3時の人気もまばらな社員食堂で、実験は始まった。今回も評価項目は色、外観、におい、味、食感、総合評価の6つ。5段階評価で、良い評価であるほど高い数字を付ける。

 幸内記者が作ってきた記入表には、なぜか「賞味期限テスト・ファイナル」のタイトルが。「かなり長く持つことがわかったし、もうそろそろいいかなと思って…」。製造日から時がたつにつれ、徐々に腰が引け始めたようだ。

 比較対象として、山下記者が自宅近くのスーパーで買った新しいLL牛乳を、一緒に味見することに。「買ってきてくれたのはありがたいけど、6本は多過ぎるんじゃない?」と、つぶやく幸内記者。実験が永久に続くという恐怖が、頭をよぎっての発言ととれなくもない。

 牛乳をプラスチックのコップに注ぎ、味見開始。一口含んで、最初に「うっ!」とうなったのは、やはり山下記者だ。元々牛乳は嫌いではないのだが、初回実験でのリタイア経験がトラウマとなり、すっかり味見は苦手になってしまったか。「新しい方は大丈夫ですが、期限切れはのどを通りにくい。やっぱりキツいです…」と、まゆをしかめた。

 一方、牛乳が苦手なはずの二階堂記者は、今回も淡々と味見する。「においは新しい方が立つけど、味は古い方がしっかりしてますね」と、もはや評論家の域に達したような発言だ。久しぶりに参加した幸内記者も、ライトに透かして色を見た後、口に含んで「粉ミルクみたいな味がする」と、冷静に分析していく。


「ささ、どうぞどうぞ」――。居酒屋で別の宴会に参加したように、牛乳を注がれる荒井デスク(右端)

思わぬ飛び入り参加も厳しい評価

 ふと隣りのテーブルを見ると、遅い昼食を終えて、興味津々で我々を見つめる目が。メディア戦略局映像部の荒井博樹デスクだ。何にでも興味を示す好奇心と、柔軟な発想で知られるだけに、「何やってるの? ああ、食ショックか!」と合点がいった様子。試しに誘ってみると、「俺は食べ物にこだわらないから、あまり役に立たないよ」と言いつつ、喜んで参加してくれた。

 だが、新しい牛乳と古い牛乳を交互に味見しながら、荒井デスクは「うーん、これはちょっと、アレだなあ…」と、ブツブツつぶやき始めた。真意を聞くと、「一種類だけなら『こんなもんか』と思うだろうが、比較対象があると、古い方はけっこう厳しい感じ」とのことだ。結果は一覧表にある通りだが、意外や食に鷹揚なはずの荒井デスクが、最も厳しい評価を下す結果となった。

 ちなみに私自身の感想は、前回とそう大して変化がないというもの。コップに注いだ段階ではあまり香らないが、口に含むとなにやらねっとり甘く、ビニールのようなにおいが口中にただよう。要するに、「そうおいしくはないが、飲めないわけでもない」というものだった。

実験チームは解散、のはずだったが…


味見実験ファイナルが終了、ホッと肩の荷をおろした参加者一同だったが…

 実験後、経済部に戻った幸内記者は、食ショック3部までを取り仕切った斎藤孝光デスクに、味見実験の終了を報告。ニコニコと聞いていた斎藤デスクは、「ところで牛乳はまだあるの? ふーん、じゃあ引き続きやってもいいんじゃない」とひと言。どうやら、簡単にはやめさせてもらえない雰囲気だ。

 そうすると次回は、例えば米国の基準でも期限切れとなる製造後1年、つまり年が明けての3月24日ごろだろうか。製造から1年の牛乳とは、さすがに心中おだやかではないが、興味がわかないわけでもない。事態は流動的だが、誰かが生真面目に覚えていたら、再びチームは顔を合わせるのかも知れない。その日まで、残ったLL牛乳5本は社内某所で、再び静かな眠りについた。(メディア戦略局編集部・松井正)

試食者
幸内康記者 二階堂祥生記者 山下福太郎記者 荒井博樹記者 松井正記者
追加実験

LL牛乳

期限切れ5か月 賞味期限2008年5月24日
試食者
幸内康記者 二階堂祥生記者 山下福太郎記者 荒井博樹記者 松井正記者
評価
色5、外観5、におい4、味5、食感5、総合評価5 色5、外観5、におい5、味3、食感4、総合評価4 色4、外観4、におい2、味2、食感2、総合評価3 色3、外観3、におい2、味1、食感1、総合評価1 色4、外観5、におい4、味3、食感4、総合評価3
感想
においがあまりない。飲んでみると、粉ミルクのような味で、熟成された感じ。色は少し褐色がかっているような。 においは弱い。味はむしろ少し濃い(甘味が少ない)。においも味も、沈殿しているような感じ。 とろみがあり、きつい。においは少ない。 味は平板な印象、酸っぱい感じも。もう一つと違いがはっきりしているので捨てるが、これだけ飲んだら「こんなものか」と飲み続けるかも ビニールのような、少しいやな後味が残る。濃縮されたような感じ。
捨てる?捨てない?
捨てない 捨てない 捨てない 捨てない 捨てない
期限前22日 賞味期限2008年11月15日
試食者
幸内康記者 二階堂祥生記者 山下福太郎記者 荒井博樹記者 松井正記者
評価
色5、外観5、におい5、味5、食感5、総合評価5 色5、外観5、におい5、味5、食感5、総合評価5 色5、外観5、におい5、味4、食感5、総合評価5 色3、外観3、におい3、味4、食感4、総合評価4 色5、外観5、におい5、味4、食感5、総合評価4
感想
甘いにおいが立っている。軽い味だ。 サラッとしている。甘い。 ふつうの牛乳と変わりない。 あまり味にこだわらない方だが、おいしい部類に入るのでは? 少し甘いが、さわやかな味。おいしい。
捨てる?捨てない?
捨てない 捨てない 捨てない 捨てない 捨てない
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賞味期限って何?

2008年7月29日更新

今回味見したLL牛乳。左から賞味期限4月26日、5月24日、6月28日の3種類

再び体当たり! LL牛乳を追跡実験

 25年物のさけ缶を味わうなど、記者が体当たりで行った「賞味期限切れ食品の味見実験」から2か月。「継続は力なり」というが、実験で使ったLL牛乳の残りを、食ショック取材班ではひそかに(?)常温保存していた。そこで今回、賞味期限から約3か月、2か月、1か月となる節目の日に再び味見を行い、どう変化しているのかを追跡実験することにした。(7月29日)

期限切れ3か月でも、外国では賞味期限内

 7月24日午後、読売新聞東京本社9階の社員食堂に集まったのは、前回参加した経済部・二階堂祥生記者と、メディア戦略局編集部の松井正記者(筆者)。そして前回、無念のリタイアを経験した経済部・山下福太郎記者の3人だった。


おそるおそる牛乳をそそぐ二階堂記者(左)と山下記者

 前回、朝食抜きの空きっ腹で実験に臨んだため、充満した缶詰のにおいで気持ちが悪くなり、一度も味見できずリタイアした山下記者。一部で「敵前逃亡」との声も出た屈辱を味わっただけに、今回はその轍(てつ)を踏むまいと、食堂で実験直前にラーメンを食べ、準備万端での参加となった。

 今回味見するのは、賞味期限が4月26日(期限切れ3か月)、5月24日(同2か月)、6月28日(同1か月)のLL(ロングライフ)牛乳3種類。無菌状態で容器に密封したLL牛乳は、国内の賞味期限は製造後60日で、しかも冷蔵で売られることが多い。しかし外国では、賞味期限が日本より長い国が多く、アメリカは6倍の12か月、ドイツやフランスも1・5倍の90日だ。今回のLL牛乳の場合、期限切れ3か月で製造後5か月の計算だが、アメリカでは依然賞味期限内であり、実際の味がどうなのかは興味深い。

 なお今回も、評価項目は色、外観、におい、味、食感、そして総合評価の6つ。5段階評価で、良い評価であるほど、高い数字を付けた。


賞味期限切れ3か月の牛乳を味見し、顔をしかめる山下記者(右)

甘味は強いが、好きな人は好きかも…

 外見上は全く変化のない紙パックに、二階堂記者がストローを刺し、プラスチックコップに移し変えて味見が始まった。元々牛乳が得意ではない二階堂記者、再挑戦に緊張を隠せない山下記者とも、厳しい表情で期限切れ3か月の牛乳を手に取る。

 「うわっ、これは結構きついですね!」と、初の味見実験に顔を曇らせる山下記者。どうやらこういう味見実験は、基本的に苦手な様子だ。逆に二階堂記者は、「ほう、かなり甘いですね。これはこれで好きな人はいるかもしれない」と余裕の表情。その後、2人は次々と牛乳の味を確かめていったが、やはり期限切れから時間がたっているものほど、味やにおいに大きな変化を感じたようだ。


「甘いけど意外においしい」と感想をもらした松井記者

 ちなみに私自身は3種類とも、顕著な質の劣化は感じなかった。古いものは確かに、甘ったるい味とビニールのような後に残るにおいが特徴的だが、新鮮な牛乳とは違う飲み物だと割り切れば、ほとんど気にならないレベルの味だと思う。冷えていれば、これはこれで美味しいのではないかと、正直思った次第だ。

 日本のLL牛乳の賞味期限は、日本人の強い鮮度・安全志向もあって、相当余裕を残した形で60日となったようだ。同じ種類の製品で、これほど国によって賞味期限に差があるものも、珍しいのではないだろうか。そういえば、日本では牛乳は冷やして飲むのがふつうだが、中国では生温かいものが好まれるとも聞いた。まさにお国柄といったところか。

 賞味期限が4月26日のLL牛乳は、今回開封したものが最後の1本だった。次回の味見は、賞味期限5月24日の牛乳が製造後半年を迎える9月24日ごろが、適当かも知れない。製造後半年といえば、アメリカの基準ではまだまだ楽勝のはずだが、次回の味見に記者たちはまた、集まってくれるだろうか?(メディア戦略局編集部・松井正)

試食者
二階堂祥生記者 山下福太郎記者 松井正記者
追加実験

LL牛乳

期限切れ3か月 賞味期限2008年4月26日
試食者
二階堂祥生記者 山下福太郎記者 松井正記者
評価
色3、外観3、におい3、味2、食感2、総合評価2 色2、外観2、におい2、味1、食感2、総合評価2 色5、外観5、におい5、味3、食感4、総合評価4
感想
甘いにおいがして、トロみがある。練乳のような感じで、これはこれで好きな人がいるかも。 甘味があるが、むせてしまう。飲むヨーグルトのよう。こぼして乾いた後の牛乳のにおい? 甘味が強い。飲んだ後、パックのビニールか紙のにおいが口中に残るが、飲めなくはない。
捨てる?捨てない?
捨てない 捨てない 捨てない
期限切れ2か月 賞味期限2008年5月24日
試食者
二階堂祥生記者 山下福太郎記者 松井正記者
評価
色3、外観3、におい3、味3、食感3、総合評価3 色3、外観3、におい3、味2、食感3、総合評価3 色5、外観5、におい5、味4、食感5、総合評価4
感想
良くも悪くもない。それほど甘くない においが若干違和感を感じるが、冷やしたら飲みやすいかも。食感はほぼふつうの牛乳だ 薄いが甘味はある。やはりビニールのようなにおいが後に残る
捨てる?捨てない?
捨てない 捨てない 捨てない
期限切れ26日 賞味期限2008年6月28日
試食者
二階堂祥生記者 山下福太郎記者 松井正記者
評価
色3、外観3、におい4、味3、食感3、総合評価3 色4、外観4、におい4、味3、食感3、総合評価4 色5、外観5、におい5、味4、食感5、総合評価4
感想
サラッとした感じ。良くも悪くもない 色、におい、食感ともほぼふつうの牛乳で、捨てるには抵抗を感じる 多少口中ににおいは残るが、ふつうの牛乳とそう変わらない
捨てる?捨てない?
捨てない 捨てない 捨てない
食ショック第3部メニュー
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