期限切れ食品の試食会になるとも知らず、なごやかに始まった打ち上げ会
昨年10月にLL(ロングライフ)牛乳の追跡味見実験を行って、はや4か月。このほど、年間企画「食ショック」の連載終了を記念して、取材チームの打ち上げ会が東京都内で開かれた。ごちそうが並ぶ席上、企画を立案した鬼デスクから出席者にふるまわれたのは、製造後11か月を経た常温保存のLL牛乳と、さらに強力な隠し球だった……。
米国の賞味期限でもギリギリ、そのお味は?
年間企画「食ショック」は、昨年2月に本編連載がスタート。記者が日本の自給率分の国産食品だけで4日間を過ごし、大反響を呼んだブログ「二階堂記者の完全自給食」や、全国から食卓の写真を携帯で送ってもらった「にっぽんの食卓」など、ユニークな企画が次々と展開された。
LL牛乳をコップに注ぐ幸内記者。見た目はふつうの牛乳と変わらないが…
打ち上げ会は、春のような陽気となった2月12日夜、読売新聞東京本社に隣接する産経ビルで行われた。集まったのは、取材を担当した経済部、社会部、地方部、生活情報部の記者らと、シンポジウムを企画した広告局、ネットを担当したメディア戦略局の総勢15人。缶詰の味見でリタイア後、牛乳で見事復活した山下福太郎記者の姿がないのは残念だ。
総責任者の五阿弥宏安・編集局次長がねぎらいの言葉をかけた後、企画を担当した経済部の鬼デスクこと斎藤孝光デスクが登壇。「おいしい食事の前に、ぜひ味見して欲しいものがあります。きっとワインに合いますよ」と怪しい笑顔で披露したのは、期限切れから9か月、製造からは11か月を経たLL牛乳と、期限切れ1年という“超熟成”の納豆だった。LL牛乳は、世界で最も長い米国の賞味期限である製造後12か月にも、迫りつつある一品。納豆に至っては、冷蔵とはいえ異例の長期保存を経た代物だ(マネはしないでください)。
「新たな乳飲料と言われれば、ありかな…」
「う〜ん、だいじょうぶかな?」と不安げな近藤編集委員
打ち上げのなごやかな空気が一変し、会場に緊張が走る。LL牛乳の味見は予想していた者もいたが、「1年ものの納豆とは……」と不安の声が上がる。連載開始当初から、斎藤デスクは「いろんな食品で賞味期限切れの味見をしてみよう」と考え、長期計画で納豆を自宅冷蔵庫に保管していたという。
「牛乳は事前のサンプル検査で問題ないことがわかってますが、納豆は不明です。でも先月食べた時は問題なかったし、人間は腐ったものはわかるはず。多分大丈夫ですよ」と、強引な論理を展開する斎藤デスクを前に、おじけづく面々だった。
その中で、「あっ僕、その納豆には興味あります」と元気に手を上げたのは、自給食メニューを体験し、全ての味見実験にも参加した二階堂祥生記者だった。数々の体験取材を経て、食への好奇心がすっかり旺盛となったようだ。まずはLL牛乳を口に含み、「何も言われなければ、古いなんて気づかないかも」と余裕を見せる。
だが、缶詰の味見実験でキャップを務めた幸内康記者は、「これ、なんか分離してるみたい」と不安げな表情。1週間後には北京特派員として、家族と共に現地に赴く身だけに、「ただでさえ、食の安全に注意しなければならないのに……」とボヤきながら、最後のお務めとばかり味見していた。
「新たな乳飲料なら、ありかな」と余裕の弁の大森記者(右端)
一方、遅れて会場に到着した社会部の中村亜貴記者は、五阿弥局次長の「これは特別にフランスから輸入した牛乳でね」という言葉巧みな誘いに、おっかなびっくりでトライ。初めての甘味の強いLL牛乳の味わいに、苦笑いを見せていた。
ほぼ全員が味見をしたが、前回より味覚評価点は低いものの、「捨てる」と答えたのは幸内記者1人だけという結果に。生活情報部の大森亜紀記者は、「新たな乳飲料だと言われれば、それもありかな……」と答えるほどの高い評価だった。 国内のLL牛乳の賞味期限は製造後2か月とされ、今回はそれを9か月も上回るものだったが、味はともかく、十分飲める品質を保っていることは間違いなさそうだ。米国の賞味期限の製造後1年という基準も、決して無茶なものではないようだ。元々、常温長期保存を目的に開発された商品だけに、まさかの時のために自宅で保存する際の、一つの参考になる結果ではないだろうか。
1年間冷蔵保存された納豆。ところどころにアミノ酸の白い粒が見える
鬼デスクの隠し球 1年熟成の超絶納豆
続いて挑戦したのは、「25年ものの缶詰」に匹敵する大物、1年間冷蔵庫で寝かせた納豆だ。身構えながらも封を開けると、やや濃い色の納豆の表面に、白いカビのような粒が見える。これはチロシンというアミノ酸の結晶で、健康上は問題ないという。「あまりにおわない」「糸を引かないね」と感想がこぼれる。私も実際にかいでみると、意外とふつうの納豆の匂いで、常温保存で発生しがちなアンモニア臭は全く感じられない。
納豆を箸に取る幸内記者(左)と二階堂記者。長期保存のせいか粘りけが少ない
元気よく納豆の味見志願をした二階堂記者だったが、口に入れると「あっ、これまずいです」と一言。どうやら口に合わないようだ。近藤和行編集委員も、「ちょっと苦いかな」と複雑な表情。逆に中村記者は「ちゃんと納豆の味がしますよ」とつぶやき、食通として知られる生活情報部の福士千恵子デスクは、「ちょっとテンペ(インドネシアの大豆発酵食品)に似てるわね」と、豊富な食体験を生かしたコメントをしてくれた。
予想に反して好評、完食者まで出る結果に
最もおいしそうに食べていたのは、食ショック・シンポジウムを担当した広告局の鴻村亘(こうむら・わたる)広告第六部員。「全部いけました」と、あっという間に完食してしまい、五阿弥局次長は笑いながら、「最初の3粒は業務命令だけど、その後は自己責任だからな」と念を押していた。
納豆を完食した鴻村さん(左)と、笑顔で部下を見守る土屋課長
結局納豆は、5人中2人が「捨てる」とコメントしたものの、うち1人は「完食」の鴻村さんだっただけに、実質的にはかなり好評だったといえそうだ。斎藤デスクは「これはうまいよ。10年もののビンテージの酒のような旨味で、タレをかけなくても食べられる」と、自分がほめられたように、うれしそうな笑顔を見せていた。
期限切れ納豆の思わぬおいしさを確認するというおまけ付きで、デスク陣をも巻き込んだ最後の味見実験が無事終了し、会場からは拍手がわき起こった。長期保存したLL牛乳も底をつき、ホッとした表情を見せる幸内記者。取材チームの面々は、食のありがたみと大切さをかみしめるかのように、テーブルに並んだ“賞味期限内”のごちそうを、心ゆくまで味わっていた。(メディア戦略局IT事業部・松井正)。
| 試食者 |
| 幸内康記者 |
二階堂祥生記者 |
五阿弥宏安記者 |
近藤和行記者 |
大森亜紀記者 |
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LL牛乳
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期限切れ9か月 賞味期限2008年5月24日
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| 幸内康記者 |
二階堂祥生記者 |
五阿弥宏安記者 |
近藤和行記者 |
大森亜紀記者 |
| 評価 |
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| 感想 |
| 捨てる?捨てない? |
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