旬が消える…57%が「歓迎しない」
食品分野に高度なテクノロジーが入ってきた時代、消費者はどのように感じているのか。食ショック取材班は、「テクノロジーの表裏」の取材を平行して、NTTレゾナントの「gooリサーチ」と共同で1011人を対象にインターネット上でアンケートを実施した。
連載3回目の「旬消える」で取り上げた食材の旬についての質問では、57%が「いつでも食べられることを歓迎しない」と答え、食品の季節感を重視している人が多いことがわかった。
連載2回目の「その香り本物ですか」で紹介した「食品のにおい」についての質問では、「においはその食品のものだと思って購入していた」と57%が答え、人工的に作り出されたとは知らなかった人が大半を占めた。
トクホ制度、42%が「検討必要」
特定保健用食品(トクホ)の制度議論を呼んだ花王の「エコナ」。特保について聞くと、「何が良い食品かわからず不安に」が34%、「制度の検討が必要」が42%とそれぞれ回答した。
驚いたのは、販売停止の9月時点でエコナを使っていた人が2割以上に上っていたこと。エコナ問題の影響力の大きさを改めて実感した。(社会部・畑武尊)
豪州に渡ったサクランボ苗木
海賊版といえば、工業製品やヒット曲などが頭に浮かぶが、実は農業の世界にもある。種苗法などで、新しい品種を開発した人には「育成者権」という知的財産権が認められているのだが、植物の場合、苗木1本手に入れば簡単に増やせてしまうだけに、問題が複雑になっている。
「山形に負けないような良いものを作ってください」。こうして山形県内のサクランボ農家は、オーストラリアの農産物生産会社の社長にサクランボの新品種・紅秀峰の苗木を譲った――。
グルメ雑誌に載っていたその“美談”の記事に、山形県農林水産部の生産技術課長補佐(当時)は目をみはった。2005年5月のことだ。
美談が一転、訴訟沙汰に
記事中には、豪州の会社が既に紅秀峰の栽培に成功し、「日本への輸出に向けて着々と準備を整えている」という記述もあった。
紅秀峰は、県園芸試験所が91年に開発した新品種。甘く、日持ちもするとして、市場では高い値がついていた。県は「次世代の主力品種」として県内の農家に苗木を優先配布していたのだが、そのうちの一苗が海外に流出したのだ。
豪州は南半球で季節が逆転する。「日本に逆輸入されると一年中紅秀峰が出回り、旬が崩れて値が下がる」。危機感を強めた県は05年11月、豪州側を種苗法違反の疑いで告訴。並行して約2年に及ぶ民事交渉を重ね、豪州側から「紅秀峰の品種登録期間が終わっても3年間は日本への輸出を自粛する」という条件を引き出し和解した。

韓国で売られているイチゴ
「知的財産」流出相次ぐ
このケースは比較的うまくおさまったが、実は、こうした「知的財産」の流出は多い。現在、韓国で流通しているイチゴの8割は、日本の生産農家が開発した品種を無断栽培したものとされるが、日本側はなすすべがない状態だ。
背景には、関係者の知識不足もあるようだ。農村には昔から苗木を融通し合う習慣があったが、山形のケースでは県がパンフレット類を配るなどして農家に種苗法の周知活動を始めたのは問題発覚後の05年12月。苗木を譲ってしまったサクランボ農家の男性は、「違法もなにも、そんな法律があることも当時は知らなかった」と悔やんでいる。
男性が譲った40センチの枝1本は、今では、豪州の農地7ヘクタールで育っている。(社会部 十時武士)
柔らかさとバランス、フランス人を魅了
美食の本場パリの星付きレストランで、メニューに「Wagyu」の文字を見るようになったのはここ数年のことだ。20世紀を代表するシェフの1人ジョエル・ロブションが監修する「ラトリエ・ドゥ・ジョエル・ロブション」や「ラ・ターブル・ドゥ・ジョエル・ロブション」で、最初に気づいた。
日本でもレストランをチェーン展開するロブションは、和の食材に造詣が深い。いや、ロブションだけではない、ピエール・ガニェール、アラン・パッサール、アラン・デュカスら、日本に支店や監修する店を開いたことのある料理人はいずれも同じ。和牛だけでなく、ワサビ、ユズ、ノリまで使いこなす。日本料理はフランスのトップシェフを刺激する食材や調理法にあふれている。
フランスでブランド牛といえば、ブルゴーニュ産のシャロレ牛、中央部のリムーザン牛が有名だ。いずれも広い空間で伸び伸びと育てた牛ならではの、赤身肉の血と筋肉のうまみを特色とする。これに対して、和牛のうまさは赤身と脂肪の入り混じったバランスと柔らかさにある。そこに、ヨーロッパ人が注目しているのだ。
スペインの有名生産者と、現地でステーキを食べていたときのこと。「日本に行く度に、百貨店で買った神戸ビーフを持って帰るんだ。柔らかくて、最高においしい」と話していた。

香港の1つ星フレンチレストランで食べた「Wagyu」
のステーキ。これも見分けがつかない
「日本産は高すぎる」豪州産、東南アジアで人気に
和牛信仰は東南アジアにも広がっている。「Wagyu」を供するのは、超高級ホテルに入っているフランス料理やコンチネンタル料理のレストランだ。フランスの星付きレストランの支店も多い。シェフの多くはフランス人。アジアで働いているくらいだから、和食に関心を持っている。ところが、日本の牛肉は輸出量が少ないし、極めて高価につく。
そこで、オーストラリア産の「Wagyu」を使用している。香港の超高級ホテルでは、「ホテル内の1つ星レストランで出しているのはオーストラリア産」と教えてくれた。バンコクの高級フレンチでもオーストラリア産を使っていた。
そのシェフは「血統93%のオーストラリア産Wagyuを使う。専門家でない限り、味の違いはわからない。日本産は高すぎて使えないし、流通経路も限られている」と明かした。
そこの牛フィレ肉のポワレは2100バーツ(約5600円)。数百円で食事できるタイの物価からすればとんでもない高値だが、本物の和牛を使えばさらに高くなるのだろう。
将来が有望なアジア市場には、本国で認められた有能な料理人が派遣される。彼らの技術とソースにかかれば、下手な日本人が調理する和牛よりもおいしい。ジューシーで、繊細。香り高く、余韻が長い。確かに、本物かどうかの見分けはつかなかった。
「本物」守りたい…産地表示でブランド主張を
世界中の美食家や料理人が日本料理に注目している。ミシュランガイドが東京版と京都・大阪版を出版したのも、素材を大切にする調理法、うまみを抽出するダシのとり方、少量の皿をたくさん出すサービスなど、一流の懐石料理に、フランスのガストロノミー(美食)と共通する、時代や国を超える「本物の魅力」を見出したからに違いない。
ところが、世界に名をはせる和牛の偽者があふれている。これは危機的な状況だ。政府や生産者団体が声を上げて、和牛のブランド性を確立する必要がある。農業国フランスは、昔から自国の農産物を保護するため、偽者を排斥してきた。例えば、シャンパーニュ。世界中に「シャンパーニュ」の名を冠したコピー商品があふれているが、シャンパーニュの生産者団体は、メーカーに訴訟を起こしたり、WTOの協議のテーブルに載せてきた。
それを支えるのは、農産物への誇りと厳しい基準だ。産地名を名乗るシャロレ牛にしても、飼料や放牧面積が定められている。ブレスの鶏も同じ。ワインはさらに厳しい。いずれも公的な検査機関がチェックして、品質を保証している。
日本も将来は、牛の産地を前面に出して、生産者がそのブランド性を主張していくべきだろう。「和牛」ではなく、「松坂」「山形」などの産地名を表示した牛肉が、世界の一流レストランで供されるようになる日はいつのことか。(メディア編集部 山本 昭彦)
ハモの骨を細かく刻んで食べやすくする「骨切り機」
ハモ調理の“秘密兵器”
関東育ちの私にとってハモは、未知の食べ物だった。ハモは鋭い歯と強いあごをもつどう猛な魚として知られるが、低カロリー、高たんぱく質で、夏の暑さに負けない体力作りに役立つとされる。
ハモの加工をしている「徳島魚類」を10月中旬に訪れたが、ほぼハモの水揚げは終わっていた。しかし、一新実社長のご好意で、取材に訪れた私のために、特別にその加工過程を見せてくれた。
中でも2枚の刃が回転して骨を切る「骨切り機」は、興味深かった。ハモの骨は、除去するのかと思っていたら、切るだけだった。細かく切るだけで、食べられるようになるというのは、ハモになじみのない私としては何とも不思議な気がした。マイナス60度でハモを保管する冷凍庫も完備されていた。大型冷蔵庫と骨切り機は、大量生産を可能にする重要な施設と言える。
一新社長は「投資金額は莫大で、なかなか儲からないんですよ。こんな投資をして、周囲からは変な目でみられました」と笑みを浮かべながら話してくれた。それでも一新社長が、このハモの大量加工に踏み切ったには理由があった。

機械化でハモの“量産”が可能に
年中食べられる「夏の魚」
良質のハモは、徳島近海で多く取れるが、主要市場の京都や大阪に運ぶ際に、淡路島を経由していたことから、なぜか関西では「淡路のハモ」として知られていたという。淡路の業者が集荷していることが主な理由だった。
そんな状況に、「何とか『徳島のハモ』として、消費者に伝えたい」という気持ちが、一新社長の心の中で高まっていった。そこで、一定の季節だけ、高級料理としてだけ、食されていたハモを、もっと大量に各地に「徳島産」として供給しようとこの事業を8年ほど前に始めた。
まずは、名前を付けることから始めた。徳島のハモを「きらびき」と名付けた。そして商標登録もした。いわゆる「ブランド化」だ。ハモにブランド名を付ける発想は、当時の業界にはまだなかった。ブランドを付けることで、徳島のハモ=きらびき、と次第に認知度が広がっていったという。
いつの間にか、「淡路のハモ」ではなく、「徳島のハモ」を指名買いしてくれる顧客も増えだしたという。

あっさりしたハモの食感は、しょうゆ味によくなじむ
欲張りすぎない方が良いかも…
実際にハモ鍋を試食させてもらった。ゆであがったハモは、白い花が開くような形で、しょうゆ味がよくなじんだ。あっさりとした食感だが、鍋の具材としては、関東地方で育った私にもおいしく食べることが出来、全く違和感がなかった。最近では、関東地方のイタリア料理や中華料理の食材として、料理店で引き合いが来ているという。あと10年もすれば、関東地方でも、身近な食材になっているかもしれない。
旬の季節や文化、地域を越えて新しい食材に出会えるのは、楽しい。しかし、あまり欲張りすぎない方が良いのかも知れないという気持ちも、取材を通して芽生えてきた。その土地だけしか食べられないからはるばる食べに行く、その季節だけしか食べられないから楽しみに初物を待つという態度は、流通の発達、栽培技術の進歩などもあって失われてしまいつつある。
やっぱり、いつか、京都の祇園祭りを訪れたついでに、徳島産のハモの鍋を食べてみたい。いかにも楽しそうだ。(経済部 栗原守)
“香りの幻惑”に女子大生が挑戦
嫌いなリンゴ、オレンジ風味なら食べられた!
「香りが違うと、味までこんなに違うなんて」――。
11月2日、駒沢女子大学で行ったリンゴジャムに香料を加えた実験には、同大と短大で管理栄養士を目指す27人の学生が被験者として参加した。口々に出たのは、香りの効果への驚きの声だ。
用意されたリンゴジャムは、この日の朝の作り立てだ。すりつぶしたリンゴにグラニュー糖とクエン酸を入れて煮立て、オレンジ、イチゴ、レモンの香料を加えた。無香料の「本物」のリンゴジャムも合わせて4種類を、個別に囲ったブースで、目隠しをして試食した。
東田愛美さん(1年)は、イチゴとオレンジの香料入りジャムに、見事にだまされた。「今から思えば、食感は同じだった。香りは味より重要だと思った」。桑原紀久子さん(同)は「リンゴは嫌いだけど、オレンジ味がしたので、食べることができた」という。

実験が行われた駒沢女子大の官能検査室
香りと脳の密接な関係
人の五感に関する研究者などで作る日本官能評価学会の小塚彦明副会長は、「口の中で味と香りが重なって、初めて『風味』と感じられる。味と香りは不可分」だと説明する。
東京大学大学院医学系研究科の森憲作教授によると、香りには、害を与えかねない食べ物から体を守ったりする役割があるため、人間の情動を担当する脳の部分と密接に連携している。このため、特定の香りに対し、体が拒否反応を示したり、過去の記憶から「食べたい」という情緒的な感覚に結びついたりしやすいという。
「香り」を使った販売促進ビジネスの効果が高いのは、こうした人間の認知のあり方を利用しているからだ。香りで引き出された過去の味の記憶の前には、消費者は弱い存在だともいえる。
◇
香りの実験 記者も体験
駒沢女子大学での実験は、同大学、同短大で管理栄養士を目指す学生たちと、食品学を受け持つ下橋淳子教授とスタッフの方々の協力で進められた。
前述の通り、4種類のジャムを試食してもらい、「使った食材は何ですか」と質問した。結果は、想像以上だった。
正解は4つとも「リンゴ」だが、ストロベリーの香りを付けたジャムに対し、44.4%の学生が「イチゴ」と答え、オレンジの香りを付けたジャムに対しては、48.1%の学生が「オレンジ」と答えた。「レモン」については11.1%しか「レモン」と答えなかったが、これは、そもそもレモンジャムがあまり存在しないことに関係していそうだ。
解答
香料 |
香料を素材と錯覚した割合 |
正解率(「リンゴ」と答えた割合) |
その他の解答(「分からない」を除く) |
なし (無添加) |
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33.3% (9人) |
オレンジ(6人)、イチゴ(5人)、ブルーベリー(2人)、ナシ(1人)、アンズ(1人) |
| イチゴ |
44.4% (12人) |
14.8% (4人) |
ブドウ(3人)、ナシ(2人)、モモ(2人)、アンズ(1人)、オレンジ(1人)、パイナップル(1人) |
| オレンジ |
48.1% (13人) |
14.8% (4人) |
ブルーベリー(3人)、モモ(2人)、ラズベリー(1人)、レモン(1人)、イチゴ(1人)、パイナップル(1人) |
| レモン |
11.1% (3人) |
29.6% (8人) |
イチゴ(3人)、ブルーベリー(3人)、洋ナシ(1人)、アンズ(1人)、モモ(1人)、ユズ(1人)、オレンジ(1人)、グレープフルーツ(1人)、キウイ(1人)、パイナップル(1人) |
※参加者:駒沢女子大学、同短大の学生27人
「あっ」イチゴジャムの味が…
「そんなに簡単にだまされるのかなあ」と私も体験してみたくなった。私は実験の内容も「正解」も知った上ではあったが、実際に試してみた。4種類のジャムを次々と試食したが、ストロベリー香料のジャムを口にした瞬間に「あっ」と声を出してしまった。

どれも「リンゴジャム」のはずなのだが…
「イチゴジャムの味がする」と直感した。もちろんあり得ないことは分かっていた。しかし、口の中でかみ砕いているうちに、イチゴジャムを食べている確かな感覚(錯覚)がした。オレンジ、レモンの香料をつけたジャムを試食した時は、理性的に「ああ、オレンジ(またはレモン)の香りがするけど、リンゴジャムだ」と頭の中で理解できた。
なぜか、ストロベリー香料のジャムの時は、「イチゴジャムだ」という強い感覚に理性が押し流された。イチゴの細かいタネまで入っているような、不思議な感覚が自分を包み込んだのは、自分でも驚きだった。
「味って一体何なのだろう」この疑問は今回の企画の取材で常につきまとった。理屈で言えば、味は舌で感じるものと、口の中から鼻に抜けて嗅覚で感じたものの、混ざり合った感覚だ。それにしても、嗅覚の影響の大きさは予想を超えていた。
「香料こそが商品のカギだ」
約1年前、食品業界に詳しいある商社社員に、取材の際に言われた言葉を思い出した。「単純に言えば、清涼飲料は水と砂糖と香料の3つで出来ている。香料を入れ替えるだけで、まったく別の商品が出来上がる。香料こそが、商品のカギだ」と。今思えば、この実験はこの言葉を裏付けたとも言えそうだ。
ワイン売り場、芳醇な香りの源は…
香料のおかげで、香りのない加工食品を、まるで「出来たて」であるかのような気分で食べられるのは事実だ。しかし、香料の香りは、やはり天然の香りにかなわないという場合も多い。イチゴシロップの香りでイチゴを想起できるが、イチゴそのものの香りとはやはり違う。
個人的には単純に「本物の香りの方がいい」と思う。ただ、天然ものは産地や気候、熟し具合などによって、香りも異なる。それらの違いを捨てて、大量生産する加工食品で、誰もがイチゴをイメージできる香りを演出するには、香料の存在は不可欠になってくる。
忘れたくない「天然の香り」
実は、私はバニラの木を知らない。もし、いつか直接触れて、香りを体験する機会があるとしたら、きっと「アイスクリームの香りがする」と思うのだろう。順序が逆だが、香料のあふれる現代社会では起こりうることだ。これだけ香料のある食事に囲まれていると「これは香料」「これは天然」とこまかく判断して生活するのは難しいが、天然の香りの良さを感じる感性は失いたくないと、取材を通じて思わされた。
実験に惜しみない労力を提供してくださった、駒沢女子大学の下橋淳子先生をはじめ、スタッフや学生の皆様、本当にありがとうございました。
経済部 栗原守(くりはら・まもる)…40歳。埼玉県生まれ。主に食品・飲料業界を担当。好きな食べ物は、アジの刺し身。静岡県沼津市の支局勤務時に「アジのたたき定食」にハマり、以来「死に際の食事はアジのたたき」と決めている。山菜やキノコ類は苦手。コーヒーより紅茶が好き。

実験に参加した女子大・短大生の皆さん
大野裕子さん(駒沢女子短大 食物栄養科2年)「4つとも味が違うような気がしました。食感も違うような…」
奥脇春香さん(同短大 食物栄養科2年)「ニオイがしなかったけど、食感で分かりました。味は分かりにくかったです」
佐藤愛さん(同短大 食物栄養科2年)「美味しかったけど、識別は難しかった。ブルーベリーは分かりました」
青野恵里子さん(同短大 食物栄養科2年)「リンゴっぽいものがあったような気もするけど…。香りは区別できませんでした」
金井真澄さん(同短大 食物栄養科2年)「分かりにくかった。洋梨のラフランスがあったような気がします」
河西瞳さん(同短大 食物栄養科2年)「食感はそれぞれ違って、梨とリンゴがあった気がします。香りはあまりしなかった」
桐澤杏梨さん(同短大 食物栄養科2年)「味覚には自信があります。イチゴ味があった。レモン味は酸っぱく感じました」
松本亜弓さん(同同短大 食物栄養科2年)「イチゴとブルーベリーがありました。食感と食べたときのニオイで分かりました」
吉野美穂さん(同短大 食物栄養科2年)「全然区別できませんでした。頭に浮かばなかった。香りは意識していませんでした」
森田和世さん(同短大 食物栄養科2年)「オレンジとイチゴはわかりました。香りを頼りに区別しました。味には無頓着な方だと思います」
松本典子さん(駒沢女子大 健康栄養学科1年)「4つとも違う味で、リンゴの味が分かりました。味覚が一番頼りでした」
東田愛美さん(同女子大 健康栄養学科1年)「イチゴは味覚で分かりました。全く知らない味はなかったように思います。好きなのは辛い料理です」
笠井唯さん(同女子大 健康栄養学科1年)「区別できませんでした。食感は頼りにならない。全部同じように感じました」
小細澤桃子さん(同女子大 健康栄養学科1年)「ちょっとずつ味が違ったけど、材料は同じだと思います。4つともリンゴ味でした。味にはうるさい方です」
石黒めぐみさん(同女子大 健康栄養学科1年)「鼻が詰まっていたので分かりにくかった。視覚の先入観の影響が大きいなと思いました」
小澤栞さん(同女子大 健康栄養学科1年)「区別できませんでした。目で見てみないと区別しにくい。イチゴはあったと思います」
佐々木かなえさん(同女子大 健康栄養学科1年)「イチゴ、キュウイ、リンゴ…4つ区別できました。口の中で広がる香りを感じました」
小林千譜美さん(同女子大 健康栄養学科1年)「区別できませんでした。食感は頼りにならないし、味もダメ。朝も昼もジャムはよく食べます」
牛嶋茜さん(同女子大 健康栄養学科1年)「全然わかりませんでした。カシスジャムが好きだけど、味覚も食感も頼りになりませんでした」
サケを瞬く間に塩鮭に変える「インジェクター」
えっ!?注射針で…“最先端”の塩鮭作り
11月中旬。東京から新幹線と在来線を乗り継いで、宮城県石巻市に足を運んだ。目的は市内にある、宮城県水産技術総合センター水産加工開発部だ。県内の水産加工会社の新製品開発を手助けするため、同部の施設内には数々の加工用機械が並ぶ。そのなかで、こちらが注目したのが「インジェクター」。日本語で訳せば、注入器だ。
味付けをする食品加工技術の一つで、肉や魚の身の中に注射器で調味液を注入する「インジェクション」と呼ばれるものがある。それを行う機械がインジェクターなのだ。実際の注入作業をこの目で見るために、石巻を訪れた。

みずみずしい塩鮭が“完成”
30センチほどの大きさのサケのフィレを購入し、それを金属状のベルトコンベヤーに置く。スイッチを入れてもらうと、「ゴーン、ゴン」と低い音を出して、ベルトが動き出し、機械の内部にフィレを運んでいく。
内部では、細い注射器が上下にせわしなく動いている。その数、144本。そしてリズミカルに、下を通るフィレに針を突き刺していく。針からは食塩水が注入され、出てきた鮭はみずみずしく膨らんでいた。
これは、塩鮭を作るためのインジェクションだという。同部の三浦悟・主任研究員は「塩鮭は、塩水に浸けるか振り塩をするのが従来の作り方だが、時間もかかるうえ、場所によって味にムラが出てしまう問題があった。インジェクターならば、手早く内部に塩水を浸透させ、味も均一にできる」とメリットを説明する。
数枚のフィレを使って、数回インジェクターを動かしてもらった。塩鮭は好きで、自宅でも外食でもよく口にするのだが、そんな身近な食べ物が、こんな形で作られているかもしれないというのは、新鮮な驚きだった。一般人では想像すらできないものを形にすることが「技術の進歩」だとすれば、自分の「凡人」ぶりをいやと言うほどわからされた出張だった。
今後はせめて、食事の際、その食べ物がどうやって作られるかを少しは想像してみようと思う。頭の体操にはなりそうだ。その分、味を楽しめないかも知れないけど。(生活情報部 田渕英治)
添加物食品の正体を安部司さんが“暴露”
ビーカーに添加物、あっという間に「あの食品」
11月29日、東京・千代田区のホールで開かれた「健康を考える集い」をのぞいた。
講演者は、添加物商社で10年間働いていた食品ジャーナリストの安部司さん (58)。軽妙なトークを交えながら、壇上で様々な食品添加物を混ぜ、「食品」を作り上げていく。
水と油を注いだビーカーに、白い粉を加える。「乳化剤のグリセリン脂肪酸エステル、着色料…」。読み上げた添加物を入れ、ミキサーでかき回すと、あっという間にドロッとした真っ白い「コーヒーフレッシュ」が完成した。ある食品製造会社の「コーヒー用クリーミング(液状)」と同じだという。5_・g45個入り のパッケージの裏の表示には、「カゼインナトリウム(乳由来)」や「乳化剤」 の表示こそあるものの、牛乳や生クリームは一滴も使われていない。

手品を見せるように次々と食品を作り出す安部さん
白い大根に添加物を混ぜて、あっという間に「たくあん」の色をつけたり、無果汁の粉末からレモンジュースを作ったり。安部さんが添加物で作ったジュースを手に、「さあ、誰か飲んでみませんか」と200人以上の参加者に呼びかけたが、誰も手を挙げる人はいない。アシスタントの女性は「そりゃ、作る過程を見ちゃうと飲む気なくなるわよねえ」とつぶやいていた。
安部さんは「安くて、簡単・便利で、きれいでおいしくできるのが添加物のメリット。そういう品を消費者が選んできた」と話す。「添加物の入ったものを食べ続けるか、面倒でも安全なものを食べるか。二者択一の覚悟が必要」との問いかけに 、記者も今後は安全な食べ物を探そうと決意。でも、これだけ色々な食品が氾濫する時代、簡単にはいかなそうだ。(社会部 小野沢記秀)
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