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[よみがえれ 人と地球]第1部・異変最前線

海温上昇 凶暴化する嵐

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ニューオーリンズで最も大きな被害を受けた住宅街。海から流された300トンの荷船が長期間道路をふさいだ(2005年12月18日)=清水健司撮影

 「高波が市内まできた」「屋根が吹き飛ばされている」。大型ハリケーン「リタ」の上陸が近づいた昨年9月末、米テキサス州ヒューストン沿岸の暴風雨の中を、屋根に風速計や気圧計を満載した白い四輪駆動車が走った。米国の科学者やボランティアが7年前に設立した非営利組織「対ハリケーン研究チーム(HIRT)」の観測車だ。上陸する全ハリケーンを追跡し、観測データや生々しい映像をネットで陸軍やテレビ局、電話会社などに生中継する。

 ◆レベル4頻発

 米国には昨年、「レベル5」の超大型ハリケーンが次々と襲った。8月末の「カトリーナ」直撃前後で、米海洋大気局(NOAA)のハリケーン情報サイトへのアクセスが4倍に膨れ上がるなど、気象災害情報への需要の高まりが、HIRTの事業を支える。マーク・サダス代表(35)は「10年以上ハリケーンを監視してきたが、年々激しさを増すばかりだ」と異変を感じ取る。

 路上に放置された船、がれきに埋もれた車――カトリーナは死者1300人、千数百億ドルの経済損失など歴史的な被害を出した。ルイジアナ州ニューオーリンズ市にはいまも荒涼とした光景が残る。

 地球全体で暴風雨は巨大化していることが昨年9月、米ジョージア工科大などの研究で明らかになった。台風、ハリケーン、サイクロンなど「レベル4」(風速58メートル以上)以上の大型熱帯低気圧の年間発生数が、90年代(18個)は70年代(10個)の倍近くに増えており、ピーター・ウエブスター同大教授は「海温の上昇で凶暴な嵐ができやすくなった」と指摘する。気象庁の「異常気象レポート2005」によると、世界の海面温度はこの1世紀、平均0・48度上昇。ハリケーンを生む北大西洋の上昇は95年以降、特に著しい。

 ◆人為的原因?

 海温上昇は人為的な温暖化によるのだろうか。ウエブスター教授は「判断にはさらにデータの蓄積が必要」と慎重だが、浅井冨雄・東大名誉教授は「個々の現象を温暖化に結びつけるにはデータ不足だが、世界的な海温上昇は人為的な原因が大きい」と指摘する。

 04年、日本は過去最多の10個の台風が上陸、9月の台風18号は、全国で死者・行方不明者45人、損害額2700億円の被害を出した。韓国(02、03年)、フィリピン、台湾、中国(04年)など、アジア各国でも台風被害は目立つ。国際赤十字社によると、03年までの10年間に世界の気象災害発生数は68%増加している。

 04年3月、ブラジル沖の南部大西洋では観測史上初めての大型熱帯低気圧が発生、「カタリーナ」と名付けられた。ブラジルに上陸し、家屋500棟が倒壊、死者も出した。同国気象予報・気候研究センターのホセ・マレンゴ博士は「地球温暖化による異常気象の一つかもしれない」と報告している。

 季節はずれの12月に発生した05年27番目の熱帯低気圧「ゼタ」は、今月上旬に消えるまで北大西洋をさまよっていた。米海洋大気局の予測はこう警告する。

 「06年もハリケーンの上陸数は多い」

2006年1月23日  読売新聞)
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