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    安保法制・アーカイブ

    〈4〉憲法解釈

     新たな安全保障関連法案で焦点の一つになる「後方支援」などの自衛隊による国際的な活動を中心に、これまでの憲法解釈と今回の見直しの焦点をまとめた。

    Q.「後方支援」とは?

     A.武力伴わぬ輸送や医療

     戦争中の米軍などへの物品や役務の提供だ。

     日本は戦後、憲法9条の制約の下でも日本有事に対処できるよう、難解な憲法解釈を積み重ねたが、1990年代に入ると、それだけでは日本の平和を守れない現実に直面した。

     93年、北朝鮮が核兵器開発の意思を公然と示した朝鮮半島核危機が勃発。96年には、中国が台湾近海でミサイル演習を行い、米中が軍事的ににらみ合う台湾海峡危機も起きた。

     米国は、危機が戦争に発展した場合には、米軍を支援するよう日本に求めたが、日本は何もできないことが明らかになった。

     日米両政府は97年、日米防衛協力の指針(ガイドライン)を改定し、周辺事態の際の支援内容を初めてまとめた。具体的には、それ自体は武力の行使にならない補給、輸送、修理及び整備、医療などだった。

    Q.戦争支援とどう違うか?

     A.活動場所を限定

     ガイドライン改定に盛り込まれた後方支援を可能にするため、日本政府は99年、周辺事態法を成立させた。この際、憲法9条を根拠とした「武力行使との一体化」論が大きなカベとなった。

     「一体化」論とは、他国の武力行使と一体となるような支援活動を行うことは、憲法9条に抵触するという憲法解釈のことだ。97年2月、大森政輔内閣法制局長官は「自らは直接『武力の行使』をしていないとしても、他の者が行う『武力の行使』への関与の密接性等から、我が国も『武力の行使』をしているとの評価を受ける」場合があると説明した。

     9条が禁じているのは武力の行使だったが、「一体化」論によって、水や食料を提供したり、医療を施したりすることまで憲法違反になり得るとされていた。

     そこで政府が絞り出したのが、「後方地域」という考え方だった。〈1〉現に戦闘が行われていない〈2〉活動期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる――地域を後方地域とし、自衛隊の支援活動を後方地域に限定すれば、「一体化を生じるということはそもそも想定できない」(大森長官)と整理したのだ。

     ただ、周辺事態法では結局、支援活動のほとんどは、〈1〉や〈2〉の判断の必要もない日本の領域内で行うこととされ、輸送だけが公海でも可能とされた。慎重を期すため、「戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油」や「武器・弾薬の提供」も除外された。

    Q.「非戦闘地域」とは?

     A.地理的な線引き困難

     周辺事態法で生み出された「後方地域」という考え方が、その後の日本の国際協力で、「非戦闘地域」として受け継がれた。

     2001年9月11日の米同時テロを受け、米国から「顔の見える協力」を求められた日本は、即座にインド洋での給油活動を行う方針を決めた。

     戦争中の多国籍軍に支援を行うのは、自衛隊発足後初めてだった。迅速な方針決定が可能だったのは、「非戦闘地域」で給油を行えば、憲法9条に抵触することはないと判断できたためだ。

     03年3月に始まったイラク戦争では、日本政府は04年2月からイラク南部サマワに陸上自衛隊を派遣し、「非戦闘地域」で給水や学校、道路整備などの人道復興支援を行った。

     ただ、戦闘地域と非戦闘地域の地理的な線引きをすることは困難だった。政府は「非戦闘地域」を地理的な範囲ではなく、「憲法上の要請を制度的に担保するための法的概念だ」(石破防衛長官)と説明した。

     小泉首相が「どこが非戦闘地域なのか、私に聞かれても分かるはずがない」(03年7月の党首討論)、「自衛隊が活動している地域は非戦闘地域だ」(04年11月の党首討論)と答弁し、批判を浴びたこともあった。

    2015年04月10日 09時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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