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    安保法制・アーカイブ

    〈5〉自衛隊 広がる国際活動

    Q.今後、何ができる?

     A.弾薬供給、空中給油も

     今回の安保法制見直しでは、「武力行使との一体化」論は維持したが、あいまいだった線引きを次のように明確にした。

     「我が国の支援対象となる他国軍隊が『現に戦闘行為を行っている現場』では、支援活動は実施しない」

     政府が後方地域の時にひねり出した従来の憲法解釈のうち、「活動期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる」という規定をなくした点が大きな変更点だ。

     この新解釈により、その時点で戦闘が行われていなければ、自衛隊による後方支援が可能になる。

     朝鮮半島有事など周辺事態の際には、公海に加え、当該国の同意があれば外国の領海・領土まで活動地域が広がる。これまで慎重を期して除外していた弾薬補給、戦闘機への空中給油なども可能になる。

     また、国際協力活動の場合でも、支援を行うことができる地域は大幅に広がり、効果的な活動場所を選ぶことができるようになるとみられる。

    周辺事態の範囲見直し

     今回の安保法制整備では、周辺事態の範囲についても、見直しが行われる。

     現行の周辺事態法の定義は、「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」というものだ。これに加え、国会答弁で「中東やインド洋で生起することは現実の問題として想定されない」などとし、地理的な制約があるという認識が広まっていた。

     今回の見直しでは、「我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」という本来の定義に純粋に従い、地理的制約は設けないことを明確にする。そのため、「周辺事態」という名称の使用もやめる。代わりに、「重要影響事態」などの名称を検討している。

     これにより、日本の平和・安全に影響のあるシーレーン(海上交通路)は、対象になる見通しだ。政府内では、ホルムズ海峡や南シナ海での紛争時に自衛隊を派遣することが検討されている。

     一方、日本の平和・安全に重要な影響はないが、国際平和の維持のために必要な場合にも迅速に自衛隊を派遣できるようにするため、後方支援の恒久法も制定する方針だ。

     改正する周辺事態法と新たに制定する恒久法は同じ後方支援を可能とする内容だ。どちらの法律を適用するかは、地理的に決めるのでなく、発生した事態が日本に与える影響によって判断することになる。

    Q.武器の使用は?

     A.任務で警告射撃可能に

     自衛隊を海外に派遣する際、憲法との関係で特に議論されてきたのが、武器の使用に関することだった。海外で武器を使えば、憲法9条が禁じる「武力の行使」にあたりかねないというのが反対派の主張だった。

     政府は、武力の行使にならない武器使用はあると主張した。「自己または自己とともに現場に所在する我が国要員の生命または身体を防衛する(中略)ために必要な最小限の『武器の使用』」は、憲法9条に違反しないとの政府統一見解を1991年9月に出した。

     こうした武器の使用は、「自己保存型」と呼ばれる。

     その後、防衛対象に「自己の管理の下に入った者」が加えられ、民間人や外国人であっても、一緒に行動している人であれば、自衛隊員が武器を使って守れるようになっている。

     一方、政府はこれまで、離れた場所にいる他国部隊や民間人らを救助する「駆けつけ警護」や、任務を遂行するための武器使用(任務遂行型)を法律に盛り込まなかった。

     自衛隊が武器を使用した相手が国に相当するような組織(国に準ずる組織)だった場合には、憲法解釈上、武器使用が武力の行使に該当するためだ。駆けつけ警護などの場合、相手が誰だか分からず、結果的に憲法に抵触しかねないとされた。

     今回の安保関連法案では、自己保存型に加え、任務遂行型の武器使用も、一定の条件のもとでできるようにする。

     当該国政府の「受け入れ同意が安定的に維持されていることが確認されている場合」には、国に相当するような組織と対峙たいじすることはあり得ないと整理し、任務遂行のために警告射撃などを行うことが可能になる。(おわり)

    2015年04月10日 09時05分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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