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    安保法制・アーカイブ

    憲法下 最大限の活動可能…元防衛相 森本敏氏

     政府が14日に閣議決定した新たな安全保障関連法案により、日本の防衛政策は大きな転機を迎えた。その意義について、日米の専門家に聞いた。

    • 元防衛相 森本敏氏
      元防衛相 森本敏氏

     閣議決定された安全保障法制は、大別すると3点から成り立っている。

     第一は、国連平和維持活動(PKO)で業務と武器使用権限を拡充するための法改正だ。約22年間のPKOを点検し、問題点を改善するための改正だ。第二は、周辺事態法の改正と、国際平和支援法という恒久法の制定だ。政治的リスクを負って特別措置法を整備した従来のやり方と違い、平時から後方支援に向けて必要な態勢を取れるようにした意味は大きい。第三が、武力攻撃事態法と自衛隊法の改正だ。厳しい限定要因をつけながら、必要な武力の行使を可能にした。

     この法制は日本の安全と抑止機能だけでなく、日米同盟の強化を図ることが狙いだ。特に、アジア太平洋地域で必要な抑止機能を果たす米国を支えることは地域の安定の維持につながる。

     厳しい国際情勢の中で、日本の安全保障政策は憲法解釈を積み重ねて少しずつできることを広げてきた。今回の法制は、現憲法下でたどり着いた最後のステージという印象だ。これ以上は憲法改正が必要となる。

     与党協議の過程で、公明党は健全な抑制要因となった。与党内で野党的役割を果たした結果、「国会の事前承認」や「存立危機事態」などの要素が盛り込まれ、全体としてバランスの良い法制になった。

     野党の一部が「戦争をするための法制」と批判しているが、認識が誤っている。日本が戦争に参加するとは法案のどこにも書いていない。世論の警戒感や不安感を促す便法にすぎない。

     ただ、周辺諸国が懸念を表明することはあり得るし、国民に理解が浸透していかないかもしれない。政府は国会審議を通じて、日本ができること、できないことを分かりやすく説明する責任がある。そのことが自衛隊の活動への国民の支持と理解につながっていく。

     安保法制ができても、自衛隊がすぐに新たな活動をできることにはならない。従来経験しなかったリスクやコストを予期しながら対応していかないといけない。部隊行動基準やマニュアルの整備、隊員の訓練、意識向上、それに日米間の調整メカニズムや共同計画の策定には相当な努力を要する。今後、防衛省・自衛隊が負うべき責任は大きい。

     今回の法制では、自衛隊派遣の判断基準を国家安全保障会議(NSC)に委ねている部分が多く、NSCの機能を充実させないといけない。正確で十分な情報が収集できなければ、的確な決断はできない。情報機関の機能強化が次の大きな課題となる。(政治部 石川有希子)

     もりもと・さとし 拓殖大特任教授。自衛隊、外務省、拓殖大教授などを経て2012年6~12月に民間人初の防衛相を務めた。74歳。

    2015年05月15日 07時15分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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