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    安保法制・アーカイブ

    日本の役割拡大歓迎…カーネギー国際平和財団上級研究員 ジェームズ・ショフ氏

     政府が14日に閣議決定した新たな安全保障関連法案により、日本の防衛政策は大きな転機を迎えた。その意義について、日米の専門家に聞いた。

    • ジェームズ・ショフ氏
      ジェームズ・ショフ氏

     新たな日米防衛協力の指針(ガイドライン)と安全保障法制は、日本にとって大きなステップだ。日本国内で論争があることは知っているが、日米同盟に資するものであり、アジア太平洋地域の多くの国々が日本の役割拡大を歓迎している。

     集団的自衛権行使の限定容認を含め、安保法制の内容は政治的に実現可能なもので、同盟強化にも役立つ。自衛隊が現在の国際的な安全保障環境の必要性に応じて行動できるようにするのと、防衛的なアプローチで対応するという制約の維持という二つの課題について、バランスをうまく取った形となっている。

     安保法制が制定されれば、ガイドラインは実行しやすくなり、米国としても非常に満足するだろう。もちろん一部には、日本にもっと協力を拡大してほしいとの考え方もあるが、全体としては高く評価している。

     民主党は安保法制の議論で、自衛隊の活動に「歯止め」がかからないなどと主張しているが、同意できない点が多い。集団的自衛権について言えば、日本政府が決定するのは国家の「存立危機事態」であることを理解しなければならない。国会の議論を通じ、日本国民の理解が深まることを願っている。民主党など野党には審議拒否だけはしてほしくない。

     懸念しているのは、国会議論が問題点のあら探しとなり、内容が後退し、公明党が想定していた以上に制約がかかるのではないか、ということだ。

     新ガイドラインの最も重要な点は、同盟が機能するように「移行」することだ。別々に活動し、調整していたものを、日米で統合された枠組みに変化させていく。

     その中で、これまでの「前方地域」「後方地域」という概念が消えた。これは非常に適切なことだった。軍事技術の進展、北朝鮮の核・ミサイル開発、サイバーや宇宙への領域拡大などにより、「前方地域」「後方地域」という考え方は現実に追い越された。

     新ガイドラインによって、警戒監視活動、ミサイル防衛、宇宙、サイバーなど、日本と米国が統合して行う活動では、自衛隊と米軍の部隊運用に関する日米共同調整所などの「同盟調整メカニズム」が活用される。計画立案や訓練はこれまでと質的に異なるものになり、日米がお互いに協力する意識が強まるだろう。

     中国も新ガイドラインの要素ではあるが、中心ではない。日米同盟を近代化させることが主目的だ。中国は日本の領土・領域に踏み込まない限り、懸念することなどないはずだ。(ワシントン支局 今井隆)

     James Schoff 国防総省上級顧問、外交政策分析研究所アジア太平洋研究部ディレクターなどを歴任。専門は日米関係、日本政治、安全保障。49歳。

    2015年05月15日 07時05分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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