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皇太子さま 記者会見詳報(1)


メキシコ訪問を前に、記者会見で質問に答えられる皇太子さま(10日午後、東京・元赤坂の東宮御所で)=代表撮影

 皇太子さまは10日、15日からのメキシコ訪問を前に、東京・元赤坂の東宮御所で記者会見された。会見のやり取りは以下の通り。

 ――14年ぶりに訪問されるメキシコの印象と訪問にあたっての抱負をお聞かせ下さい。水フォーラムに臨むお気持ち、環境問題への思いを併せてお示し下さい。

ご回答

 この度、フォックス・メキシコ国大統領からメキシコ市で開催される第4回世界水フォーラムへの参加のご招待をいただき、メキシコ国を訪問できることを大変うれしく思います。私のメキシコ国への訪問は昭和57年、平成4年に続いて3回目になります。私が初めてメキシコに触れる機会を持ったのは昭和45年の大阪の万国博覧会の時で、メキシコのパビリオンを訪れた時だったと思います。事前に今の両陛下からメキシコの歴史、文化についてのお話を伺っていましたので、メキシコの歴史や文化に関する展示には殊に興味を持ったように思います。パビリオンには紀元前1250年ごろから紀元前後にかけて栄えたオルメカ文明の有名な巨石人頭像やマヤやテオティワカンの遺跡に関する展示もあり、メキシコの歴史が石の文化であるということを子どもなりに関心を持ったように記憶しています。また、パビリオンの入り口ではメキシコの音楽も演奏され、その明るさが印象的でした。実際にメキシコを過去2回にわたって訪れてみて、メキシコの持つ文化や歴史、社会の多様性、そして人々の持つ明るさとバイタリティーが強く印象に残りました。また、多くの日系人の方々からも温かく迎えていただいたことや、メキシコ市郊外の保養地であるクエルナバカのカテドラルで発見された日本の長崎での26聖人殉教の壁画を目にしたことなどを通して、日本とメキシコとのつながりを目の当たりにしました。なお、私もいくどかお会いしましたが、日本のバイオリン奏者である黒沼ユリ子さんが長い年月にわたり、メキシコの子どもたちへのバイオリンの教育に努めておられることはとても素晴らしいことだと思います。ここにも日本とメキシコとの結びつきを感じます。全体にメキシコの人々の日本への関心の高さや期待のようなものを各所で感じました。さらに言えば、前回、メキシコを訪れた際には、メキシコ料理を何種類か賞味しましたが、タコスを始め、トウモロコシを使った料理が多かったのが印象的でした。いずれもとてもおいしく感じられました。食べ物はすぐれて、その国の文化を表していると思いますが、メキシコは改めてトウモロコシの文化であるということを思いました。今回の訪問は日数が限られていますが、出来るだけ多くの方々とお会いし、相互に理解を深め、また、メキシコという国についても、さらに理解を深めていきたいと思っています。また、今回は特に水フォーラムへのご招待でもありますので、この機会にメキシコが取り組んでいる様々な水問題についても理解を深めたいと思います。併せて、以前から関心のあるマヤ文明についても視察を通して多くの事を学びたいと考えています。

 次に今回の水フォーラムについてですが、21世紀は水の世紀とも言われています。特に人口の増加や土地利用の変化による水不足、洪水や水質汚染など世界的にも様々な水問題が深刻化しています。環境問題の中で水問題の占めるウエートは極めて高いと思います。平成15年に京都市を中心として開催された第3回世界水フォーラムでは、私は名誉総裁を務めさせていただきましたが、水に関する問題が実に多岐に渡っていることに驚かされました。中でも世界では約11億人が安全な水を飲むことが出来ない、そして約26億人が改善された衛生施設を持っていないこと、水にかかわる病気のために約10秒から20秒に1人、子どもの命が失われているという事実には、水は安全と思われがちな日本において大いに考えさせられるものがありました。また、途上国では浄水設備が整っていないことから、女性や子どもが遠く離れた場所まで水くみに行かなければならず、それが労働としても大変で、かつ、多くの時間を取られるために教育の機会を失う結果となっている事実も分かりました。また、私の専門分野の水運に関して言えば、地震などの災害で道路や鉄道が使用出来ない時には、水運が救援物資の輸送や、けが人の搬送に大きな役割を果たすこと、そして交通渋滞の緩和にも水運は役立つのではないかといった指摘も傾聴に値するものがありました。いずれにせよ、私自身、公務としてこのようなフォーラムに関係することが出来たことを大変うれしく思います。

 その後も国連のミレニアム開発目標に水供給と衛生の問題などが掲げられ、世界の多くの人々が努力をしていますが、なかなか改善は難しいようですし、最近、発生したインド洋の大津波、あるいは大型のハリケーンや台風による被害などに対する取り組みも急がれます。この度の第4回世界水フォーラムを契機として、水の問題が少しでも解決の方向に向かうことを願っております。私としては今後も、日本、そして世界における水を巡る様々な問題について理解を深めていきたいと思っていますし、この問題に今後ともなんらかの形でかかわることが出来れば幸いと思っています。なお、今回の水フォーラムでは、水フォーラム側からのお話もあり、江戸と水運というテーマでお話をさせていただこうと思っています。メキシコ市は東京と並ぶ世界でも有数の大都市ですが、東京の前身の江戸の発展に水運や上水道の整備がいかに重要な役割を果たしたかということを先日訪れた埼玉県さいたま市にある見沼通船堀や玉川上水を例にお話してみたいと考えています。最後になりますが、今回の私のメキシコ訪問が、メキシコと日本との友好親善関係の増進に少しでもお役に立つのであれば幸いです。

2006年3月10日  読売新聞)
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