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皇太子さまドイツ訪問前の会見詳報(1)

 


会見される皇太子さま(代表撮影)

皇太子さまが記者会見

 皇太子さまは17日、今月21日からのドイツ公式訪問を前に東宮御所で記者会見に臨まれた。

 今年は日本との修好通商条約締結から150周年に当たり、現地で記念行事などに出席するが、東日本大震災を受けて日程を短縮した経緯などに触れ、「ドイツの方々には、機会をとらえて、寄せていただいたお見舞いのお気持ちと、様々な支援にお礼を申し上げたい」と語られた。震災後初の記者会見でもあり、被災地への思いとして、療養中で訪問を見送られた雅子さまと共に「これからも長く心を寄せ、復興への道のりを見守り続けたい」と述べられた。

(2011年6月18日付朝刊掲載記事)

――(問1)東日本大震災では、殿下が訪問されるドイツをはじめ世界各国から様々な支援が寄せられ、国際親善の重みを再認識する機会となりました。一方、震災から3か月が過ぎても、被災地の復興にはなお時間がかかり、福島第一原発事故の今後も不透明な状況で、殿下ご自身もドイツ訪問の日程を短縮する配慮をされました。平成7年の阪神淡路大震災後、中東を訪問される際、殿下は「このような状況で外国に行くことは忍びない」という趣旨の発言をされました。今回、日独交流150周年の名誉総裁として、長年交流を重ねてこられたドイツを訪問されるに当たっての抱負と共に、ご訪問がこのような時期に重なったことについてのお気持ちをお聞かせください。

ご回答

 まず最初にこの度の東日本大震災で亡くなられた多くの方々に心から哀悼の意を表します。極めて大きな被害をもたらした震災から3か月余りがたちましたが、今なお、避難所などで不自由な生活を送っておられる方が数多くおられます。改めて、ご遺族と被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。そして、被災された方々には、今後も多くの方から温かい支援の手が十分に差し伸べられることを願うとともに、この災害からの復旧や復興が一日も早く進むことを祈っております。また、被災地で日夜、復旧・復興活動に献身的に取り組んでおられる方々のご苦労もいかばかりかと思います。

 私たちも、特に、今回の東日本大震災で不自由な思いをされておられる方々のことには常に思いを寄せており、これからも長く心を寄せ、復興への道のりを見守り続けたいと思っております。被災地との関係では、今申し上げた考えの下、今後とも、受け入れ先のご都合を十分に配慮した上で、お見舞いや、現地の事情を伺う機会を持っていかれればと思っております。

 今回の震災に関しましては、世界各国からお見舞いのお気持ちを寄せていただくとともに、様々な支援を頂きました。この場をお借りして、心からお礼を申し上げます。

 この度、ヴルフ・ドイツ国大統領よりのご招待を受けて、日独交流150周年名誉総裁として、ドイツ国を公式訪問することになりました。ヴルフ大統領を始めとするドイツ国政府に感謝いたします。

 今年は日独交流150周年に当たり、ドイツにおいてはヴルフ大統領が、また、日本においては私が、それぞれ名誉総裁を務め、両国で様々な計画が組まれています。私自身、この1月以来、幾つかの150周年関連行事に出席いたしました。そして、その一環として、私の名誉総裁としてのドイツ訪問が、日本政府とドイツ政府の調整の結果、この時期に実現する運びになっておりました。

 今回の訪問については、当初は地方訪問を含めた日程での公式訪問が検討されておりましたが、3月11日に起こった東日本大震災の被害の大きさに鑑(かんが)みて、日本側より、首都ベルリンに限った日程短縮の検討をお願いしたところ、ドイツ側からもご理解を頂き、ベルリンにおいて、すべての公式日程をこなすこととなりました。ドイツ政府のご配慮にも感謝したいと思います。今回の私の訪問が、日独双方の国民が長い交流の歴史に思いをはせる機会となり、今後の良好な日独関係の更なる関係強化の契機となれば幸いです。

 東日本大震災に際しては、ドイツからも、震災発生以来、今回お招きいただいたヴルフ大統領を始め、政府関係者はもとより、多くのドイツの一般市民の方々からお見舞いの気持ちを寄せていただき、また、様々な支援を頂いたと伺っております。こうした背景の下、今回のドイツ訪問でお目に掛かるドイツの方々には、機会を捉えて、私よりこれまで寄せていただいたお見舞いのお気持ちと、様々な支援にお礼を申し上げたいと思っております。

 私とドイツとの関わりについて一言お話しすれば、そもそも、私自身、ドイツの文化には幼少の頃より、音楽や文学などを通じ、親しみを持っておりました。その後、日本の中世の交通史を研究する過程で、ドイツの交通の歴史や都市の発達などにも関心を持つようになりました。英国留学時代の昭和60年に初めて当時の西ドイツの諸都市を訪問した際には、ライン川を船で下る経験をしたり、中世のハンザ同盟の代表的都市であった、ハンブルク、リューベック、リューネブルクなどを訪ねることができたことはとても良い思い出になりました。なお、音楽に関して言えば、当時の首都であったボンにあるベートーベンハウスを訪れることができたこともうれしいことでした。

 次にドイツを訪問したのは、まだ、ベルリンの壁のある、昭和62年でしたが、公式訪問として、西ベルリンを訪れ、現在は在ドイツ日本大使館の建物となっている「ベルリン日独センター」の開所式に出席する機会を得ました。私が1歳の頃に造られた、冷戦時代を象徴する、東西を隔てるベルリンの壁を初めて見たときは、国際政治の厳しい現実に、正直ショックを受けたことを記憶しています。なお、このときは、ベルリン滞在後、ミュンヘン、ローテンブルクといった南ドイツにも足を運び、北ドイツとはまた違った趣のある南ドイツの風情に触れることもできました。

 皇太子となってからは、ドイツへの公式訪問の機会はありませんでしたが、1999年から2000年にかけてのドイツにおける日本年、2005年から2006年にかけての日本におけるドイツ年の名誉総裁を務めるなど、ドイツとの関係について関わりを持ってきました。今回、公式訪問としては24年ぶりになり、統一後のドイツは初めて訪れることになります。平成5年に両陛下がご訪問になっておられ、その際のお話は両陛下よりいろいろと伺っておりますが、今回、ベルリンの壁が無くなり、新しいドイツの首都となったベルリンを訪れ、昭和62年当時とどう変わったか、この目で確かめてみたいと思っています。それとともに、多くのドイツの方々とお話ができますことを楽しみにしています。

 今回のドイツ訪問では、ちょうど日独の交流150周年の機会に当たりますので、150年前に両国の友好と交流を始める基礎となった日・プロイセン修好通商条約の原本を拝見したり、明治期の我が国を代表する作家の一人である森鴎外のゆかりの記念館を訪問する中で、ドイツが我が国の近代化の時期に示した友好の歴史に思いをはせたいと思います。

 また、未来に向けた日独関係という観点から、予定されている日程の中で、日本に関心を持ち、日本のことを学ぶドイツ人大学生などと話す機会や、ベルリン日本人国際学校や、同校に併設されているドイツの小学校の訪問を楽しみにしています。

 そして、かつて、開所式に出席した「ベルリン日独センター」におけるシンポジウムへの出席も楽しみにしています。ベルリン日独センターは、開所以来約4半世紀の年月を経て、学術、文化など様々な分野での日独間の交流、協力を推進する場として貢献してきました。今回は、日独両国が狭い意味での2国間関係にとどまらず、広く世界の利益のために今後協力していく分野として、環境、防災などを取り上げて議論すると伺っております。両国が、過去を踏まえ、現在の協力関係を基礎として、未来に向けて協力関係を深化させ、発展させていくことを期待しています。

 

2011年6月18日  読売新聞)
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