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    生活

    あなたのマンションは「2020年問題」を乗り切れるか?!

    フリージャーナリスト 福崎 剛
     世間を騒がせた、大手デベロッパー分譲マンションでの基礎工事の施工不良問題。「人ごとではない」「うちは大丈夫なのか」と不安に思う区分所有者も少なくないだろう。この機会に、自分のマンションの構造を再確認する人もいるかもしれない。しかし、マンションの「見えない」「深刻な」問題はそれだけではない。むしろ、もっと多くの区分所有者に関係し、対策が遅れれば破綻マンションを抱え込みかねない大きな課題がある。マンションに詳しいフリージャーナリストの福崎剛さんが解説する。

     

     

    スラム化、資産価値ゼロの危険

    • 東京五輪の会場に近い地区では、高層分譲マンションの人気が高まっている(2015年3月、東京都中央区で)(読売新聞本社ヘリから空撮)
      東京五輪の会場に近い地区では、高層分譲マンションの人気が高まっている(2015年3月、東京都中央区で)(読売新聞本社ヘリから空撮)

     2020年の東京五輪・パラリンピック開催にわく東京。急ピッチで進む都心の開発整備で分譲マンションの建設も活況をみせている。

     そこに水を差すように、最近一部で話題になっているのが、「マンション2020年問題」だ。これは五輪フィーバーが終わった2020年以降の人口減少と高齢化で、マンションの管理・修繕が行き届かず価格が暴落するというもの。

     その発端は、東京都住宅政策審議会が9月3日に出した『東京におけるマンション施策の新たな展開について(答申)』だ。この答申の中で、維持・管理や修繕が適切に行われず、居住環境はもとより、周辺にも悪影響を与える“管理不全マンション”が増えることが懸念されている。この問題自体は今に始まったことではなく、以前からマンション管理に無関心な区分所有者が多いことは指摘され、広く認識されてきた。「2020年問題」はそこを強調し、ややあおり気味とも言える。

     では、安心していいのだろうか? マンション管理が適切に実施されていかなければ、いずれ住んでいるマンションが老朽化しても修繕もままならず、スラム化して資産価値がゼロになる危険がある。

    適正な修繕に必要なマンションの“貯金”=修繕積立金

     そのカギを握るのが「修繕積立金」だ。

     修繕積立金とは、マンションの経年劣化による部分的な補修や大規模修繕に備える大切な費用になる。

     「修繕積立金を毎月きちんと払っているから、うちのマンションは大丈夫」と考える人が少なくない。だが、実際に大規模修繕工事が必要な頃になって、資金不足だと初めて知る区分所有者は多い。そもそも大規模修繕工事にいくらかかるのかさえ知らず、修繕積立金を払っていることで安心してしまいがちだからだ。

     まず、新築マンションでは、大規模修繕工事がどういう内容であることも把握していない区分所有者がほとんどだろう。また区分所有者で結成しなければならない「管理組合」のことでさえ、任意の参加で自治会と混同していたり、ほかの住人と関わり合いたくないという人が多かったりすると、管理不全マンションへまっしぐらとなる。

     「だから管理会社に任せているんじゃないの?」という人は大きな誤解をしている。

     実は、修繕積立金を工事代金として払う場合でも管理組合の承認がなければ勝手に動かせないから、管理組合が管理費や修繕積立金の会計をきちんとチェックしていなければ、管理会社は提案するばかりで何もできない。

    <大規模修繕工事>
     マンションの建物、設備の老朽化や取り換えが必要な工事。およそ12年ごとに、屋上防水や鉄部塗装、外壁タイルの補修、廊下や非常階段等のリニューアルなど、老朽した共用設備の修理、取り換えなど、長期修繕計画のもとに実施する共用部分の工事を含む。また、2回目、3回目で内容が若干異なることもあり、マンションの傷み具合や規模などで工事費用は大きく異なる。

    <マンション管理組合>
     分譲マンションを購入すると、区分所有者となる。マンション全体の維持・管理者となるのが、区分所有者で構成する管理組合。

    <管理会社>
     管理組合が管理業務を委託した、いわば家政婦さん的な存在。管理組合をサポートしてくれて頼れる一面もあるが、ときに管理組合と利益が反するため、会計のチェックは管理組合が厳しくしておく必要がある。金銭トラブルも多い。

     とはいえ、修繕積立金が足りないからといって、適切なタイミングで十分な修繕を実施しなければ、建物の老朽化は早くすすみ、当然、資産価値も落ちていく。

     あなたのマンションは大丈夫だろうか?

    2015年10月29日 10時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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