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    生活

    片づかない実家 ゴミ屋敷の原因はゴミじゃない

    実家片づけアドバイザー 渡部亜矢
     全国各地で問題となっている「空き家」や「ゴミ屋敷」。親の暮らす実家や主を失った古い建物が、誰の手もつけられないまま放置されているケースも多い。「忙しくて」となかなか足が向かない、「そのうちに」と後回しになっている、「うちは大丈夫」と目をそらしている……。「プロが教える実家の片づけ」(ダイヤモンド社)の著書がある渡部氏は、何気ない五つの習慣にゴミ屋敷を引き起こす危険があると指摘する。いつまでたっても実家が片づかないのは、ゴミが原因ではなかった――。

    片づけの鍵は親子のコミュニケーション

    • ゴミだらけ、でも親にとっては……
      ゴミだらけ、でも親にとっては……

     なぜか実家に増え続けるモノはいったい何なのでしょう? 落ち着けて、安らぐはずの実家が帰省のたびになんとなくゴチャゴチャ……。そんな、「片づかない実家」に悩んでいる人も多いのではないでしょうか。

     モノが少なかった時代を経験した親世代にとって、モノは豊かさの象徴です。どんな小さなモノも思い出や人生そのもの。捨てるという発想はなく、家にスペースがある限り、モノを持ち続けます。部屋に隙間があると、不安になってしまうという高齢の方もいるほどです。

     今は手軽になんでも手に入る時代。一方で、モノはその人の人生の一部とも言えるわけですから、「捨てるのはつらい」という気持ちを理解することが大事です。

     捨てるという発想を持たないまま、年月は流れていきます。年齢が上がるにつれて、やがて、体力は落ち、気持ちがなえ、モノだけが年とともに増え続けていくのです。

    片づけは新たな親孝行

     平均寿命が延びたことで、親子の期間も延びることになります。その結果、親に育ててもらう時間よりも、親から独立してからの年月のほうが長くなるのです。親子といえども、いつの間にか体力も逆転、お互いに自立した「人」として付き合う時間のほうが長くなっています。

     親だから分かってくれて当然というのではなく、むしろ仕事で付き合うように、適度に距離をとったほうが、感情がぶつからず、結果的にうまくいきます。ひとりの人間として向き合い、きちんと敬意を払うことが大切です。

     実家の片づけは、これからの新たな親孝行の一つ。片づけを始める前に、親子の関係をもう一度見直し、再構築することを考えましょう。

    キレイじゃなく、安心・安全・健康に

     自宅と実家の片づけは、似ているようで全く違います。同じだと思って取り掛かると、必ず失敗してしまいます。

     大切なのは、見た目をきれいにするのではなく、あくまで「安心・安全、健康に暮らせる家」にするという共通の目標を持つことです。

     親世代は、今まで積み重ねてきた習慣で生活をしています。もちろん、人としてのプライドもあります。納得してもらわない限り、実家の片づけは進められません。

     納得してもらうには、親の心を動かす「片づくフレーズ」があります。

     多少の言い争いや行き違いが生じるかもしれませんが、コミュニケーションをまったくとらず、亡くなってから後悔するのではあまりにも悲しすぎます。

    NGワードを「片づくフレーズ」に

     親子の壁を乗り越え、片づけがすんなり進むフレーズを三つご紹介します。

    <1>片づけの主体は必ず親

     ×「古すぎる」「センスが悪い」「モノを残されて困るのは私」

     ○「どうしたい?」「どっちが好き?」「不用心で危ないよ」

     実家といえども、他人の家。片づけの主人公はあくまでも親です。子どもだからといって、勝手に親の家を片づけるのはご法度。掃除や整理をしてあげるなどと強行すれば、親を意固地にさせてしまう懸念があります。これが自宅の片づけとの決定的な違いです。

     この「世代間のギャップ=親子の壁」を乗り越えない限り、片づけは始まりません。

     「親にとっての片づくメリット=親の好みの優先、安心・安全の確保」を伝え、親が主体になっていることを意識してもらうことが大切です。

    <2>「捨てる」ではなく「移動」

     ×「こんなモノ、もう捨てて」「どうせ使わない」「いくつもあってどうするの」

     ○「今すぐ使うわけではないから、奥に移動させよう」

     親世代に、「捨てて」はNGです。子どもからは、たとえゴミに見えても、親にとっては大事な思い出が詰まっています。

     本当に必要なモノは、瞬時に「いる」と判断できます。

     判断の目安はたったの3秒です。捨てようかどうしようかと時間がかかったら、一時保管を選択し、邪魔にならない部屋や納戸へ移動させましょう。「捨てない」という安心感を持ってもらうことで、片づけがぐんと進みます。

     さらに、半年くらい経過した後、やはり使っていないようなら、「いらないモノ」として廃棄できます。それでも処分したくないというなら、親が納得するまで保管しておいてもいいでしょう。

    <3>モノがないという不安を解消

     ×「いくつ買えば気がすむの」「こんなにあっても使わないでしょ」

     ○「使いやすいモノを選ぼうか」「足りなくなったら、電話してくれれば大丈夫。すぐに持って来るから」「帰省する家族の数に合わせよう」

     使わないストック用品や食べきれないほどの食料品を買い込むのは、ひとり暮らしで自分の体が動かなくなったときの不安の裏返し。

     連絡してくれれば、すぐに届けられることを告げ、安心してもらうことが大事です。

     日頃からコミュニケーションを密にとり、親がSOSを出しやすい環境にしておきましょう。

     また、家族やお客さんが多かったころの記憶をもとに、「いつか使うかもしれない」と食器などを必要以上に持ち続けるケースもよくあります。お盆や正月に帰省した家族やお客の数を目安に、モノが多すぎないか点検してみるといいでしょう。

     相手が娘や息子だといつもケンカ腰になってしまう親のなかには、孫のためなら片づけられるという場合もあります。「孫が安全にハイハイできるようにしよう」などと、とっておきの「孫ワード」を使って、片づけのきっかけにするのもいいでしょう。

    2015年10月21日 11時19分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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