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    生活

    「親の葬儀」で慌てないよう…準備したい3つのこと

    第一生命経済研究所 主席研究員 小谷みどり
     あなたは「親の葬儀」について、考えたことがあるだろうか。あまり縁起のいい話ではないため、つい避けてしまいがちだが、「その時」はいつか必ずやってくる。
     「簡素な葬儀を望んだのに高額な料金を請求された」といった金額に関するトラブルも問題となっているが、もっと重要なことは別にあるという。故人も送る側も納得できる葬儀のためには、どんな準備が必要なのか。『だれが墓を守るのか 多死・人口減少社会のなかで』(岩波書店)の著書もある第一生命経済研究所の小谷みどり主席研究員に寄稿してもらった。

    エンディングノートに霊園ツアー…広がる終活ブーム

    • 終活には霊園ツアーまである(写真はイメージ)
      終活には霊園ツアーまである(写真はイメージ)

     たまに実家に帰省したとき、親の姿を見て「年を取ったなあ」と思う瞬間はないだろうか。40代、50代になると、親の老・病・死に無関心ではいられなくなる。

     介護、死の迎え方や葬儀、墓など、人生の締めくくり方を元気なうちに考え、準備しておこうという風潮が高まっている。数年前、ある雑誌がこれを「終活」と命名し、「死」を連想させないキャッチーな単語が一気に市民権を得た。

     しかし我々にとっては、いつの時代も自分の死は一度きりしかない。死者が増加する多死社会といっても、それぞれの死は個々人に直接は関係ないし、多死社会だから終活に関心を持つ人が増えたわけではない。むしろ、多死社会をビジネスチャンスと考え、異業種参入で顧客獲得競争が激化した業者側が、終活ブームを牽引(けんいん)してきたといってもよいだろう。

     葬儀や墓地だけでなく、相続や遺言、介護など、終末期以降に関わる異業種をまとめて出展させた市民向けフェアがあちこちで開催されている。エンディングノートや専門情報誌が次々に出版されているほか、任意後見契約や遺言作成に関わる司法書士や行政書士も盛んに終活セミナーを開催している。葬祭業者と提携し、複数の霊園や散骨を1日で見て回れるバスツアーを企画する旅行社もある。

    親は「自分の葬儀で子どもに迷惑をかけたくない」

    • 盛大な葬儀を望む人は意外と少ない(写真はイメージ)
      盛大な葬儀を望む人は意外と少ない(写真はイメージ)

     高齢者はなぜ終活に走るのか。「子どもに迷惑をかけたくない」「お金をかけたくない」という理由に尽きる。

     「自分らしいお葬式を考えておきたい」という高齢者もいるにはいるが、「お葬式の花はこれにしてほしい」「死に装束はこれにしてほしい」などと、事細かに自分のお葬式をプロデュースしたいという人は、実は少数派だ。

     そもそも、自分のお葬式を盛大に派手にやってほしいと言い残す人は少ないだろう。第一生命経済研究所の2012年調査によると、自分の葬儀について「身内と親しい友人だけでお葬式をしてほしい」(33.1%)、「家族だけでお葬式をしてほしい」(30.3%)を合わせると、6割以上が、家族を中心とする葬儀を希望していた。高齢者にとって、お金をかけず、子どもにも迷惑をかけないやり方が、家族葬というイメージなのだろう。

     火葬のみですませる「直葬」も増えている。戒名や布施に対する考え方も変わった。かつては、高額なお布施を払い、位が高いとされる戒名を欲しがる遺族は多かったが、最近では「戒名は不要」「読経はいらない」と断言する人は少なくない。

    お葬式は見栄と世間体

     本人が「家族だけで」と希望していなくても、超高齢で亡くなると、友人や親戚の参列者が少なくなり、結果的に家族数人だけでのお葬式になることもある。この20年間で80歳以上で亡くなる人の割合が急増し、お葬式のかたちは大きく変わった。2013年に亡くなった人のうち、80歳以上だった人は全体の59.4%と過半数を占めたが、1990年では38.7%、2000年でも43.8%しかおらず、半数以上の人は80歳までに亡くなっていた。

     参列する側にとっても、遺族にとっても、お葬式は見栄(みえ)や世間体と不可分な関係にある。息子が定年間近で親が亡くなれば、義理で参列する人は多いが、息子が定年退職後であれば、参列する人は限られる。バブル景気の時代は、普通の高齢者のお葬式に参列者が100人、200人いるのはざらにあった。しかも参列者の大半は、生前の故人の顔すら知らなかった。そのため、遺族が見栄や世間体を気にして、盛大な葬式を行うことが多かったのだ。しかし身内や親しい友人しか参列しないお葬式であれば、遺族が見栄をはる必要はないだろう。

    2015年12月24日 09時31分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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