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    国際

    意外と知らない中国人爆買いの理由

    日本交通公社 観光政策研究部次長 塩谷英生
     中国人旅行客が日本国内の家電量販店や百貨店、ドラッグストアなどで、根こそぎともいえるほどの購買意欲を見せつける風景が当たり前になった。その姿は「爆買い」と形容され、今年の新語・流行語大賞にもなった。それなのに、意外と知られていないのが「爆買い」の動機部分。中国人が目の色を変えて日本製品を買いあさる本当の理由について、公益財団法人・日本交通公社(JTBF)、観光政策研究部次長の塩谷英生氏に解説してもらった。

    勢いづく外国人旅行者

    • 外国人観光客でごった返す免税店前(10月、東京都千代田区で)
      外国人観光客でごった返す免税店前(10月、東京都千代田区で)

     日本を訪れる外国人旅行者の数が増え続けている。政府が成長戦略として誘客に力を入れていることもあり、2013年に初めて1000万人を突破したその数は、昨年(14年)は1341万人に増え、今年(15年)は11月末で1796万人となった。この数はすでに昨年1年間を上回っている(数字は日本政府観光局(JNTO)調べ、推計値を含む)。さらに国土交通省は22日、19日時点で1900万人を超えたと発表した。

     この訪日ブームを主導しているのは中国人旅行者だ。昨年は240万人で、その前の年に比べて83%増となり話題となった。そして今年は11月までで、その数を優に超える464万人と、勢いは止まらない。国・地域別で見ても2位の韓国(358万人)、3位の台湾(341万人)を大きく引き離してトップとなっている。

    • (日本政府観光局(JNTO)調べ、推計値を含む)
      (日本政府観光局(JNTO)調べ、推計値を含む)

    中国人が日本を訪れる2つの理由

     中国人の訪日理由には大きく分けて2つあると考えられている。1つは「純粋に日本の自然や歴史・文化に触れたい」という観光目的であり、もう1つはご存知のとおり、「爆買い」といわれるショッピングを目当てとするものである。

     「爆買い」という言葉は、1日に発表された新語・流行語大賞で、「トリプルスリー」(打率3割、30本塁打、30盗塁)とともに年間大賞を受賞した。インパクトとしては、「爆買い」のほうがはるかに上かもしれない。それほどまでに、大きな話題と注目を集めた社会現象である。

     この中国人の旺盛な購買意欲は、日本人の財布の(ひも)がなかなか緩まない中、小売業界をはじめとした日本経済にとって天佑(てんゆう)とも言える現象となっている。

    中国人の「爆買い」を支えるものとは?

     中国人の「爆買い」を支えている大きな要因は2つある。「為替レートが元高・円安になっていること」と「日本の高品質・高性能の商品を買いたいという強い意欲があること」だ。

     そして、この2つに加えて見逃せないのは、「中国の税制に起因する内外価格差」である。やさしく言うならば、「中国の現在の税制では、ある商品を中国で買うよりも、日本で買って持ち帰ったほうがかなり安い」ということである。日本が免税品(日本に住んでいない外国人が国内で買い物をする場合、一定の要件を満たしていれば消費税や関税を払わなくてよい商品)の対象を拡充していることもある。

     中国人が「爆買い」する商品には、「化粧品・香水」「電気製品」「時計」「カメラ」などが上位に挙げられる(観光庁「訪日外国人消費動向調査(2014年)」から)。これらが上位に挙がる理由としては、日本製品のブランド力や品質の高さ、円安による割安感、免税品枠の拡大があることはもちろんだ。だが、それだけでは、中国人以外の観光客が買い物にかける金額と比べたとき、中国人が際立って突出していることの説明にはならない。中国人以外にとってもほぼ同様のメリットがあるからだ。

     ちなみに、訪日外国人1人当たりの買い物にかける費用のランクは、1位が中国(14.3万円)、2位が香港(8.5万円)、3位が台湾(5.7万円)である(観光庁「訪日外国人消費動向調査 2015年7~9月期の調査結果(速報)」から)。

     「それでは?」と考えてみると、「中国の税制」が「爆買い」の理由として浮上してくるのである。

     

    2015年12月25日 16時01分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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