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    生活

    日本の街から電柱がなくなる日は来るか?

    立命館大学客員教授 高田昇
     日本の街に張り巡らされた電柱・電線。防災や景観上の理由などから、国が「無電柱化」の計画に着手して今年で30年になるが、電柱は減るどころか、年々増え続けているのが実情だ。近い将来、電柱・電線がなくなる日はやって来るのだろうか。電柱・電線の問題点や、「無電柱化」の展望などについて、NPO法人「電線のない街づくり支援ネットワーク」の高田昇理事長が解説する。

    電柱大国・日本の常識、世界の非常識

    • 「無電柱化」計画の着手から30年たった今も、電柱・電線類は増え続けている(鹿児島市・天文館で)
      「無電柱化」計画の着手から30年たった今も、電柱・電線類は増え続けている(鹿児島市・天文館で)

     日本の空を覆う電柱、電線類。すっかり見慣れてしまって、日頃気にしない向きも多いが、実は、これは異様な風景なのである。欧米のほとんどの都市から電柱、電線類がすでに消え去り、美しい空が広がっているのが当たり前になっているのに、私たちは長年放置して今に至っている。

     日本には今、3500万本以上の電柱があり、毎年7万本ずつ増えている。人口割りにして、3.5人に1本の電柱を抱えていることになる。国は1986年に「電線類地中化計画」をスタートさせ、幹線道路を中心に地中化を進めてきた。ところが、計画を立ち上げた当時は3000万本ほどだった電柱が、増えるスピードの方がはるかに早く、500万本も増加している。これは仕方のないこと、としてあきらめる類いのことなのだろうか。

     海外に目をやれば、そうではないということが明確に実証されている。ロンドン、パリでは戦前から無電柱化に取り組み、無電柱化率100%を実現している。ベルリンでは90%、ニューヨークでもすでに83%を達成している。日本より遅れていると思われがちなアジア諸国ではどうだろうか。ソウルは80年代の17%から46%へ、北京は34%、マニラ(マカティ地区)40%、ジャカルタ(コタ駅周辺)35%、そしてシンガポールでは93%、香港は100%と、無電柱化は着々と進んでいる。

     それに比べて、わが国は東京23区で7%、大阪5%、世界的観光都市の京都でさえ2%という現実である。明らかに日本は大きく後れをとる無残な姿にあるのだ。

    • 世界の主要都市の無電柱化達成率
      世界の主要都市の無電柱化達成率

     

    2016年01月05日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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