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    生活

    後々もめない遺言書の“7つの法則”

    司法書士 村山 澄江
     死後、自分の決めた通りに財産を譲り渡したい――。そんな思いを実現するために必要になるのが遺言書だ。親族同士が遺産相続を巡って骨肉の争いを繰り広げるケースは、今も昔も後を絶たないが、遺言書のおかげで争いが回避されることもあれば、反対に遺言書がもとで争いが起こることもある。そこで、司法書士の村山澄江さんに「後々もめない遺言書の作り方」を解説してもらった。

    「遺産はすべて家政婦へ」遺言で実現

    • 法定相続人以外に財産を残したい場合は遺言書が必要(写真はイメージです)
      法定相続人以外に財産を残したい場合は遺言書が必要(写真はイメージです)

     東京地裁で今年1月、ドラマのような判決がありました。それは、数年前に亡くなった資産家女性Aさんの家政婦が、Aさんの実の娘2人と遺産相続を巡って争った訴訟の判決です。

     Aさんは生前、「一切の財産を家政婦に渡す」という内容の遺言書を残していましたが、娘2人が「遺言は無効だ」として家政婦に遺産を渡さなかったため、家政婦が遺産の返還を求める訴えを起こしていました。そして東京地裁は、家政婦の訴えを認め、娘側にAさんの全遺産約3000万円を返還するよう命じたのです。

     娘たちは、年老いた母親の面倒を見ることもなく、長年、Aさんにお金を無心し続けていたそうです。そこでAさんは、実の娘には財産を渡さず、約50年間にもわたって献身的に世話をしてくれた家政婦に全遺産を渡すという内容の遺言書を作成し、裁判でもその遺言書の内容が有効とされたのです。

     Aさんのように、法定相続人(配偶者や子供など法律上当然に相続する権利がある人)以外に財産を残したい場合は、遺言書を作成しないと実現できません。Aさんは、遺言書を残したことによって、大切な人に財産を渡すことができたのです。

     とはいえ、Aさんもせっかく遺言書を残したのに裁判沙汰になってしまったのは、本意ではなかったはずです。それでは、自分の思いをより良くかなえる遺言書の書き方はないものでしょうか。

    遺言書と遺書の違い

     生前に、残された人のために残しておく文書としては「遺言書」と「遺書」があります。

     遺言書とは、民法で作成方法などが定められた法律文書です。遺言書で実現できる行為は民法に定められており(財産の分け方や子供の認知など)、遺言書として書かれた内容には法的な効力があります。

     一方、遺書は法律による制約のない文書です。書き方に決まりもなければ、法的な効力もありません(遺言書としての形式が整っている場合を除く)。

     次に、遺言書を書いておいた方がいいのは、どんな人でしょうか。<1>子供がいない人<2>再婚している人(前の配偶者との間に子供がいる場合)<3>法定相続人以外の人に財産を残したい人(孫、第三者など)<4>婚姻届を出していない夫婦<5>資産のほとんどが不動産の人<6>特定の人に財産を多くあげたい人――などが挙げられます。

    「公正証書」と「自筆証書」の2種類

     遺言書には、代表的な2種類があります。公証役場で作成する「公正証書遺言」と、自分で作成する「自筆証書遺言」で、それぞれにメリット、デメリットがあります。

     公正証書遺言のメリットは<1>裁判所での手続き(検認)が不要<2>無効になる恐れが少ない<3>紛失、偽造の恐れが少ない<4>障害などで文字が書けない人でも作成できる(遺言者が口述したことを公証人が筆記)<5>安全に保管できる(公証役場で保管)――などが挙げられます。一方、デメリットとして<1>費用がかかる(財産が100万円以下なら5000円、5000万円超~1億円以下なら4万3000円など)<2>証人(立会人)が2人必要――などがあります。

     これに対し、自筆証書遺言は<1>誰にも知られずに作成できる<2>費用がほとんどかからない――といったメリットがありますが、<1>裁判所での手続き(検認)が必要<2>紛失、偽造の恐れがある<3>書き方に不備があると無効になる<4>書いた時期の判断能力について、後日争いになる可能性が高い <5>障害などで文字が書けない人は作成できない――などのデメリットがあります。

     公正証書遺言、自筆証書遺言とも、何度でも書き換えが可能で、遺言書が複数あった場合は、日付の最も新しい内容が優先されます(変更のない部分は元のものが有効)。

    2016年03月09日 13時09分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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