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    生活

    ふるさと納税の進化形・GCFを知っていますか?

    神戸大学大学院准教授 保田隆明
     犬の殺処分ゼロを目指した保護施設の充実(広島県 神石高原町 ( じんせきこうげんちょう ) )、葛飾北斎の作品を後世に伝える美術館の設立(東京都墨田区)、子供たちの豊かな心を育むとともに目の不自由な人の立場を体験する「暗闇体験」プロジェクトの推進(佐賀県)――。これらは、財源不足に悩む地方自治体が自らプロジェクトオーナーになって、インターネット上で事業資金を寄付してもらう「ガバメントクラウドファンディング(GCF、Government Crowd Funding)」のプロジェクトの実例だ。日本ではなかなか根づかなかった寄付文化が今、ネットの力を得てあちこちで芽吹き始めているのだ。潜在力あふれるGCFの狙いや課題について、神戸大学大学院の保田隆明・准教授(経営学)が解説する。

    大震災を機に「寄付型」広がる

    • 日本では、東日本大震災が起きた2011年ごろからクラウドファンディングが広がった(2011年5月、宮城県石巻市)
      日本では、東日本大震災が起きた2011年ごろからクラウドファンディングが広がった(2011年5月、宮城県石巻市)

     GCFとは、全国の各自治体が特定の目的のために実施するクラウドファンディング(CF、Crowd Funding)のことを意味する。そもそもCFとは何かと言うと、資金を集めたい人がインターネット上で「こんなプロジェクトを実施したいのでお金を提供してください」と呼びかけ、群衆(Crowd)から資金を調達(Funding)するものである。

     CFは欧米で2000年代後半から、日本では東日本大震災が起きた2011年ごろから、大きな広がりを見せるようになった。

     CFには、大きく「購入型」と「寄付型」の2種類がある。

     購入型には商品開発の事例が多い。例えば、ある企業がスマートフォンに連動した「スマートウォッチ」の開発資金を募るといったケースがある。この場合、お金を提供した人には、実際に開発・製造された時計が届けられる仕組みであり、資金提供者にしてみれば、さながら「共同購入」の側面が強い。

     他にも、札幌市では、「札幌黄(さっぽろき)」というブランド玉ネギの生産農家や加工業者、飲食店などで組織する団体が、購入型のクラウドファンディングの仕組みを活用している。これは、いわゆる「オーナー制度」の一種であり、資金提供者には収穫された札幌黄の玉ネギが送られてくる。他にも、こうした農作物をはじめ、日本酒、ワインなどでも購入型のCFが用いられている。これらの場合はさながら購入者にとっては先物買い(生産者にとっては先物売り)に近い。

     一方、寄付型の場合は文字通り寄付であり、活動に対する応援資金として提供される。この寄付型は東日本大震災の復興支援で広く活用され、わが国でCF、あるいは、寄付文化が広がる一つのきっかけとなった。

     各種データを独自集計しているサイト「ビジュアライジング・インフォ(visualizing.info)」によると、国内の主要な購入型のCF事業者を通じて調達された資金は累計で47億円を超える。また、寄付型のCFの最大手「ジャパンギビング」での累計調達額は17億円を超えており、CFは資金調達において一定の存在感を有するに至っている。

     そして、最近になって増えているのが、GCFである。今回の熊本地震においても、福井県鯖江市などがGCFで復興支援金の募集を始めた。こうした動きは今後さらに増えるであろう。

     では、実際にはどんな使われ方をしているのだろうか。


    2016年04月29日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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