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    生活

    後見制度の落とし穴~老後の財産を「魔の手」から守れ

    介護・医療ジャーナリスト 長岡美代
     認知症などで判断力が衰えてしまった後に、自分や両親の財産をどうやって守ったらよいのか。不安に感じる人にとって、強い味方が成年後見制度。家族や親族のほか、弁護士や司法書士などの専門家が後見人となり、本人に代わって財産の管理や処分、介護施設への入居などの契約をしてくれる。だが、信頼できるはずの後見人に裏切られるなど、制度が悪用されるケースも後を絶たない。老後の蓄えを“魔の手”から守るには、どんな点に気をつければよいのか。「 『日本ライフ協会』破綻~おひとりさま、身元保証はだれに頼めば… 」、「 老人ホーム選びの落とし穴…こんな施設はやめておけ! 」の筆者で、介護・医療ジャーナリストの長岡美代さんに執筆してもらった。

    悪徳商法に狙われる認知症の高齢者

    • 老後の財産をどう守るか、元気なうちに考えておくべき(写真はイメージ)
      老後の財産をどう守るか、元気なうちに考えておくべき(写真はイメージ)

     昨年、東京都内にひとりで暮らしている女性(90歳)が、悪徳業者に高額の商品を売りつけられていたことが発覚した。きっかけは、通っていたデイサービスの職員が気づいた異変だった。

     「身に付けていた洋服から『異臭がする』と聞いたので女性宅に出向いたら、浴室にワカメなど魚介類が入った箱が置かれ、その腐敗臭が家中に充満していました。宅配業者が代引きした領収書も見つかったのですが、数万円と高額でした」

     ケアマネジャーの有本恭子さん(仮名)は、当時の様子をこう振り返る。このほかにも業者から送られてきたペットボトルの水や栄養剤なども見つかったという。いわゆる「送り付け商法」と呼ばれる手口で、業者が次から次へと勝手に商品を送り、不当に高い料金をまきあげていた。

     「認知症による判断力の低下もあってか、本人に『(だま)されている』という自覚がない場合も少なくありません。明らかにおかしいのに、プライドが邪魔をして認めないことも。信頼関係を築きながら、注意を促すよう心がけています」と有本さん。

    専門職による不正が最多

     認知症の高齢者を狙う悪徳業者は後を絶たないが、この事例のように「健康食品の送り付けや訪問販売」による被害がもっとも多い(2014年、国民生活センター調べ)。家族や介護事業者が異変に気づいて発覚する例が大半だという。

     もしも身近な人が認知症など判断力の低下によって悪徳業者にひっかかった場合は、「成年後見制度」を利用して契約を取り消すことができる。成年後見制度とは、本人の財産の保護や生活を支援するため、家庭裁判所などが選任した後見人が、本人に代わって財産管理や契約などをとり行う仕組みで、全国には約19万人の利用者がいる(最高裁判所調べ)。

     後見人には家族や親戚、信頼できる友人がつくケースのほか、弁護士や司法書士ら専門職がなるケースが増えている。後見人全体の約7割を占める。ところが、頼りになるはずの後見人が不正をはたらくケースもあるので注意が必要だ。昨年確認された521件、約29億円7000万円の不正のうち、専門職後見人による不正は37件、約1億1000万円と過去最多になった(同)。管理する預貯金から金を引き出して自らのギャンブルや高額な買い物につぎ込んだり、不動産を勝手に処分してしまったりする例もあるのだ。

     

     

    2016年05月18日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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