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    国際

    トランプの小学生英語が米国民にササる訳

    ライター・作家 水次祥子
     米大統領選で共和党指名候補に確定した不動産王ドナルド・トランプ氏。人気テレビ番組の司会者も務めていた同氏の最大の武器は歯に ( きぬ ) 着せぬ話術だ。過激な発言が反発や嫌悪感を招く一方、既存政治に不満を持つ層の支持をかき集めようという戦術が見てとれる。だが、その演説は小学校レベルの英単語ばかりだった。そんなトランプ氏のスピーチをアメリカの一般市民はどう思っているのか。在米ライターの水次祥子さんが説明する。

    きれいな英語とは真逆な演説

     Make America great again.(アメリカを再び偉大な国にしよう)
     America is going to be strong again.(アメリカは再び強い国になる)
     We are losing but start winning again.(私たちは負けている。だが再び勝ち始める)

     これらは米大統領予備選・共和党候補のドナルド・トランプ氏(69)が選挙キャンペーンの演説等でよく使っているフレーズだ。とてもシンプルで短く、英語を母国語としない外国人にさえ容易に理解できる単語が並んでいる。

     米国人からいわせると、トランプ氏の話し言葉は「ブロークン・イングリッシュ」。ニューヨーク州クイーンズ生まれの同氏はニューヨーク独特の(なま)りも強いため、その他の地域の人にとっては聞きづらい部分もあるそうだ。きれいな英語を話さず、文法の間違いも多い。同氏が書く文章には(つづ)りの間違いも多いため、その言葉からは知的な印象は受けない。

     米国、特にニューヨークでメディア業界の界隈(かいわい)に身を置いていると、ニューヨーカーたちはトランプ氏やそのスピーチをジョークのネタにして笑ったり、「なにそれ、トランプみたい」「オーマイガッ」といった会話を耳にしたりすることがある。一般企業に勤務している知人は「トランプって一体誰から支持されてるんだろうね、きっと私たちとは一生会うこともない人たちだよねと話してる」と言う。

     トランプ氏は不動産業で成功した大富豪であるため、エリートであるかのように誤解する人も多いだろうが、実際は真逆だ。同氏の支持者はブルーカラーの白人層が圧倒的に多く、簡単でわかりやすい英語を話すせいか、実は米国に住む移民労働者からも高い支持を得ていると米メディアは伝えている。

    小6レベルの言葉遣い?

     大統領のスピーチ言語を研究する米ペンシルベニア州ピッツバーグのカーネギー・メロン大学・言語テクノロジー研究所が3月に発表した研究結果によると、米歴代大統領たちのスピーチで使われている英語はほとんどが6年生から8年生レベルのものだ。そして、肝心のトランプ氏の英語は、中でも最もレベルが低く、6年生をやや下回るという。

     日本の教育システムに置き換えると、6年生は小学6年生、8年生は中学2年生ということになる。同研究所の分析は、使われている単語と文法によって判定している。例えば、スピーチの中で使われている英語のうち5年生、6年生、中学1年生で覚える単語がそれぞれ含まれていたとして、6年生で覚える単語が中でも一番の頻度で使われていた場合、その平均値を取って6年生レベルと判定。これと同様に文法に関しても、6年生レベルで覚える文法が一番頻繁に使われていれば6年生レベルと判定している。

     研究結果が発表された3月というのは、まだマルコ・ルビオ氏もテッド・クルーズ氏も共和党予備選の候補から撤退しておらず、共和党主流派がトランプ氏の台頭に苦虫をかみつぶしつつもその流れを止めることができるだろう、という楽観論がまだ強かった。そんな中で発表されたこの研究結果は、今回の大統領選を違った角度から見ることができると話題になった。

    2016年05月30日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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