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    格闘技

    老舗・紀伊國屋書店新宿本店がプロレスイベントを仕掛けるワケ

    紀伊國屋書店新宿本店 今井麻夕美
     日本の書店を代表する老舗・紀伊國屋書店新宿本店(東京都新宿区)。専門書や人文書も丁寧に扱うこの老舗書店を会場に、プロレス関連のイベントが最近、なぜか盛り上がっている。仕掛け人の今井さんは、どこからどう見ても「文化系女子」。ふだんは文芸書を担当しているというのだから、日本を代表するカリスマ書店員と言っても過言ではない。そんな今井さんとプロレスとの間の距離は一見遠いように見えるが、「プロレスは小説と似ているんです!」と主張する彼女の目を通すからこそ、なぜ今プロレス人気が復活したのかが見えてくるかもしれない。今井さんが自ら手がけたイベントのリポートや本の書評を織り交ぜながら、なぜ今プロレスがブームになっているのか深読みしてもらった。

    夢のマッチアップ!? 男色ディーノvs.三田佐代子

    • 男色ディーノ選手(左)と三田佐代子さん
      男色ディーノ選手(左)と三田佐代子さん

     まるでプロレスの試合のようだった。一人が言葉を発すれば、もう一人はそれをすかさず受け、存分に話を引き出してからさらにスイングさせる。息つく暇もない話術の応酬に、観客は(うなず)き、笑う。二人の化学反応が生みだす渦に()み込まれるように、あっという間に1時間半が過ぎた。

     さる5月25日に弊店で開催された『プロレスという生き方』(中公新書ラクレ)の刊行記念トークショー「あなたの心に男色ナイトメア!プロレスはなぜまた面白くなったのか」。本書の著者で、プロレス専門のCSチャンネルのキャスター・三田佐代子さんと、DDTプロレスリング所属のレスラー・男色ディーノ選手にご登壇いただいた(ちなみにトークショーのタイトルにある「男色ナイトメア」とはディーノ選手の技の名前である。どんな技かはここではとても書けないので、各自お調べいただきたい)。

     三田さんのコールで、コスチュームの上に書店のエプロンをまとったディーノ選手が入場。プロレス興行さながら男性客にリップロック(これもまた説明するのが(はばか)られる技)を決め、会場は一気に盛り上がる。三田さんとディーノ選手、ライブ版「活字プロレス」のゴングが鳴った。

    • リングで戦う男色ディーノ選手
      リングで戦う男色ディーノ選手

     実は、ディーノ選手はゲーム批評もこなす文才の持ち主。執筆という行為について話が及ぶと「自分に酔わずに人に伝えることなんてできない。自分の意見を他人に伝えるなんてそもそもおこがましくて、自分に酔わない状態でできるわけない」と持論を展開した。また、「自分を含む1977年生まれのレスラーが多いのは、超人的な主人公たちが活躍する『少年ジャンプ』の影響を受けたからだ」とディーノ選手が世代論を語れば、三田さんは新日本プロレスの永田裕志選手の言葉をひいて「第三世代」の悲哀を語る。

     プロレスについて語ることは、なんて楽しいのだろう!



    2016年06月09日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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    目力アップ♪

    疲れをほぐして、イキイキと!