文字サイズ
    スポーツ

    トップゴルファーはなぜ、五輪を避けるのか

    読売新聞ロサンゼルス支局・三室学
     リオ五輪で112年ぶりにゴルフ競技が復活するというのに、男子ゴルフがいっこうに盛り上がらない。世界ランク上位選手の欠場表明が相次ぎ、6月下旬には、実力、人気ともトップクラスのロリー・マキロイ(英)が出場辞退を明らかにした。一方、女子の選手は出場に積極的だ。背景に、何があるのだろうか。

    ジカ熱への不安

    • 五輪辞退を表明したロリー・マキロイ(右)と、参加する意向のジョーダン・スピース(2015年8月13日、AP)
      五輪辞退を表明したロリー・マキロイ(右)と、参加する意向のジョーダン・スピース(2015年8月13日、AP)

     ロリー、お前もか――。

     男子ゴルフの世界ランク4位で、メジャー通算4勝を誇るロリー・マキロイ(北アイルランド出身なので五輪出場の場合はアイルランド代表)が6月22日、ジカウイルス感染症(ジカ熱)への不安からリオデジャネイロ五輪への出場を辞退する、と表明した。

     「近親者と話し合い、自分と家族の健康が何より優先するという結論に至った。ジカ熱のリスクは低いかもしれないが、リスクはリスクだ」

     婚約者がいる27歳のトッププロは、そう説明した。マキロイはその3週間前、「感染しても6か月たてば体から出ていく。世界の終わりではない」と、出場に前向きな発言をしていただけに、金メダル候補の方針転換は驚きとともに報じられた。

     6月初旬には、世界ランク1位で、3歳と0歳の子供を持つジェーソン・デー(豪)が、「僕たちはまだ子作りを終えたわけではない。状況を注視したい」と、出場に慎重な姿勢を示している(※6月28日に出場しない意向を表明)。同39位のマーク・リーシュマン(豪)、メジャー3勝のビジェイ・シン(フィジー)は、すでに、ジカ熱を理由に五輪辞退を表明している。

     蚊などを媒介して感染し、小頭症の赤ちゃんが生まれるリスクが高まるとされるジカ熱は、ブラジルなど中南米を中心に感染が広がっている。リオ五輪の組織委員会は、大会期間は冬で、蚊は減るなどとして懸念を打ち消そうとしているが、ゴルフは自然の中でプレーするため、蚊に刺される可能性は比較的高い。これから家族を増やそうという選手が現地に行くことをためらうのは理解できる。

    • 過密スケジュールを理由に、五輪参加を見送るアダム・スコット(2015年10月15日、野崎尉撮影)
      過密スケジュールを理由に、五輪参加を見送るアダム・スコット(2015年10月15日、野崎尉撮影)

     出場しないことを選ぶトップ選手は後を絶たない。マキロイのほか、2013年のマスターズ覇者で世界ランク8位のアダム・スコット(豪)は、スケジュールが過密になることを理由に出場を辞退。シャール・シュワーツェル、ルイ・ウェストヘーゼン(ともに南アフリカ)といったメジャーチャンピオンも、欠場の意思を表明している。日本代表選出が確実な松山英樹も、基本的に出場に前向きではあるが、「出るかどうかはギリギリまで分からない」と、最終的な決断は保留している(※7月4日に不参加を表明)。

     1904年のセントルイス大会(米国)以来、112年ぶりに五輪競技に復活するゴルフだが、開幕まで2か月を切った今も、やや盛り上がりに欠けると言わざるを得ない。

    名誉を重んじる選手も

     もちろん、出場に消極的な選手ばかりではない。世界ランク2位のジョーダン・スピース(米)は、「健康への影響が重大だと思えば行かない」としながらも、「五輪選手になることは絶対的な名誉。思い出に残るだろう」と出場に前向きだ。同7位のリッキー・ファウラー(米)も、「米国のために戦うのは特別だ」と意欲を示している。

     女子はおおむね出場に積極的だ。世界ランク1位のリディア・コー(ニュージーランド)は、「ジカ熱への心配より、五輪の雰囲気を味わうことへの楽しみの方が大きい。国を代表してブラジルに行き、他の競技の代表選手に会える。女子はみんな同じような考えを持っている」と声を弾ませる。

    2016年06月28日 11時42分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    PR
    今週のPICK UP
    PR
    今週のPICK UP