<速報> 北が弾道ミサイル発射、失敗か…韓国報道
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    国際

    英EU離脱、欧米型民主主義をわらう中国の内部事情

    北海道大学公共政策大学院専任講師 西本紫乃

    外相の高圧的態度が支持集める中国

     英国で「外向き」のEU残留が「内向き」のEU離脱に敗れ去ったのは、水面下でくすぶっていた声なき人々の不満がどれほど大きいかということに、多くの人が気付いていなかったことにある。

     政府が「内向き」の傾向を持つと、国家の主権と自尊心、排外的な姿勢、単純な敵・味方の構図や卑近な問題に人々の関心を仕向ける。これらはまさに、今の中国そのものだ。習政権は内政につけ外交につけ「内向き」な傾向が強い。だが、問題なのはそうした政権の「内向き」姿勢が案外、国民からの支持を得ていることだ。

     例えば、6月1日、王毅(ワンイー)外相がカナダでの外相会談の後の共同記者会見で、カナダ人記者から中国の人権問題について質問を受けた際に、「中国に対する偏見に満ちていて傲慢な質問だ」と、まるで説教するかのように激しい口調で応じた。

     日本をはじめとする多くの国で自国の外相が海外でこんな振る舞いをしたら、世論の非難を浴びるか、国民が恥ずかしい思いをするかのどちらかだろう。しかし、中国国民の受け止め方は違う。王外相の激高ぶりを「毅然とした態度」として評価する声が少なくない。

     インターネット上では「王毅外相はよく言った! 善意の提案は歓迎だが、根拠のない批判は拒否する!」といった反応も散見される。こうした民意の支持を受けて、王外相のみならず中国の指導者たちは、今後もこうした高圧的な言説を対外的に繰り広げていく可能性が高い。

    何が起きても「外部勢力の攻撃」

     特に中国で最近多くなっているのは、何か問題が起きればすぐに中国に対する「外部勢力の攻撃だ」と反発するパターンである。前述の烏坎村での住民の抗議行動のほか、中国政府に批判的な本を扱う香港の銅鑼湾書店関係者が失踪した事件や南シナ海問題に関するオランダ・ハーグの常設仲裁裁判所の国際裁定、はては玉林の犬肉祭りに対する国内外の動物愛護者からの批判まで、なんでもかんでも「外部勢力の攻撃だ」と海外からの敵対勢力のせいにしてしまっている。

     まさに中国でも大衆感情を刺激して人々の「内向き」な意識を加速させることが意図的に行われているが、中国の問題は単一の正義しかなく、そもそも議論ができないことだ。中国共産党が正しいと言うことが正しい、党のリーダーが言うことが正しいというのが絶対的な前提である。

     なおかつ、習政権では知識分子に対する統制がこれまでになく強化され、体制外の多様な意見に人々が触れる機会が減っている。また、人々が物事を判断する上でたたき台となる情報すら、海外とは視点の置き方が違う情報が元になっている。

     例えば南シナ海問題については、中国の核心利益であり譲歩の余地はなく、中国は地域の安定のために貢献する国であることを国内向けに強調している。問題を波立たせているのは米国の方で、日本の安倍政権が各国に中国を悪者にするような世論工作をしているのだ、ということになっている。今日の中国では、外の世界と摩擦が起きると、中国国内と国外との理解のズレはどんどん大きくなっていくというスパイラルに陥りがちになる。

    2016年06月28日 13時58分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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