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    経済

    居酒屋明暗…苦戦の和民、好調・鳥貴族を分けたもの

    船井総合研究所上席コンサルタント 二杉明宏
     仕事帰りにちょっと居酒屋に立ち寄り、冷えたビールでのどを潤したくなる。そんな暑い夏が到来した。だが、居酒屋業界全体を見わたしてみると、消費者の節約志向の高まりや若者の飲酒離れなどが原因で、集客に苦戦している企業も少なくない。全国に「和民」など約500店舗をチェーン展開する業界大手・ワタミもその一つ。一方、そうしたライバルたちを尻目に、消費者からの支持を集めて店舗網を拡大している企業もある。その代表格が、焼き鳥店チェーンを展開する「鳥貴族」だ。和民と鳥貴族。両者の明暗を分けたものは何なのか。飲食店の経営コンサルティングなどを手掛ける船井総合研究所上席コンサルタント・二杉明宏氏が分析する。

    市場の伸びは頭打ち

    • 若者の飲酒離れなどもあって、居酒屋業界の市場の伸びは頭打ち(写真はイメージ)
      若者の飲酒離れなどもあって、居酒屋業界の市場の伸びは頭打ち(写真はイメージ)

     まずは、居酒屋業界を含む外食産業の市場動向を見てみたい。日本フードサービス協会の調査によると、外食産業の市場規模は、1997年の29兆円がピークだ。この年の消費税増税を機に、外食産業は「斜陽期」にシフトし、市場規模の縮小が続いた。その後、2003~08年の間は24兆円台で横ばいとなり「安定期」を迎えたが、08年秋のリーマンショック、そして11年3月の東日本大震災をきっかけに、市場はもう一段縮小し、23兆円を割り込むまでになった。

     ここ数年は、その反動でやや回復傾向にあり、14年の時点で24兆円に回復している状況だ。日本の国内経済の停滞や人口減少・高齢化などを背景に、今後も「安定」から「やや斜陽」気味の市場として推移していくと思われる。

     外食産業は、その市場特性として「購買頻度の高さ」と「参入障壁の低さ」が挙げられる。消費者の購買頻度が高いマーケットは、「顧客の成熟化」のスピードが速いのが一般的だ。また、参入障壁が低いため、新しい業態提案をぶつけてくる新興プレーヤーが生まれやすいのも外食産業の特徴といえる。つまり、市場全体は成長が止まっているにもかかわらず、顧客の嗜好(しこう)の変化が速く、かつ新興ライバルが増えやすい。そのため、既存の“ガリバー企業”が苦戦する環境になりやすいのだ。

     居酒屋業界も外食産業全体と同様、市場の伸びは頭打ちとなっている。92年の1兆4600億円をピークに、市場は縮小の一途をたどった。震災後には1兆円を割り込んだものの、その後若干回復し、ここ数年は1兆円をわずかに上回る水準で安定期に入っている。

     

    2016年07月07日 12時06分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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