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    生活

    日本のオフィス街に木造高層ビルが立ち並ぶ日は来るか?

    京都大教授 五十田博
     国や林業界が今、熱い視線を送っている新しい建築用木材がある。CLT(クロス・ラミネテッド・ティンバー、直交集成板)と呼ばれる厚板パネルだ。従来の木材では難しかった高層建築物にも利用でき、欧米ではすでにCLTを使った木造ビルがいくつも建っている。なかには80階建ての構想も。日本でも建設事例が増え始めており、2020年東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場(杜のスタジアム)にもCLTが採用される見通しだ。日本でも、鉄筋コンクリートに代わって木造の高層ビルがオフィス街に立ち並ぶ時代がやってくるのか。CLTに詳しい京都大学生存圏研究所の五十田博教授が解説する。

    イギリスで80階建てビル構想

    • 米ポートランドに建設が計画されている12階建ての木造ビルの完成予想図
      米ポートランドに建設が計画されている12階建ての木造ビルの完成予想図

     2009年、イギリスで9階建ての集合住宅が建設された。13年、オーストラリアで10階建ての集合住宅が、イタリアでは9階建ての公営住宅が建設。カナダでは17年秋の完成を目指し、18階建ての学生向け宿舎が建設中。米国では昨年秋、高層ビルのコンペティションが実施され、西海岸の都市ポートランドには12階建ての、東海岸のニューヨークには10階建ての高層ビル建設が実現に向けて検討されている。そして今春、英ケンブリッジ大学建築学科の教授が、80階建ての超高層ビルを建てる構想を立案し、ロンドン市長に提出された――。

     これらの事例は、すべて「木造のビル」の話である。80階建ての実現可能性はともかく、18階建ての木造高層ビルが間もなく建とうとしていることなど、実に驚くべきことではないだろうか。

     これらの木造ビルは、新しい木造技術(New Wood Technology、ニューウッド・テクノロジー)によって実現、もしくは実現に向けて検討されているものであり、海外では「木材の革命(Innovations in Wood、イノベーションズ・イン・ウッド)」などと呼ばれている。新しい技術は具体的には「マス・ティンバー(Mass Timber。塊の木材と訳すべきか)」などと称されている。

     従来のコンクリートや鉄鋼に代わってマス・ティンバーを高層建物に使おう、というのが木材の革命である。そして、マス・ティンバーの“代表選手”が「CLT(クロス・ラミネテッド・ティンバー)」なのである。

    2016年07月12日 15時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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