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    「個の時代」、頼りはSNS…今どきの登山事情

    山と渓谷社 ヤマケイ登山総合研究所長 久保田賢次
     今年の8月11日は、国民の祝日となって初めて迎える「山の日」だ。「山ガール」の登場などで最近の山道は明るくにぎやかだが、一方で課題や問題なども増えているという。山岳情報のエキスパートである筆者に、登山をめぐる最新事情を、事例を交えて解説してもらった。

    初の「山の日」…各地の山で今、何が?

    • 南岳より槍ヶ岳方面を見る
      南岳より槍ヶ岳方面を見る

     今年8月11日は「山の日」。日本で16番目の国民の祝日だ。当日は長野県の上高地で初の「山の日」を記念する全国大会が開かれるほか、年末にかけて各地で登山教室や講演会、展示会などの記念イベントが行われる。

     「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」という祝日の趣旨に合わせ、山歩きに出かけようと考えている人も多いだろう。自然との触れあいを求める人が増えるのは喜ばしい。ただ、少々気がかりな点もある。

     私は登山の専門出版社に35年近く勤め、山を巡る変化を目の当たりにしてきた。昨春からは、ヤマケイ登山総合研究所に所属し、山の事故などを分析する年度版「登山白書」の刊行に携わっている。そうした経験を元に、最近の登山事情について記してみたい。

    増える遭難、変わる特徴

     まず、最初に指摘しなければならないのは、遭難事故の増加だ。

     警察庁が発表した2015年の山岳遭難件数は2,508件。遭難者数は3,043人で、ともに1957年に統計を取り始めて以来、最多となった。

     特に7月、8月の登山シーズンには、25%に当たる647件が集中し、782人が難に遭った。近年は猛暑などで体調を崩す例も多いと指摘される。

     では、どんな人たちが事故に遭っているのだろうか。遭難者を年齢層別に見ると、60歳代が最多で70歳代がそれに続き、合わせると遭難者の46%を占めた。一方、40歳代は前年比で40%近くも急増していた。

     事故の態様を見ると、1位は「道迷い」の39.5%。2位は「転落・滑落」20.0%、3位は「転倒」15.3%、4位は「病気・疲労」13.3%となっていた。日本アルプスなどの険しい山では転落・滑落が多く、低い山では道迷いが多く見られた。

     最近は、登山パーティーなどが大規模な事故に遭うケースは減っているが、代わりに、初心者らの比較的軽い事故が多くなっている。若年層、特に女性らを中心に登山を手軽に楽しむ人が増え、山道には活気が出て華やかさも増したが、反面、事故に遭う人も増えてしまっている。また、久しぶりに登山を再開したり、「自己流」で始めたりした中高年層の遭難も多い。

    後を絶たぬ「初心者の事故」

     日本の登山人口はピークを過ぎたと言われている。比率の高かった中高年層が、本格的登山から引退しつつあるためだ。それなのに事故が増えているのは、前述のような初心者らによる事故が後を絶たないことを物語っている。

     装備の進化や山道の整備などにより、登山は従来の(つら)く厳しいイメージから、快適で気軽に始められるものへと姿を変えつつある。大自然の素晴らしさに、より多くの人が触れられるのは素晴らしいことだが、反面、気まぐれで変化しやすく、時に過酷な表情を見せるのもまた自然だ。

     そうした中で事故を避け、身を守るためには、絶対に欠かせない手続きがあるのだ。「事前の準備」と「情報収集」。ともに、カギは「人とのコミュニケーション」だ。

    2016年07月20日 17時10分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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