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    国際

    南シナ海判決、中国が警戒強めるASEANの動き

    住友商事グローバルリサーチ国際部シニアアナリスト 石井順也

     南シナ海問題でオランダ・ハーグの仲裁裁判所が出した判決が、中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)の関係に変化をもたらしている。判決受け入れを迫る国際社会とそれを阻止したい中国。その間でASEANが揺れている。ASEANは一枚岩ではないが、対中強硬派に転じた国もあり、その動向から目が離せない。住友商事グローバルリサーチ国際部シニアアナリストの石井順也さんが、今後のASEANと中国の関係を展望する。

    中国の激しい外交攻勢

     「会議で仲裁裁判に触れたのは1か国だけだった」

     ラオスの首都ビエンチャンで7月25日に開かれたASEAN関連外相会議の後の記者会見で、中国の王毅(ワンイー)外相はこう語った。「1か国」とは提訴したフィリピンを指すと見られ、中国に対する包囲網はできていないとの認識を強調した。

     王外相はASEANが一致して仲裁裁判所の判決を支持することを防ぐために奔走した。24日午後にはラオス入りして、シンガポール、ブルネイ、ミャンマー、タイ、カンボジアの外相と立て続けに会談をこなしている。

     ASEAN外相会議の後に出された共同声明は判決自体には触れず、南シナ海問題は「国際法に沿った平和的な問題解決」を追求するとした。中国の根回しが実を結んだ形だが、中国は、ASEANが求めてきた南シナ海における「行動規範」の策定を来年上半期までに完了するとして、ASEAN側にも一定の配慮を見せている。

     裁判はフィリピンが仕掛けたものだが、7月12日に出された判決は中国のこれまでの主張を認めず、予想以上に厳しい内容となった。これを機に、南シナ海問題は新たな段階に入った。

    2016年07月28日 16時21分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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