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    芸能

    意外と知らない「ボサノバ」…数奇な運命と魅力

    ボサノバ歌手 ヒガシノリュウイチロウ
     リオ五輪の開会式でボサノバの代表曲「イパネマの娘」が流れていた。サンバとは対照的なクールで心地よいリズムに、ブラジル音楽の奥深さを感じた方も多かったのでは。日本では小野リサさんの甘くせつない歌声とともに広く受け入れられているボサノバだが、意外なことに母国ブラジルでは長らく忘れられたジャンルでもある。ボサノバの数奇な運命や魅力について、ボサノバ歌手、ヒガシノリュウイチロウさんがコラムと動画で分かりやすく解説してくれた。

    1950年代終わりにリオで生まれる

    • リオの代表的な観光名所「イパネマ海岸」
      リオの代表的な観光名所「イパネマ海岸」

     リオ五輪の真っただ中ですが、おしゃれなカフェやブティックで耳にする「ボサノバ」が、リオで生まれたことは皆さんご存じですか? ブラジルの音楽といえば、情熱的なサンバを思い浮かべる方が多いと思いますが、ささやくように歌うボサノバも、リオで生まれた音楽なのです。代表作「イパネマの娘」の“イパネマ”はリオ南部のイパネマ海岸のことですし、「コルコバード」は巨大なキリスト像が立つ観光名所コルコバードの丘を歌っています。クールなボサノバは夏にぴったりな音楽です。競技の合間にボサノバを楽しんでみてはいかがですか?

     まず、この音楽が生まれた時代背景を知ると理解しやすいと思いますので、少しお付き合いください。ボサノバは1950年代の終わり頃、リオに住む若手ミュージシャンたちが始めた音楽です。当時ブラジルではやっていた音楽は、過度にセンチメンタルだったり、牧歌的だったりして、アメリカで当時最先端だったジャズに傾倒していた若者たちは満足できなかったのです。

    • 「イパネマの娘」が生まれた「ガロータ・ヂ・イパネマ」(=イパネマの娘)。当時は「ベローゾ」という店名だった
      「イパネマの娘」が生まれた「ガロータ・ヂ・イパネマ」(=イパネマの娘)。当時は「ベローゾ」という店名だった

     試行錯誤の末、彼らはジャズの4ビートではなく、サンバのビートにジャズやフランス近代音楽のハーモニーを加え、フランク・シナトラやチェット・ベイカーみたいなクールな歌い方を取り入れました。折しも、56年に就任したクビチェック大統領が「50年の進歩を5年で」と語り、新首都ブラジリアを建設した時代です。ボサノバはその高揚感を反映しています。浜辺での青春や恋愛、美しい風景など、前向きで平和的な歌が多いのも特徴です。

    • 店の前の通りを歩く美しい少女に、アントニオ・カルロス・ジョビンとビニシウス・モラエスの2人がインスピレーションを受けて名曲が生まれたという
      店の前の通りを歩く美しい少女に、アントニオ・カルロス・ジョビンとビニシウス・モラエスの2人がインスピレーションを受けて名曲が生まれたという
    • 店の名前は変わったが、今もリオっ子の憩いの場として慕われている
      店の名前は変わったが、今もリオっ子の憩いの場として慕われている

     ボサノバはプロ、アマを問わず、富裕層や大学生らを中心に広がっていくのですが、みんなが納得できる形にまとめ上げたのが、作曲家のアントニオ・カルロス・ジョビン、作詞家のビニシウス・モラエス、そしてギターを弾きながら歌ったジョアン・ジルベルトの3人です。

    2016年08月16日 09時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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