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    働く

    勘違いメンタルヘルスで部下の「心が折れる」時

    日本メンタルヘルス講師認定協会代表理事 見波利幸
     職場のストレスでうつ病などの精神疾患を発症し、労災認定される人が4年連続年間400人を超えるなど(※)、企業におけるメンタルヘルス(心の健康)対策の重要性が改めて認識されている。日本メンタルヘルス講師認定協会代表理事の見波利幸さんによると、個々の事情を考えない「誤解」も増え、間違った対処法で「部下の心が折れてしまう」ことも少なくないという。どんな勘違いで心が折れてしまうのか、解説してもらった。

     職場におけるメンタルヘルス不調問題は、一向に減る兆しが無い。うつ病などによる休職期間が長期化したり、復帰しても休職を繰り返したり、復帰後のパフォーマンスが上がらなかったりと、むしろ問題が複雑化・深刻化する傾向が見られる。

     問題をこじらせてしまう一因として考えられるのは、そもそも不調が生じた原因を個別に深く掘り下げず、よく見聞きする例などから「過重労働が問題だった」「上司が厳しすぎた」「コミュニケーションができていなかった」「本人が弱かった」などの結論でひとくくりにしてしまうことだ。この誤解から、真に必要なアプローチがとれず、「対応したはずなのに」いつの間にか、部下の心が折れている。どんな誤解が多いのか、挙げていこう。

    ■よくある誤解その1

    「プライベートでの会話を増やせばいい」

    • (写真はイメージです)
      (写真はイメージです)

     昨今、職場での飲み会が減少していると言われる。新年会や忘年会、歓送迎会など、職場行事的なものではなく、自然発生的なインフォーマル飲み会、いわゆる「飲みにケーション」の減少だ。こうした風潮を憂い、飲み会を増やせば、コミュニケーションが改善し、仕事にも良い影響が出るのだろうか。

     いや、それはほとんど期待できない。なぜならば、仕事上のコミュニケーションは、プライベートでの会話を増やしても改善することはなく、仕事を通しての会話でのみ改善するものだからだ(もちろん、仕事のコミュニケーションをきちんと行った上での飲み会なら問題はない)。

     たとえば、部下を飲みに誘ったが、断られた。「仕事でうまくいってないような様子なのでせっかく誘ったのに、最近の若い者は……」と愚痴る前に、そもそも仕事上のコミュニケーションがうまくできているか、を考えてみよう。

     部下が仕事上の問題を抱えていた時、「問題の原因は何か」、「解決するためには何が必要か」、「それは部下だけでできるのか」、「自分(上司)はどんなサポートをするべきか」を、職場での会話を通じて聞き出そうとしただろうか(他の人間の前が難しいなら、個別でもいい)。

     上司が親身に話を聞いてくれなかったと感じた部下は、「あの時、話をほとんど聞いてもらえなかった」、「大変な状況を理解してもらえなかった」、「()ぐに助言を出して終わらせたがっている」などのネガティブな感情を抱きかねない。このような状況では、気を利かせたつもりで飲みに誘っても「今日は、予定が入っています」と体よく断られることが多くなる。そもそも、仕事以外の話をする気持ちすら持ち合わせていない場合が多い。

    2016年09月08日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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