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    経済

    広島カープが41年連続で黒字経営を続けられる訳

    公認会計士 福留 聡
     プロ野球セ・リーグで25年ぶりの優勝を果たした広島東洋カープ。ここ2、3年で「カープ女子」と呼ばれる女性ファンが増加するなど、その人気はうなぎ登りで、広島以外の地域でもファンが急拡大している。長らくリーグ下位の成績に低迷し、観客動員でも苦戦が続いていたが、実は、41年間も黒字経営を維持している“優良企業”なのだ。その 秘訣 ( ひけつ ) は何なのか。カープの財務・経営戦略について、カープ・ファンでもある公認会計士の福留聡氏が解説する。

    球団はマツダの「関連会社」

    • 今季25年ぶりのセ・リーグ優勝を果たした広島東洋カープは41年連続で黒字経営を続けている(9月10日、東京ドームで)
      今季25年ぶりのセ・リーグ優勝を果たした広島東洋カープは41年連続で黒字経営を続けている(9月10日、東京ドームで)

     「株式会社広島東洋カープ」は、2015年12月期決算で、41年連続の最終損益の黒字を達成した。25年ぶりに優勝した今年も最終黒字は確実だ。

     広島東洋カープは、日本野球機構(NPB)に所属するプロ野球12球団の中で唯一、親会社を有しない球団である。ちなみに親会社とは、連結財務諸表に関する会計基準によると、「他の企業の財務及び営業又は事業の方針を決定する機関を支配している企業」のことを指す。カープの場合は、当然ながら親会社からの資金的な支援を受けられないが、それにもかかわらず、41年もの間、黒字経営を続けているのだ。カープの黒字経営は、いかにして実現・維持されているのだろうか。

     はじめに、「株式会社広島東洋カープ」の株主構成を見てみよう。05年度の営業報告書によると、持ち株比率は、地元・広島に本社を置く大手自動車メーカー・マツダの創業者である松田家が42.7%、マツダが32.7%、カープの関係会社でグッズ販売などを手掛ける「カルピオ」が18.5%などとなっている。

     松田家とカルピオで計61.2%保有していることから、カープは実質的に松田家が支配する会社だと見なされ、マツダにとっては関連会社となる。ちなみに関連会社とは「親会社及び子会社が20%以上の議決権を所有している会社。あるいは、出資、人事、資金、技術、取引などの関係を通じて、財務、営業、事業の方針の決定に重要な影響を与えることができる会社」のことをいう。

     つまり、マツダにとってカープは、財務、営業、事業の方針の決定に重要な影響を与えることができる関連会社である。ただ、カープを支配はしていないため、マツダ自体は、例えば赤字の補填(ほてん)といったところまでは、経営に関与できない会社であることがわかる。

    市民が募金で経営支えた時代も

     原爆被害からの復興の象徴として1949年に設立されたカープは、当初から親会社を持たず、地域に根ざして活動してきた経緯などから「市民球団」と呼ばれる。草創期に財政難に直面した際、市民らは、球場入り口に大きなたるを置いて寄付を集める「たる募金」などで経営を支えた。

     75年にリーグ初優勝を果たし、黄金期を迎えたものの、91年の優勝を最後に栄冠から遠ざかり、チームの成績も人気も低迷の時期が続いた。しかし、その間にも、選手の年俸や球団職員の人件費などを抑制することで、球団は黒字経営を維持してきたのだ。頼るべき親会社が存在しないからこそ、黒字にすることが重要な使命だったとも言える。

     2015年12月期の貸借対照表によると、総資産が83億円、負債総額が33億円、純資産が50億円で、純資産比率が60.2%となっている。04年以降、純資産比率は43~60%の比率で推移している。おおむね50%程度で優良企業とされることから、カープは財務基盤の面でも健全であることがわかる。

    2016年09月20日 12時30分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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