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    若者が自撮り写真を「盛る」、意外と深刻な理由

    博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー 原田曜平
     最近の若者は、SNSで自身が撮った写真を積極的に共有している。その際、写真加工アプリなどを活用して見栄えを良くする、すなわち写真を「盛る」ことが多いという。彼らはなぜあえて写真を加工するのか。彼らが「盛った」写真を共有する背景には、意外に深刻な理由があるという。若者の動向に詳しい博報堂ブランドデザイン若者研究所の原田曜平氏に解説してもらった。

    若者の「盛る」には三つの意味が

    • 「盛る」ってなんだ?(写真はイメージ)
      「盛る」ってなんだ?(写真はイメージ)

     今時の若者は、いろいろと「盛る」ことが多いんです。

     ご存知の方も多いでしょうが、「盛る」とは若者言葉の一つです。主に三つの意味があります。

     一つ目は、「話を大げさに言う」ことを指します。たとえば、「お前、合コンだと話を盛る癖があるよな」などと使います。

     二つ目は、髪にボリュームを持たせて頭頂部を大きくすることや、派手めなメイクのことを指します。「髪、もうちょい盛るから」などと使います。

     三つ目は、「写真画像などを加工・修正して、本当の自分をよりよく見せる」ことを指します。ここ数年のスマホやSNSの普及と進化とともに、上記二つの「盛る」以上に重要な意味となりつつあります。

     今回取り上げたいのは、この三つ目の「盛る」です。まずは彼らがいかに写真を盛っているのか、紹介していきましょう。

    はじまりは「プリクラ」…写真を「盛る」若者たち

     若者が写真を盛るようになったのは、1990年代半ばに登場した、いわゆる「プリクラ」がきっかけでした。

     それまで一般の人々は、一部のカメラ好きをのぞいて、日常的に写真を撮る機会自体が多くはありませんでした。せいぜい旅先でカメラや使い捨てカメラで写真を撮る程度でした。

     それが、プリクラの登場でガラリと変わりました。

     若者たちは、友達と繁華街に行ってプリクラを撮ります。目を大きくしたり、肌の色を変えたり、修正や加工を施せば、「盛った」プリクラの出来上がりです。友達同士でそれらを分け、互いのプリ帳(撮ったプリクラを貼っている手帳のこと)に()っていくのです。自分たちで撮ったものだけでなく、他の友達が撮ったプリクラとも交換し合い、交流ツールとしての役割も果たしていきました。

     こうした一連の流れの中にある「盛る」は、「ルーズソックス」「コギャル」「ガングロ」などの流行語とともに、若者たちの間に定着していきました。

     2000年にカメラ付き携帯電話がシャープから発売されて大ヒットすると、皆が自分の携帯電話で写真を撮るようになりました。撮影した写真をメールで友達と送信し合う「(しゃ)メ」という流行語ができるとともに、いわゆる「プリクラ」とその一連の流れの中で行われていた「盛る」文化は衰退していきました。

     事実、日本アミューズメントマシン工業協会(現・日本アミューズメントマシン協会)の調べによると、プリクラの設置台数は10年時点で約1万5000台。02年の約3万6000台をピークに年々減少しています。

    2016年09月24日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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