文字サイズ
    経済

    少子化、経費節減…それでも元気な「日の丸文具」

    メディア局編集部 田中昌義

    カラフルさに引き寄せられる売り場

    • 大勢の客でにぎわう銀座・伊東屋の筆記具売り場
      大勢の客でにぎわう銀座・伊東屋の筆記具売り場

     文具店としては都内随一の売り場面積を誇る銀座・伊東屋。平日の夕方、1階にある筆記具売り場は、お気に入りのボールペンやシャープペンシルなどを探し求めるサラリーマンやOL、外国人観光客らでにぎわいを見せていた。

     数本のペンを左手に握りしめたまま、右手のペンで試し書きをする姿が目に付く。書き心地を確認する彼らの目は真剣そのものだ。スマートフォンに映した商品の写真を店員に見せて、その商品のある場所に案内してもらう外国人客もいる。「爆買い」が話題になった外国人客はもちろん、日本人客のまとめ買いも多い。

     ボールペンの場合、一つの商品ブランドでも色やペン先の太さなどの違いで数十種類に及ぶものもある。「お客様のニーズに応えるため、メーカー各社の商品ラインナップがきめ細かくなってきている」と、筆記具売り場マネジャーの吉田聡さんは語る。様々な色、デザインの商品が所狭しと並ぶ売り場は、カラフルに彩られた空間となり、その華やかさに客足が引き寄せられているようだ。

    筆記具の販売額、前年比10%増

     矢野経済研究所の調査では、2015年度の国内の文具・事務用品の市場規模は、出荷金額ベースで前期比0.1%増の4698億円と予測されている。文具の中でも、とりわけ好調なのが筆記具だ。15年の経済産業省の生活用品統計によると、鉛筆、シャープペンシル、ボールペン、マーキングペンの販売金額は合計で1439億円に上り、前年より10%も増加している。各メーカーが消費者の視点に立った独創的な商品を次々と発売し、ヒットさせているからだ。

    • 芯が折れないシャープペンシル「デルガード」
      芯が折れないシャープペンシル「デルガード」

     ゼブラ(本社・東京都新宿区)のシャープペンシル「デルガード」。14年11月、「どれだけ強い力をかけても芯が折れない」を触れ込みに発売したところ、これまでに約1000万本を売り上げた。価格が450円(税別)でシャープペンシルとしては高めにもかかわらず、100万本売れればヒット商品と言われるなかで、異例の大ヒットだ。

     シャープペンシルの主な購買層は中学・高校生。集中して勉強している最中にシャーペンの芯が折れることがよくあり、それが大きな不満となっていた。それまでも「芯が折れにくいシャーペン」はあったが、「絶対に芯が折れないシャーペン」を作るにはどうすればよいのか。そんな課題をクリアするため、ゼブラは09年に新製品の開発に着手。ノックの回数が3回以内であれば、筆記中にどんな角度から強い筆圧をかけても、芯が折れない仕組みを、5年がかりで完成させた。

     紙に対し垂直に強い筆圧が加わると、スプリングが内蔵されたペン本体内部に芯が引っ込み、ペン先から芯がわずかに出た状態になる。紙に対して斜めに強い筆圧がかかった場合は、ペン先に仕込まれた金属部品が自動的にせり出てきて、芯を包むようにガードする。この二つの仕組みが、筆圧の加わる角度や強さに合わせて自動的に作動するようになっている。

     通常、文字を書いたり絵を描いたりする際の筆圧は200~300グラム程度。だが、デルガードは、筆圧が3キロまでなら芯が折れることはないという。同社商品開発部の小野陽祐さんは「完全に折れなくするのは技術的にかなり難しく、途中で開発をストップした時期もあった。しかし、『作れば売れる』という確信があったので、あきらめず5年をかけて作り上げた」と振り返る。

     

    2016年10月10日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    PR
    今週のPICK UP
    PR
    今週のPICK UP