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    IT

    Google「世界中に無料Wi-Fi」で狙うアレ

    株式会社情報通信総合研究所 副主任研究員 佐藤仁
     世界最大規模のネット企業、Google。ネット検索だけでなく動画サービスの「YouTube」、Gメール、Androidスマートフォン(スマホ)のOSなどを提供し、世界中の人に利用されている。検索することを「ググる」と言うほど、日本人の日常生活でもGoogleはお 馴染 ( なじ ) みだ。そのGoogleが、インドで無料Wi-Fiを提供している。その裏には、同社が注力する「あるプロジェクト」の存在があるという。情報通信総合研究所の副主任研究員・佐藤仁さんに解説してもらった。

    Google、インドで無料Wi-Fiを提供

    • インド・ムンバイにあるチャトラパティ・シバジ駅(画像はイメージ)
      インド・ムンバイにあるチャトラパティ・シバジ駅(画像はイメージ)

     インド出身のサンダー・ピチャイ同社CEOは2015年9月、自身のブログで「インド全土の400の鉄道駅にWi-Fiを敷設し、高速インターネットへのアクセスを可能にする」と発表した。そして、インド鉄道と鉄道向け通信事業者「Railtel」と協力して、まず16年末までに利用者の多い100駅に無料Wi-Fiを敷設していくと明らかにした。

     Wi-Fi敷設は順調に進んでいるようだ。16年7月までにムンバイ、プネ、チェンナイ、ジャイプールなど乗降客の多い23駅に無料Wi-Fiを設置。ピチャイCEOによると、利用者は16年7月時点で毎月200万人という。

     さらに、16年9月までには52駅に拡大し、1か月あたりの利用者は350万人になった。この無料Wi-Fiによって、初めてインターネットを使う人が、毎日1万5000人のペースで増えているという。インドでは、中古端末なども含め、スマホが大量に流通しているが、電話とショートメッセージしか利用していない人が多かった。無料Wi-Fiが設置されて、初めてネットに接続するようになったのだ。

     無料Wi-Fiにアクセスしている人は、通常の携帯電話のネットワークを利用している時よりも15倍も多くデータ通信を行っているという。

     設置駅の一つ、ムンバイ中央駅で提供を開始した時には、1週間で10万人が利用した。ムンバイの人口は約1200万人だから、もっと多くの人が利用しても良さそうだが、それでもGoogleとしては、駅での無料Wi-Fiの提供はインド全土で需要があることを確信したという。

     Googleはさらに16年9月、新たな試みとして「Google Station」を発表した。このサービスは、主要駅で提供している無料Wi-Fiを、駅だけでなく、カフェやショッピングモールなどにも拡大するものだ。カフェやモールも駅と同じように人がたくさん集まってくる場所だ。

    データ通信量に敏感なインド人…プリペイド方式が生む無料Wi-Fi需要

     インドだけでなく、世界中の新興国でスマホは急速に普及している。中古品も大量に流通しているし、地場のメーカーからは30~50ドル(3000~5000円、1ドル=100円の場合)程度の廉価なスマホが多く販売されている。そのため多くの人がスマホを所有するようになってきた。

     一方で、インドをはじめとした新興国では、データ通信料金の支払いはプリペイド(前払い)方式が主流だ。プリペイドの場合、たとえば1ギガバイト(GB)分など、最初に一定の通信料金をチャージする。使ったデータ分に応じて、チャージした金額から料金が差し引かれる。使い切ったら、またチャージする。

     利用しなければチャージが減らないので、データ通信費には敏感となる。動画閲覧など通信費がかかるコンテンツは、無料Wi-Fiが提供されているカフェや大学などからアクセスするようになる。つまり、「無料のWi-Fiがないとネットにアクセスしない」という人が多いのだ。

     アプリのアップデートや動画閲覧、SNSへの写真アップなどは無料のWi-Fiスポットで行うのがほとんどだ。そのため無料でWi-Fiができる場所は非常に重要になる。Googleがインド全駅でWi-Fiを敷設するのは、インド人にとってインパクトが大きいニュースなのだ。

    2016年10月19日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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