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    IT

    Google「世界中に無料Wi-Fi」で狙うアレ

    株式会社情報通信総合研究所 副主任研究員 佐藤仁

    Googleにとって不可欠なネット接続

    • ネットで自社サービスを使ってもらうことが収入につながる(画像はイメージ)
      ネットで自社サービスを使ってもらうことが収入につながる(画像はイメージ)

     とはいえ、Googleはインドで通信事業をしようとしているのではない。ましてや、慈善事業で無料Wi-Fiの設置を行っているわけでもない。Googleの目的は、無料でWi-Fiを提供することによって、自社サービスを利用してもらうことだ。

     Googleの売り上げは、90%以上が広告収入だ。当然のことだが、ネットに接続できて初めてサービスを利用してもらえる。誰もがネットにアクセスできるようにして、検索やGメール、YouTubeなどのサービスを利用してもらわないことには広告収入に(つな)がらないのだ。

     Wi-Fiで通信費用を徴収するよりも、Googleのサービスを利用してもらって広告収入を得たいというわけだ。そのためには、無料でWi-Fiを提供しても良いと考えている。それによって誰もが気軽にネットにアクセスできる環境を構築することが重要なのだ。

     人口10億人以上を抱えているインドで、誰もが安心して無料でネットに接続してGoogleを利用できるようにする。そのためには、駅やカフェやモールにWi-Fiを設置することは必要不可欠な投資だ。

     Googleは、新興国や僻地(へきち)でもネットにアクセスできる「Project Loon」というプロジェクトも進めている。現在実験中で、具体的な商用開始時期は不明だが、通信事業者が回線を敷設できないような僻地で、上空に気球を上げて、基地局代わりにするものだ。僻地に住む人々が、ネットに接続できるようになるのも時間の問題だろう。

     Googleは全世界の人がネットに接続できるように、このようなインフラ整備にも積極的だ。

    Googleは何をやりたいのか?

     多くの人がネットにアクセスして、Googleのサービスを利用すれば、広告収入の増加が期待できる。しかしGoogleには、それ以上に欲しいものがあるのだ。

     それは、10億人以上のインド人から収集できる莫大(ばくだい)な情報やデータ、つまり「ビッグデータ」だ。Googleは、利用者が「どのような言葉を検索しているか」「どのような動画を見ているか」「どこにチェックインしているか」といった様々な情報の収集を狙っている。

     それらの情報を何に生かすのか。それは、Googleが注力する「人工知能」だ。ビッグデータは、人工知能を強化していくのに貴重な情報やデータとなる。特に駅での利用は、周辺の店舗情報や鉄道での移動情報、買い物の記録など多くの有益な情報収集が期待できる。

     人工知能の強化には莫大なデータが必要だ。Googleは、収集したそれらを基に、コンピューターが自ら学ぶ「機械学習」を通じて人工知能を強化している。逆に言うと、ビッグデータなしに人工知能を強化するには限界があるのだ。

     強化した人工知能があれば、さらに適切な広告配信や音声認識機能「Google Assistant」に代表される人工知能を活用した多くのサービスをインドや世界中で提供していくことが可能となる。そこで期待できる収入は無料Wi-Fiの設置などインフラ整備のコストを十分にカバーできると試算しているのだろう。

    2016年10月19日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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