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    生活

    「散骨」という人生最後の選択肢と日本人の死生観

    「終活読本 ソナエ」編集部 半田泰

    「0葬」の衝撃

     お墓承継の心配もせず、仏教にも頼らない方法を突き詰めた結果、「(ゼロ)葬」が登場しました。0葬は「遺体を火葬場で焼いたあと、遺骨を火葬場に置いていく」というもので、宗教学者で「葬送の自由をすすめる会」の会長だった島田裕巳氏が2013年に提唱しました。ちょっと散骨と似ているようにも見えます。

     この0葬は実行性に疑問があります。たとえば、東京都は「遺骨は使用者に引き渡す」と定めていますので、都営の火葬場では無理です。考え方は非常に合理的なので、支持する人も現れました。しかし、それ以上に「すすめる会」の内部から「死者に対する畏敬の念がない」と強烈な反発を招きました。

     この騒動は、散骨は単に遺骨を処分する行為ではないことを浮き彫りにしました。死者の魂の安らぎを考えた葬送方法の一つと捉えられているということを。

     お墓承継問題と仏教離れが改善しない限り、葬送方法の一つとして散骨は今後ますます盛んになっていくと思われます。ただ、先の散骨経験者の話にあった「お骨やお墓がないと、しっくりこない」という点は見逃せないポイントです。

     また、散骨は業者に委託すれば2万円代からできますが、安く済ませたいだけなら、もっと安い永代供養墓があります。よく考えて、安易な散骨は避けるようにしてください。

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    プロフィル
    半田 泰( はんだ・ゆたか
     1993年、産経新聞社入社。浦和総局(現・さいたま総局)、社会部などを経て2013年から『 終活読本ソナエ 』編集を担当。

    • 「終活読本-vol-14-2016年秋号」
      「終活読本-vol-14-2016年秋号」

    2016年11月16日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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