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    生活

    東京都の待機児童は本当にゼロになるのか?

    保育システム研究所代表 吉田正幸
     小池百合子東京都知事が就任して、まもなく約4か月が経過する。選挙戦で掲げた「待機児童ゼロ」の実現に向け、「緊急対策」を早々に打ち出したが、問題の解消は果たしてできるのか。保育問題に詳しい吉田正幸さんに解説してもらった。

    都の緊急対策の実効性に自信を持つ小池知事

    • 待機児童解消に特化した補正予算案について説明する小池知事(2016年9月9日)
      待機児童解消に特化した補正予算案について説明する小池知事(2016年9月9日)

     小池知事の強い意向を受け、東京都は9月9日、2016年度内に1万7000人分の保育サービスを整備することを目指した「待機児童解消に向けた緊急対策」を打ち出した。待機児童とは、認可保育所などへの入所を申請しながら入れず、順番待ちをしている子どものことだ。認可保育所は施設の広さや保育士を含む職員数、給食設備といった国の基準を満たし、都道府県から認可された保育施設。認可を受けていない施設よりも希望者が多い。

     この緊急対策は「保育所等の整備促進」「人材の確保・定着の支援」「利用者支援の充実」の三つの柱で、待機児童の解消を図るとしている。約126億円の補正予算案を都議会に提出し、今年度の保育定員の拡大目標を1万2000人から一気に5000人引き上げる目標を掲げるなど、並々ならぬ意欲を見せている。

     それぞれの「柱」を見てみよう。

     「保育所等の整備促進」の具体策は、保育所などの整備費の国庫補助とこれまであった都の補助に、都独自で上乗せする「高騰加算」制度を創設。賃貸物件や借地を利用して保育所を整備するときの賃借料・借地料補助、保育施設として利用可能な都有地・民有地や空き家の“掘り起こし”を強化するなど、土地・建物など保育所等の開設に関する支援が中心となっている。

     「人材の確保・定着の支援」については、常勤保育士の住まいを確保するために宿舎借り上げ支援の対象期間(5年間)を拡充するだけでなく、「子育て支援員」を増員する。この「子育て支援員」は、研修を受ければ小規模保育などを行う施設などで保育士のサポートにあたることができるもので、国による「子ども・子育て支援新制度」の開始に伴い2015年4月に全国共通の制度として創設された。

     一方、保護者は情報を集めることはできても、どのサービスを選べば良いか迷ったりして活用できないことが多い。そこで第3の柱「利用者支援の充実」では、保育サービスの情報提供を行い、母親らの要望や相談にきめ細かく応じる「保育コンシェルジュ」の増員を目指す、としている。

     そのほか、認可外保育施設の利用者負担の軽減や認可外保育施設に対する巡回指導チームの編成といった対策が挙げられている。都は認可保育所の増設を急いでいるが、需要に応じきれず、認可外保育所を利用する子どもも多い。ただ、その保育料は認可保育施設よりも高額な上、相次ぐ事故が社会問題にもなっている。

     こうした緊急対策の実効性について、小池知事は記者会見で自信を示した。

     「緊急対策を呼び水として、次の本予算につなげていく。(緊急対策が)新しい(保育の)ニーズを生むので追いかけっこになるが、『これから子育てしたい』、もっと言えば『結婚したい』という人を誘発していきたい。あくまで第1弾だが、緊急対策で待機児童は減っていく。2020年に向けた実行プランで具体的な目標を定めていく」 

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    2016年11月24日 17時40分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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