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    人工知能が読み解くあなたの「感性」

    読売新聞専門委員 東 一眞
     人工知能(AI)が、あなたのファッションセンスや味覚などの「感性」を学習して、あなた好みの洋服やお酒、レストラン、音楽、本、ニュース、映画を提案する――。そんなサービスを実現しつつあるベンチャー企業がある。人工知能科学者の渡辺祐樹さん(36)が率いる「カラフル・ボード」(東京・渋谷)だ。「感性」と、商品やサービスを人工知能でマッチングさせると何ができるようになるのだろう?

    人工知能で個別ダイレクトメール

    • はるやま商事が発送したダイレクトメールのサンプル
      はるやま商事が発送したダイレクトメールのサンプル

     紳士服の「はるやま商事」は今年6月、同社が展開する「P.S.FA」ブランド店の顧客1万2000人にダイレクトメールを発送した。ただのダイレクトメールではない。同社のオンラインショップでの購買履歴から、その人の洋服の好みを学習した人工知能が、一人ひとり異なったお薦めアイテムを割り出し、そのアイテムを印刷している。1万2000通、全部異なる内容だ。その結果、メンズ商品では通常の同一内容のダイレクトメールと比べて、男性客の来店率は15%アップ、顧客1人当たりの売り上げも30%アップした。

     はるやま商事では近く、「P.S.FA」ブランドのオンラインショップにも、人工知能でその人のファッション感覚を学習して、その人の好みの洋服などを表示する機能を搭載する計画だ。

     ここで使われているファッション感覚を解析する人工知能は、「SENSY(センシー)」という名前。ベンチャー企業のカラフル・ボード社が慶応大学、千葉大学とともに開発した。

     カラフル・ボード社がファッション分野で人工知能を実際に使い始めたのは2014年11月。「SENSY」を搭載したファッションセンス学習アプリをリリースしたのが始まりだ。このアプリは、ユーザー一人ひとりのファッションセンスを学習した上で、5000以上のブランドから毎日のように発売される洋服や小物などの中から、その人のセンスの合致したアイテムを紹介してくれる。

    • ファッションサイト「RyuRyu」のSENSYを使ってお薦めを紹介するページ
      ファッションサイト「RyuRyu」のSENSYを使ってお薦めを紹介するページ

     ユーザーはお薦めアイテムに対しても、気に入れば「いいね」、気に入らないと「いまいち」とボタンを押していく。その結果、その人のファッションセンスに関するデータはどんどん増えていき、お薦めの精度も次第に上がる。買いたい商品があればアプリからそれぞれのブランドの通販サイトに飛んで、購入する仕組みだ。

     人工知能SENSYの利用は業界でじわじわと広がっている。

     カラフル・ボード社は15年9月から、三越伊勢丹ホールディングスと共同で「人工知能接客プロジェクト」を断続的に行っている。伊勢丹新宿店の特定の衣料品売り場で、店員が「SENSY」を入れたタブレット端末を使って接客し、客の好みに合致した商品を提案した。また、人気スタイリストの大草直子さん、亀恭子さんのファッションセンスを学習した人工知能を使って、来店客にコーディネートを提案したりもした。

     通販大手ベルーナが運営するファッションサイト「RyuRyu(リュリュ)」など、通販サイトでも、SENSYを使ったユーザーへのアイテム提案が広がっている。

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    2016年12月14日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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