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    自動車

    トヨタが独VWに「世界一」の座を奪われたワケ

    モータージャーナリスト 御堀直嗣
     独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)の2016年の世界販売台数が、グループ全体で1031万台に達し、前年まで4年連続で首位だったトヨタ自動車(1009万台の見通し)を抜いて、同社初の世界一に立つことが確実になった。15年秋に発覚した排ガス不正問題で経営の根幹が大きく揺らいだVW。にもかかわらず、なぜ同社はトヨタを逆転することができたのか。モータージャーナリストの御堀直嗣氏が分析する。

    不正発覚の翌年に販売台数伸ばす

    • フォルクスワーゲンの排ガス不正を追及する米下院の公聴会に出席したVW米国法人のマイケル・ホルン社長(左端=当時。2015年10月8日、米ワシントンで)
      フォルクスワーゲンの排ガス不正を追及する米下院の公聴会に出席したVW米国法人のマイケル・ホルン社長(左端=当時。2015年10月8日、米ワシントンで)

     VWでは15年9月、自動車業界を揺るがす重大な不正事件が発覚したことはご存じの通りだ。VWがアメリカで販売しているディーゼルエンジン車について、排出ガス検査の時には規制値をクリアするように作動し、顧客が実際に運転する時には規制値以上の有害物質が排出される装置が取り付けられていたというものだ。

     この問題を巡って、VWと米環境当局が昨秋、不正車両を保有する顧客への補償などにVWが約147億ドル(約1兆5000億円)を支払うことで民事上の和解に合意した。今月11日には、VWが刑事責任も認め、罰金など約43億ドル(約5000億円)を支払うことで米司法省と和解したと発表した。

     これと同じ日に、米司法省がVWの幹部6人を起訴する事態にもなっている。さらに17日には、ドイツの裁判所が、不正対象となった車両の所有者が求めていた購入代金の返還請求を認め、VW側に約2万6500ユーロ(約320万円)を支払うよう命じている。

     このように、VWは排ガス不正問題で経営的に大きな打撃を受けた。だが、16年の世界販売台数を見れば、VWは前年比3.8%増の1031万台に達し、トヨタを抜いて世界一となることが確実となった。不祥事発覚の翌年にもかかわらず、VWはなぜ販売台数を伸ばすことができたのか。その理由を、自動車メーカーとしてのモノづくりと、消費者の意識の面から考えてみたいと思う。

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    2017年01月24日 12時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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