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    国際

    春節に異変 中国富裕層がこの時期の日本は敬遠?

    ジャーナリスト 中島恵

    スペシャルな体験がお好き

     最近、富裕層の間でひそかに人気なのは、スペシャル感のある観光プランだ。「おのぼりさん観光客と一緒にされたくない」という富裕層の心の声を拾い、彼らの溜飲(りゅういん)を下げるような“おもてなし”がポイントだ。

    • 世界遺産を周遊する「ジャンボタクシー」は富裕層に人気だ(画像はイメージ)
      世界遺産を周遊する「ジャンボタクシー」は富裕層に人気だ(画像はイメージ)

     たとえば、私が取材した中で富裕層に好評だったのは、小型バスなどを用いた「ジャンボタクシー」を貸し切って世界遺産を周遊するという、タクシー会社が提供しているプランだ。都内から目的地まで往復8時間がセットになっていて、ドライバーが英語や中国語で観光案内もしてくれる。家族や友人だけで静かに過ごせるし、好きな場所で車を止めてもらったり、行ってみたいレストランに案内してくれたりする、お抱え運転手のような使い方だ。

     数年前から始まっている医療ツアーも人気だ。こちらも夫婦だけ、友だち同士だけで、特定の病院で全身の健康診断やがん検診などを受けながら、露天風呂つきの豪華な施設に宿泊するというもの。中年以上の中国人は健康診断の経験がほとんどなく、健康に不安をもっているので、団体観光ではできない「スペシャル感」を求める人にはきっと満足のいくものだろう。

     東京・銀座の個室サロンでの高級エステや、高野山の宿坊に泊って高名な僧侶の説法に接し写経をするような体験も、高学歴で静かな場所でリラックスしたい富裕層の心をくすぐるものだろう。いずれにしても、富裕層相手にビジネスチャンスを得るには、団体の観光ではできないプラスアルファの付加価値をつけ、その際に、他の中国人客と一緒にならないという点がポイントだ。

     春節に団体観光客が集中するのは仕方のないことだ。だが、目線を変え、富裕層もターゲットとして見据えていかなければもったいない。これまでは「数を売る」ことが重視されてきたかも知れないが、爆買いの鈍化も見える中、春節の新たな商機は「量よりも質」の提供にありそうだ。

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    プロフィル
    中島 恵( なかじま・けい
     1967年、山梨県生まれ。北京大学、香港中文大学に留学。新聞記者を経て、96年よりフリージャーナリスト。市井に暮らす中国人の生活に密着した丁寧な取材には定評がある。著書に『中国人エリートは日本人をこう見る』『中国人の誤解 日本人の誤解』(ともに日本経済新聞出版社)、『なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか?』(中公新書ラクレ)、『「爆買い」後、彼らはどこに向かうのか?』(プレジデント社)のほか、新刊に『中国人エリートは日本をめざす なぜ東大は中国人だらけなのか?』(同)がある。

    • 『中国人エリートは日本をめざす なぜ東大は中国人だらけなのか?』(中公新書ラクレ)
      『中国人エリートは日本をめざす なぜ東大は中国人だらけなのか?』(中公新書ラクレ)


    • 『なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか?』(中公新書ラクレ)
      『なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか?』(中公新書ラクレ)


    2017年01月25日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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